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シロクマ文芸部

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小牧幸助さんのシロクマ文芸部に参加させていただいた作品をまとめています。
運営しているクリエイター

#ショートショート

月からのお知らせ #シロクマ文芸部

月からのお知らせ #シロクマ文芸部

今朝の月は大丈夫でした。
昨日の月は大変だったんですよ。いつも以上に散らかっていて。

あ、すみません。
ご紹介が遅れました。私、月のお掃除を担当している者です。

近頃は月に旅行する人が増えましてね。もちろんマナーを守っていただける方がほとんどなんですけど、本当にごくごく一部の方がですね、ゴミを放置したり、ひどい時は溶岩の固まりを壊して帰ってしまわれるんです。

月がそんな状態だとどうなるか?

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桜色のロケット #シロクマ文芸部

桜色のロケット #シロクマ文芸部

桜色のロケットがどこかの国で打ち上げられた。
人々はただ桜色のロケットが上昇し、地球の外に出ていく映像を見せられただけ。

「これってどこの国?」
「目的はなんだろう?」
「どこまで飛んでいくのかな?」
「危なくないの?」
「でも、桜色、きれいだね」
「なんかちょっと面白そう」

数ヶ月後、今度は水色のロケットが打ち上げられた。

「また?」
「どこの国か、まだ分からないの?」
「やめさせた方がい

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【ショートショート】私が生まれた日に #シロクマ文芸部

【ショートショート】私が生まれた日に #シロクマ文芸部

「誕生日だったね、今日は」

目の前の中年オヤジが話しかけてきた。
口調は優しいが、信用ならない。私をこんな薄暗い部屋に閉じ込めているのだから。

頭でも殴られて連れて来られたのか、頭がボーッとする。いつからここにいるのか、記憶が定かではない。椅子に身体を縛り付けられていて逃げる事もできない。

「なんで私の誕生日知ってるのよ」

「そりゃ知ってるさ。君のことはなんでも知ってる」

「あなた誰なの

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【ショートショート】珈琲とトーストと…… #シロクマ文芸部

【ショートショート】珈琲とトーストと…… #シロクマ文芸部

「珈琲とトーストをください」

最初はこの程度の、控えめな要求だった。

エアコンが壊れてメーカーに連絡したのだが、繁忙期でしばらく訪問できないと言うので、便利屋に修理を依頼することにした。

調べてみると近所に便利屋は沢山あり、どこにすれば良いか悩んだが、店の名前が「便利屋」の便利屋にした。なんとなく気が合いそうな気がしたから。

電話して30分もしないうちにインターフォンが鳴った。

「こんに

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【ショートショート】りんご箱を置き配するのやめてください #シロクマ文芸部

【ショートショート】りんご箱を置き配するのやめてください #シロクマ文芸部

りんご箱が置き配されるようになって今日で三日目だ。注文していないのに。

りんごは嫌いではないが、食べようという気にはならない。恐怖が先立つ。自分で注文していない食べ物が届くと怖いのだと知った。

一体誰が何のために送ってくるのか。りんご箱には送り状が貼られておらず、送り主に心当たりはない。

結構大きなりんご箱なのだが、その割には重くない。それもなんか怖い。持ち上げるとりんごが2、3個コロコロと

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【ショートショート】大事な朝の連絡ノート #シロクマ文芸部

【ショートショート】大事な朝の連絡ノート #シロクマ文芸部

 読む時間がなかった。まただ。もうずいぶん読んでいない気がする。桃子との朝の連絡ノート。

 桃子が朝早い仕事を始めたので、夜遅くまで仕事する俺と生活リズムが合わなくなった。話す時間が減ることを気にした桃子の希望で連絡ノートを書くことにしたのだ。俺は「LINEでいいじゃん」と言ったのだが、「手書きだからいいんだよ、こういうのは」と桃子が言うので付き合うことにした。

 始めてみると案外ハマって、お

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【ショートショート】犬型ロボット2080 #シロクマ文芸部

【ショートショート】犬型ロボット2080 #シロクマ文芸部

愛は犬型ロボット2080にも搭載されなかった。
犬型ロボットは、毎年バージョンアップを重ねて犬としての機能はほぼ完璧に実装されているが、愛だけはいまだ実装されていない。

2080年の日本では、犬を飼うのは一部の富裕層だけだった。犬型ロボットの流通により犬の価格が高騰してしまったのだ。犬型ロボットを購入して人生のパートナーとすることが当たり前になっていた。

いま初老の男性が犬型ロボット専門店で犬

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【ショートショート】君とただ歩きたかった #シロクマ文芸部

【ショートショート】君とただ歩きたかった #シロクマ文芸部

ただ歩く。
私に許されている行動はそれだけだ。

私を作った博士はもういない。
昔は博士の孫のタダシ君の相手をさせられた。
私は歩くことしかできなかったが、タダシ君はキャッキャッと喜んでいた。
私は頑丈に作られているので、タダシ君が多少無茶をしてもなんともなかった。

何があっても指示された場所まで歩いてたどり着く。
それが私の能力。

その能力に我が国の軍が目をつけた。
私に爆弾を搭載し、敵国に

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