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オラが見つけた女の子

70年代の終わりに、オラは彼女を見つけたんだよ。
しばらく前から知ってた子なんだけど、みんなでおしゃべりなんかしてると、何となく気の合う女の子なのかなと思うようになったんだ。
知らない間に、どんどんその子の存在は大きくなっていったんだと思うぞ。

オラはメガネの女の子が好きだった、というのもあるぞ。
映画の「ロッキー」の影響か? それとも、高校の時の先輩の面影か?
高校の時の先輩にはリスペクトしかなかったけど、エイドリアンを抱きしめるロッキーにはなりたかったのさ。
でも、オラはどれだけトレーニングしたというんだろう。
ランニングも、腕立て伏せも、何もしないで、ただ彼女と一緒にお話ししようとしてたぞ。そんな無邪気な時間があったんだな。

とてもエイドリアン! なんて叫べなかったな。
ひとりで彼女の名前を口にしてみるだけだったかな。

それから、付き合い始めて、これから先どうなるんだろう、なんて考えなくて、そのうち結ばれるんじゃないか、みたいな安易な考えでいたぞ。
ただ、せっかく出会えたことは、とても大事だったから、いつまでも一緒にいたい。離ればなれはイヤだ。みたいな、単純な気持ちで付き合って、一緒になれなきゃイヤだとダダをこねて、見るに見かねたまわりの人たちも、それなら結婚したらどうだ。なんて言ってくれて、
そいで、結婚したんだな。イージーだな。でも、真面目に好きだったというのは褒めてもいいな。

他に目移りはしなかったのか?
しなかつたと思うけど、彼女はそうではないと言うかな。
わからないや。そんな昔のことは知らない。
オラは、オラなりに彼女をずっと大事と思い、今もそう思ってる。

それなのに、彼女は、いや、愛が足りない。とか、あれこれ言って来るな。
仕方がない。ボチボチと愛していくだけさ。