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くらりか関西「ゴムの不思議」

今度の教室のテーマは「ゴムの不思議」でした。この教室の準備について紹介します。

化学は専門外

私の専門は機械設計なので化学は専門外です。まずは自分が勉強するところから始めます。いつも、そのテーマに関する歴史を調べるところから初めています。

天然ゴムの歴史 べベア樹の世界一周オデッセイから「交通化社会」へ 

今回参考にしたのは、上記の本。著者はこうじや信三さんという方で、巻末の略歴を拝見すると、この分野の専門家に聞けば有名な方にちがいないと思われました。この本のまえがきに、「科学研究の対象として見ると、ゴムはかなり複雑な系である。」とある。自分には、難しい本を選びすぎたかな、という心配が頭を過ったが、もう本を購入してしまったので開き直って読むことにした。実際のところ、難解すぎてわからない、という心配はまったく無用であって、その文章の情熱的な面白さにあっという間に読み終えてしまった。

教室で何を話すか

ああ、面白かった。では教室の準備が進まない。この本の中から、子供たちに話して盛り上がりそうな内容をつまみ出す。人類とゴムの出会いの話をするのは良さそうだ。人類が天然ゴムを使い始めたのは、おそらく紀元前1500年頃に始まるオルメカ(中米)文明、ということ。ゴム球を使った宗教的祭祀としての球技の舞台が残っているユカタン半島のマヤ遺跡チチェン・イツァ(Chichen Itza)の話。この球技はオシリに革製のプロテクターをつけてオシリでボールを打ち上げる競技であったこと、これらの競技が部族間の対立の決着をつけるために使われたことを教室で話す内容に選んだ。この本以外からの調査でこの球技は「ウラマ」という名前で現代に伝えられていることがわかったが、子供たちに対しては「おしりサッカー」という名前で紹介することにした。

探検家「ウイッカム」によるゴムの木の種

ゴムの木(べベア・ブラジリエンス)の栽培は、ウイッカム(Henry Alexander Wickham 1846~1928年)によりブラジル・アマゾンから70,000粒の種が持ち出されたことに始まる。この種の持ち出しの話は、冒険譚として面白いのでぜひ子供たちに伝えたいが、教室の時間の限りがあるので、部分的に切り取って話をすることにした。ゴムの木の種1,000粒あたり10ポンド支払う用意があること聞いたウイッカムが70,000粒を持ち出した話は、現在の日本円に換算して説明すると盛り上がるだろう。ウイッカムがアマゾネス号を使ってブラジル当局の厳重な警戒の中をかいくぐって「密輸」に成功した話などは、本のなかでは「ウイッカムが粉飾を施した話」として説明があるが、ゴムの木の種が長期間保存できず枯れてしまうこと等を説明し、事実寄りの「冒険話」をすることにした。

実験

今回の教室では実験としてラテックスを酸で凝固させる実験を行った。この実験は図書館でみた「ガードナーのおもしろ科学実験」という本を参考にした。ラテックスを酸に混ぜるだけなので簡単である。教室では、ゴムの分子構造のモデルも簡単に説明し、のびたり縮んだりする特性についても説明した。

ラテックスは工芸用品として売っているものをAmazon.comで購入。「先生、これどこで売ってるの?」の児童からの質問には「ウイッカムみたいにアマゾンから密輸。ではないけど、アマゾンで買ったよ。」と回答。「食酢で固まる」とあるが、食酢はちょっと臭いのであまり使う気にはなれず、レモン汁を使用した。ポッカレモンを5%ほどに薄めても、十分に凝固反応が発生する。ただまぜて固めるだけだと面白くないので、アクリル絵の具をつかって自由に着色させた。きれいに着色でき、児童が感心するので、「特殊メイクなんかに使われれているよ。」と教えてあげた。

工作

工作は空気砲を作成。ペットボトルを切ったものに風船をテープでつけて完成。ゴム部分を引き絞って話すと、ポンと軽快な音をたてて空気が発射される。紙でつくった的にジャストミートすると吹き飛ばせる。弾が見えないので充てるのがなかなか難しい。私は家でみっちり練習してきたので、児童がうまく当てられないところを、離れたところから狙撃してみせた。(ドヤ)

誤算と反省

いつものように、教室に参加する児童の年齢がどれぐらいなのかわからなかったので、小学校3年生ぐらいでもわかるように資料を作っていったのだが、なんと3名も中学生がいた。退屈させては申し訳ないので話の内容はアドリブでいろいろ追加の説明を加えた。退屈はしなかったようで安心したが、何か追加の読み物を準備しておいてあげればよかったと反省。このnoteの記事に追加して教えてあげようかしら。

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