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ラグラボ-第一回-スピードアップの肝

2020年5月17日、遂に第一回を開催しました。

今回は現役トップリーガーに参加頂き、日々の練習の中で中々言語化出来ていなかった部分を言葉に落とすセッションとなりました。

そんな第一回セッション、内容を纏めていきたいと思います。

走るとは

先ずはそもそもの走りの定義から確認を実施しました。

ずばり走るとは

地面に力を加える事ではなく、重心を移動させる事

です。

皆さん脚を速くするには、地面に加える力を大きくすればするほど良い!と思ってませんか。

実は、違います。

いくら力が強くとも重心が移動しないと、何れかの方向に進むことは出来ません。

重心が移動しないとカラダが前に行かない事を、気づかないうちに僕らは実践しています。

僕らがカラダを動かす時の重心位置は、鳩尾(みぞおち)の下辺りに存在することは以前投稿したnoteで解説した通りです。

このみぞおちのポジションが前にある事が、早く走る、前に動きやすくなる事の肝です。ちなみに、ボルトを見てみましょう。

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(引用:https://bit.ly/36hJvXL)

少し見づらいかもしれませんが、ボルトは特に肋骨周りの背骨の後弯(丸くなっている)が強いことが分かります。

後弯している=重心位置を更に高く持ってくることが出来る=小さな力でカラダを前に持ってくる事が出来る

というロジックとなります。

小さな力でカラダを持ってこれる、とはどういうことか。

下の図を見れば分かります。

スライド1

骨盤の位置に重心がある場合とみぞおちの位置に重心がある場合の位置変化を表してみました。

見て分かる通り、上ポチ(すなわちみぞおち)に重心位置がある場合の方が、移動距離が大きくなることが分かります。

故に、カラダの高い位置に重心位置を持ってくるべく、ボルトの胸椎(肋骨当たりの脊柱)が後弯しています。


話が逸れました、重心が移動する事が走る、という話でしたね。

そんなに重心位置が移動しないと前に行けないのか、と思ったあなた、下の図を見れば分かります。

陸上のスタートを思い浮かべてみましょう。

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(引用:https://bit.ly/2XciP6D)

カラダを前に傾けて、(上半身の重心位置を前に持ってきて)スタートを切りますよね。

では、次の図の姿勢の場合、いいスタートが切れると思いますか。

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厳しそうですね(笑)

この姿勢では良いスタート切れないだろうなあ、と思った背景にはきっと

のけぞりすぎている(重心位置が後ろに残りすぎ)

があると思います。

このように、カラダを移動させる行為は重心が移動して成り立つことを最初に確認しました。

逆に言えば、重心さえ移動すれば、力を使わなくとも前に進める、という事です。

ここで、重心位置をみぞおちに持ってきて、その感覚を感じてもらう練習を取り入れました。お家でも出来るので皆さん是非やってみてください。


やり方

①脚をそろえて、踵を付けて真っ直ぐ立つ

②内転筋(内股)をキュッと締め、お尻を締める。

③操り人形のように上から吊られている感覚で背筋を伸ばす


やってみると分かりますが、みぞおち当たりにカラダの中心が集まり、フワッと浮いたような感覚を感じると思います。

この状態が、重心位置が高い状態、です。

ここで一つ、セッション中に良い気づきがありました。

良いパスを投げられている時は、この高い位置での重心移動が上手く行っている時である、という事です。

奥村さんも上のツイートでどうしても手投げになる、という事を仰っていますが、手投げになる時は重心位置が下にあり、上半身に力を入れる事が出来ていない時です。

デクラーク選手も意識はしていないと思いますが、彼の重心位置がみぞおち当たりにあるのは見て分かります。

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重心位置を高く保っておくことで、パスもスムーズに投げる事が出来る、この感覚を掴む事が出来たのは収穫でした。

さあ、では次に行きましょう。

力は伝えるのではなく、返ってくる

走るときに僕らは、

地面に力を伝える事で、前に進むことが出来る

と思っていますが、これは若干違います。

正確に言うと、

地面から返ってきた力(床反力)を使って前に進むことが出来る

が、正しいです。

この床反力を効率良く歩行やランニング動作に伝えるには、

上半身と下半身が真っ直ぐになっている必要があります。

バネで考えてみましょう。

途中で曲がっているバネと、途中で曲がっているバネ、どちらが良く跳ねると思いますか。

そうですね、真っ直ぐです。

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上の図のイメージですね、上半身と下半身が真っ直ぐになる事で、カラダは一直線になり、地面からの力を受けて、前進する事が出来ます。

地面に力を加える事よりも、地面から返ってくる力を上手く使える状態にしておく、これが重要です。

これは、ラグビーのステップ及びコンタクトプレーを強くする上でとても重要です。

皆さんは良くこのような指導を受けてきませんでしたか。

ステップを切る時は、ステップを切る脚を確り踏み込みなさい
コンタクトする時は脚を確りと踏み込みなさい

このキューイング(指導方法)が微妙だなと思いました。

この指導で伝わることは、

相手に負けないように(相手を止める為に)、脚をブレーキとして使いなさい

です。

しかし、考えてみてください。ラグビーはステップを切ったり、コンタクトした後も前に進み続けなければなりません。

前に進み続けるには、ステップやコンタクト時にも上半身と下半身が一本となって地面から返ってくる力を使えるようにする必要があります。

特に南アフリカの選手はこのカラダの使い方がとても上手でした。

彼を見ると分かりますが、脚ではなく上半身が先ず先に出ていますね。当たった後にどちらかと言えばつんのめるような姿勢になっているのはその為です。

地面から返ってくる力を感じる事、及び上半身と下半身を真っ直ぐにして地面から返ってくる力を使う事、これが重要である、という事でした。

今回参加した選手は地面を押す感覚が先行していましたが、カラダを一本に整え、地面から返ってくる力を感じる練習を通して、楽に走れる感覚を掴む事が出来ました。

(動画は今回の物ではありません)

投稿に記載の通り、上から落ちて跳ねる、この感覚が非常に重要でした。

軸を理解する

最後に、いざ走る時の注意点を纏めます。

僕らは走ったり、歩いたりする時に、自然と3つの軸をもって動いてしまっています。

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実際、今回参加してくれたトップリーガーも最初は腕とカラダの軸が上の図のようにバラバラでした。

要するにカラダの中心、両肩に重心を置いて動いてしまっています。

これはカラダを動かす上でかなりロスが大きいです、すなわち、夫々の軸にカラダがぶれる為、左右のロスが大きくなるのです。

理想は、カラダの中心に軸が集まった状態で、動く事です。

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こういう事ですね。

これが出来ている選手が、この前のワールドカップでも大活躍だったコルビ選手。


これだけぶれずにカラダを動かす事が出来るのは、現状彼が一番かなと思います。

纏めると、

・走る=重心を移動させる事

・床反力を上手くカラダに伝える(落ちて跳ねるだけ)

・軸は一本に

でした!

今回参加してくれたトップリーガーも最終的にこの感覚に納得感を得てくれたようで、次回のセッションで成果を伺えたらな、と思っています。

最後まで読んでいただき有り難う御座いました!

第二回もお楽しみに!

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