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ラグビー解体新書-SH-

お早う御座います!

ラグビー解体新書、始まりました。

今回はSH、最後まで読むと

・SHとはこういうポジションか

・世界のスクラムハーフの強みはここにあるのか

・世界に近づくにはこんな風に歩んでいけばよいのか

が分かります。

是非最後までお付き合いください!

それでは行ってみましょう!


1. SHとは?

SHというポジションは、そもそも何をする役割でしょうか。

ブレイクダウンでボールを裁く人

ブレイクダウン周りのFWをコントロールする人

etc

等々、ですかね。

因みにWikipediaには以下の通り説明されています。

スクラムと連携するハーフというところから。スクラムやモール、ラックに参加はしないが、そばにいて、かき出されたボールを持ってバックス陣にパスをすることを主とする役回りである。

僕達がイメージしていたものと殆どイメージ変わりませんね。

ただ、このSH像は近年大分変化してきたと思います。

すなわち、

バックスにボールを供給する人

→トライを取りに行く攻撃的なアタッカー

です。動画を交えて少し歴史を追ってみましょう。


2.SHの変遷

(1)ジョージ・グレーガン

Wikipediaに書いてあるSHのイメージに近いのはジョージ・グレーガンと思います。

元ワラビーズ(オーストラリア代表)で、正確な裁きと判断、人間性の高さからラグビー界では伝説的な選手として有名です。引退シーズンは最後、サントリー・サンゴリアスでもプレーしていました。(グレーガンを皮切りに、日本に世界のトップ選手が訪れるようになったとも言えますね。)

動画をご覧いただくと、Tryシーンが多いものの、全般的にブレイクダウン際でボールを正確に裁く場面が多いと思います。

少し話が逸れますが、グレーガンはタックラーとしても有名でした。

最後の砦、と聞くと日本代表の五郎丸のようにFBをイメージする方が多いと思いますが、実はSHも裏でずっと相手を追い続けています。

グレーガンは正に、この最後の砦として果敢にカラダをはる事でも有名でした。

次に出てきたのが、ウィル・ゲニアとデュプレア。

段々とボールを裁く人からアタッカーへの変化が見て取れます。

先ずウィル・ゲニアから見てみましょう。


(2)ウィル・ゲニア

Redsでスーパーラグビーデビューを果たし、その突破力と仕掛けの上手さから一気にワラビーズまで登りつめました。

グレーガンとあまり変わらないのでは?と思う方もいらっしゃるかと思いますが、違います。

彼とグレーガンの大きな違いは一人でトライを取れる事。

動画の中でも、グランド中盤から敵陣まで一気に駆け上がり、tryに持っていく姿が度々出てくると思います。

次のデュプレアを見るとさらに分かってきますが、

ボールを裁く+一人で突破できるスキル(ランニング能力、仕掛け)

が彼らの時代から求められてくるようになりました。

これはラグビーが組織立って戦略を確立し、ディフェンスの穴をつくことがどんどん難しくなってきたことを表しています。

ラグビーは意外とディフェンス優位なスポーツなのです、これ結構大事です。

話が逸れました、デュプレアを見ていきましょう。


(3)フーリー・デュプレア

フーリー・デュプレア、今の中高生はもう分からないかもしれないですね。

スプリングボクスのスクラムハーフとして、2007年ワールドカップではチームを優勝に導きました。

個人的に、ここからSHの大型化が進んできたと思います、動画を見ても分かると思いますが、オーストラリア代表のHOを吹っ飛ばす等、フィジカルで優位に立ってますよね。

SHは段々と大型化し、自身も相手に対して脅威を与える存在に変化しました。現代ラグビーのアタックオプションはここでぐっと増えたと言っていいと思います。

ここで、問題提起します、

彼らは何故抜けるのか?

そして特にデュプレアは何故、当たり負ける事が少ないのか

後でも述べますが、一つヒントになる動画があったので共有します。

この大体39秒~49秒あたりを見てほしいのですが、

デュプレアがボールを出す際、かなり骨盤が立っている事が分かります。

要するに、重心位置が結構高い位置にある、という事です。

それはすなわち、

重心位置が高い=ボールを持って相手にコンタクトする時のモーメント(重心移動)が大きくなる=大きな力を生み出す事が出来る=当たり負けない

というロジックを立てる事が出来ます。

重心位置が高い位置にある方が、大きな力を発揮出来る事は日本のピッチャーを見ても理解する事が出来ます。

大谷投手やダルビッシュ投手があれだけ速い球を投げる事が出来るのは、彼らの不断の努力もありますが、高身長である事も大きな要素の一つです。

重心位置が高い事、これ一つキーワードですね。

最後に、今回ワールドカップで目立ったSH、デクラークとペレナラについて触れたいと思います。彼ら二人は正に、パッサーではなくアタッカーであると言えると思います。


(4)ファフ・デクラーク

ワールドカップで見覚えのある方も多いのではないでしょうか。

動画で特に見てほしい所は、特にコンタクト局面です。

殆ど当たり負けない。

デクラーク選手のお腹を以前誰かのtweetで見たのですが(元が無く申し訳あ無いですが)、腹筋が割れている事は無いですが、寸胴のようにどっしりとしたお腹をしていました。

