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素直さについて

僕の大学時代は、起業する前から、いわゆる「意識高い大学生」的な感じで、大学1年生の春からベンチャーでインターンし、ろくに大学に行かずにスーツを着て営業の仕事をしていました。とにかく誰よりも早く成長したい、ビジネススキルを身に着けたい、と日々思っていました。

では、早く成長をするために、何が大切か。これは、誰に教わったのか忘れてしまったのですが、今も思っている、成長するために最も大事なことは、「素直さ」です。経営の神様と言われる松下幸之助も、経営者として一番大事にしていることは「素直さ」だそうです。

「素直さ」とは何か。僕のイメージを書いてみます。
何かやりたいこと、ないし課題があったとします。そのやり方や、課題の対処法を調べる。人に聞く。本を読む。そして、学んだことや、言われたアドバイスを、できるだけ早く、徹底的に、まずは学んだ通りにやってみる。実行する。これはできない、あれはできないとか、言い訳したり、めんどくさがったりしない。自分の限界を自分で決めない。エイヤッと飛び込み、あとは流れに身を任せ、変化のプロセスを楽しむ。そんなイメージです。

ちなみに、「素直さ」と「従順さ」は違います。
「素直さ」を「従順さ」と間違える、ないし意図的にすり替えてしまうのはアンチパターン。僕の中では、ただ言われたことに従うのではなく、自分で考えるかどうか、主体性の有無がその違いです。

また、自分の間違いを認められる、というのも「素直さ」の重要な要素の一つだと思っています。
「素直さ」という言葉は使っていないですが、フランス文学者で大学教授の内田樹氏は「知性」について下記のように言っています。

私は知性というものを、「自分が誤り得ること」(そのレンジとリスク)についての査定能力に基づいて判断することにしている。平たく言えば、「自分のバカさ加減」についてどれくらいリアルでクールな自己評価ができるかを基準にして、私は人間の知性を判定している。
(中略)
世の中を少しでも住み良くしてくれるのは、「自分は間違っているかも知れない」と考えることのできる知性であって、「私は正しい」ことを論証できる知性ではない。

内田樹『ためらいの倫理学 戦争 性 物語』 

どうでしょうか?
僕はこの一節を読んだときにとても印象に残ったし、しっくりきました。
「知性とは、自分が間違っている可能性を勘定に入れられること」。
常に「自分が間違っている可能性」を念頭に入れて、話したり、考えたりすることで、結果的に「素直さ」につながるような気がします。

別の角度から捉えると、どんなに知識や経験があったとしても、それは知性とは関係ない、とも言っているわけですよね。
ある分野・領域に関して、知識や経験があると本人が考えていると、「自分が間違っている可能性」を忘れやすいのが人間の性だと思います。
でも、例えば何か対話をしている中で、自分が間違っている可能性を全く考えずに、「私は正しい」とだけひたすら主張する人がいたら、その人とはそれ以上対話する気にならないですよね。
対話の意味がないというか、対話にならない。それは、知性のある態度ではない。

そう考えると、「素直さ」とは、知性のある態度、とも言えるのではないか。柔軟で、しなやかな知性。それを持った人が、早く成長できるし、仕事でもプライベートでも、成果を出しやすいのではないかと。同時に、素直な人って、話していて気持ちいいし、応援したくなりますよね。起業家、経営者としても、とても重要なポイントだと思います。

僕も、どこまでできているかわかりませんが、ずっと素直な人間であり続けたいと思っています。

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