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日本に帰国して感じること/日本人の特性[失敗してはいけない]・・・イギリス・フランス5年間の赴任生活<第87話>

日本人と欧米人の考え方の違いについて、イギリス・フランス・アメリカの工場長と話をしたことがあります。

【欧米人(特にアメリカ)の場合】

例えば、会社で何か新しいこと(プロジェクトなど)を始めようとする場合、
・まず、それを実施することで どんな効果(ビジネス拡大、収益性増加、・・・)が得られるかを考える。
 とても良い結果が期待されるのであれば、その段階で実施するとまず決めてしまう
・次に、それを実施するためには何が必要かの課題を考える。 
 資金は、人材は、期間は、技術は・・・
・その後に、それらの課題をどう解決するかを考えていく。
・もし、現時点で課題点がまだ明らかになっていなければ、まず実施してみる。
 実施してみて課題が発生すれば その時に一つずつ 解決策を検討する。
・もし、どうしても継続不可能な点が出てきたら、その時 中止・断念するかを判断する。

このように、欧米では意思決定が素早く 行動が早い。
でも日本人の我々からすると、中身が 全然 具体的でなかったり 不明点が多かったり とても心配になります。進みながら解決方法を検討するため、スケジュール通りには進まないことも多々あります。

【日本人の場合】

それに対し、日本人は
・新規なことを実施するにあたり、どういう障害があるかを まず考える。
 資金は、人材は、期間は、技術は、既存のシステムへの支障は、・・・
・ここで考えられる限りの課題点を挙げる。
新しいことを始めるのだから当然わからないことはあるのだが、この段階ですべての課題点を挙げる必要がある。
・次に 挙げられた課題点に対する解決策を検討する。
 各々の課題がどうやったら解決できるかを明確にする。それも具体的に。実施計画も含めて。
・すべての課題が解決できる目途がついた段階で、やっと実施の決定が行われる

どうしても時間がかかります。日本の意思決定が遅いと言われるのは このためです。欧米人の目から見ると歯がゆいみたい。でも、全体計画が明確になっているため、一旦始めればスケジュール通りに確実に進んでいきます。

【未知のことへの挑戦】

会社での仕事に限らず個人の生活の中でも、例えば ある地域で新しい取り組みを始めたというニュースをテレビで聞くと、「でも その場合は〇〇〇のようなことが起きて困るよね・・・」などと悪い影響を 私は真っ先に考えてしまいます。
日本人の考え方の特徴として、「失敗してはいけない。間違ってはいけない。」という強い意識があるのだと思います。学校でもそのような教育を受けてきた気がします。
それに対し 欧米では、
新しいことはすんなり行くとは考えておらず、トライしてみて もしうまく行かなかったら、それは失敗ではなく、このやり方ではダメということが分かった ということ。 では別のやり方を考えよう と前向きに考える。
先進的なアイデアを出してどんどんチャレンジしていき、新しい技術が欧米から生まれることが多いのは そのためかもしれません。

「Boys, be ambitious. (青年よ 大志を抱け)」 と言ったのは、明治時代の札幌農学校(現在の北海道大学)のクラーク博士ですね。
それまでにない新しいことをやろうとすれば、失敗するかもしれない。それでも 若い人はどんどんチャレンジして 世の中を変えていってほしい。 クラーク博士にはそういう思いがあったのでしょう。
変革が求められるこれからの時代、やはりこのようなチャレンジ精神がもっともっと大切になってくるものと思います。

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