彼の良さはこの腹圧の高さと、重心位置の高さから、大きな相手に対して遜色なく戦う事が可能になっているわけです。

また、重心位置が高い為、下半身の移動をスムーズに行う事が可能となっております。奥村さんも以下の通り解説してくださっています。

このように、

走れるだけでなく、コンタクトにも強いハーフ

これが最新の世界基準のSHに求められることとなります。

TJ perenaraも同様です。見ていきましょう。

(5)TJ Perenara

オールブラックスの超攻撃的アタッカーとして有名なPerenara。

デクラークと同様、彼のフィジカルの強さは以下の動画でも明らかです。


(二つ目の動画は1:50秒あたりが参考になるかと思います。)

彼のランを見ていても分かると思いますが、

骨盤がかなり前傾(お尻がぷりっと上がっている)、腰ではなく胸を張る事でかなり重心位置を高くする事が出来ている。

為、彼はあの攻撃的なプレースタイルを貫くことが出来ていると思います。

かなり長くなりましたが、SHの今までの変遷についてみてきました。

では、彼等に負けない、即ち世界基準のSHになるにはどのようなカラダの使い方をすべきか、最後に見ていこうと思います。


3.世界基準のアタッカーSHになる為に

ここまで見てきた中でキーワードがいくつかありましたよね

・重心位置を高くする

・骨盤前傾位を作る

骨盤前傾位を作る事は、即ち重心位置を高く持ってくる事とほぼ同義と捉えてもらって構いません。

そもそも骨盤を前傾するとは、図の通りです。

スライド1

そうです、要するにお尻が後ろにぷりっと突き出し、カラダが前に行きやすい状態の事を指します。

先程挙げた選手達も骨盤前傾な状態を自然と保っていました。

例えばゲニア。

画像2

(引用:https://bit.ly/3g0iugb ) 

例えばデクラーク(写真右側)

画像3

(引用:https://bit.ly/3cFK4wV )

腰を反ることなく、確りとお尻が上がっている、これが骨盤を前傾するって事ですね。

次に、皆さんの重心位置は何処にあるか御存知ですか。

そうです、大体仙骨の2番から3番あたりに存在すると言われています。

画像4

このポジションを如何に高い位置に保っておくか、アスリートとして重要な要素になるわけです。先程の図をもう一度見てみましょう。

スライド1

どちらが仙骨の位置が高いか、もう分かりますね。

そうです、骨盤が前傾した時の方です。

よって、

重心位置を高くする=仙骨の位置を上げる=骨盤を前傾する

為、骨盤を前傾を作る事が必要です。

一方で、です。

カラダを動かす時の重心位置は実際もっと高いです。

それは何処か、

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(図:HAPPY ORANGE)

です!(笑)

プロランニングコーチの細野さんにも伺いましたが、人間はみぞおちの少し下当たりで実際の動作(ランニング、パス、タックル etc)を行っています。

溝落ちを意識、というのはもっと言うと、実は背骨の胸椎11番~12番あたりに意識がいくようにしてほしいからです。(図の青い部分)


画像7

この胸椎11番、12番はカラダを左右に回したり、曲げ伸ばしをする時に最も大きく動く骨となっています。

SHは左右柔軟に対応し、様々な方向に常にすぐに動けるようにしておく事が求められるため、正にこの胸椎11番、12番に意識をおいておくことはとても重要となります。

今まで見てきたトップレベルの選手達は正にこのみぞおちに重心を置くことをトレーニング、または生まれながらにして獲得したと考えられます。

日本のラグビー選手、最近は自然とこのみぞおちの位置に意識を持ってこれる選手が出てきていますが、その数はまだ少ないです。

これは僕らが受けてきたコーチングの影響もあると思います。タックルやコンタクト局面に於いて、脚を先ず出してカラダを当てる事を教わった人は多いかと思います。

この指導を受けるとどうしても、脚を出さなきゃ、という意識が働き自然と重心も低く(脚の方に)なってしまいます。

みぞおちがカラダを動かす時の中心位置である事を理解し、後はトレーニングに落とし込む、これを継続できれば、先に取り上げた選手達に匹敵するパフォーマンスを掴む事が出来ると思います。


さて、如何でしたでしょうか。

他のポジションについても分析していきたいと思いますので、お楽しみに!

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引き続きよろしくお願いいたします。








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