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『鬼滅の刃 遊郭編』の俳句鑑賞

こんにちは!
アニメ俳句部部長の広瀬康です。
先日、アニメ俳句部で『鬼滅の刃 遊郭編』の俳句を募集したところ、計86句の俳句が集まりました。

みなさまが詠んでくださった句の中から広瀬が個人的にいいなと思った句をピックアップし、鑑賞文を書きました。

句のあとに作者名を敬称略で記させていただきます。

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菜種梅雨俺が育てていなければ   雨野理多

妓夫太郎の台詞と季語「菜種梅雨」をとりあわせた一句。自分が育てていなければ、妹には違う未来があったかもしれないと思う兄のやさしさと後悔。「菜種梅雨」という季語にも、中七下五に通じるやさしさと後悔を感じ取ることができ、心に響く一句でした。

祭神よ俺は滴る山の王   イサク

自分のことを祭の神と言う宇随天元に対し、自分のことを「山の王」と言う伊之助の構図を俳句にした一句。上五で「祭神よ」と呼びかけたあと、何が出てくるのかと思ったら、それは滴る山の王でした。季語「滴る」が山の王の野性味をより強く演出していてすごいです。。

くノ一は蜻蛉になるといふ夢に   土佐藩俳句百姓豊哲

宇随とくノ一たちの回想シーンですね。夕景を自由に飛ぶ蜻蛉を見て、自分も蜻蛉になって飛んでみたいと言った須磨。任務に縛られているくノ一と自由な蜻蛉の対比が効いています。「夢に」と余韻を残す結びがとてもいいと思いました。

討伐や龍天に登る呼吸   鳥田政宗

鬼の討伐に使う呼吸。それを「龍天に上る呼吸」と描写した一句。炭治郎の技にも龍がモチーフの技があり、その映像が思い浮かびました。「龍天に上る呼吸」という措辞がとてもかっこいいです。

永き夜のいもうとと逝く道昏し   ノセミコ

死後、梅をかついでともに地獄への道を行った妓夫太郎。明けることのない「永き夜」と地獄へとつづく道の昏さ。そこに救いをもたらす中七の「いもうとと逝く」という措辞。内容のあるとても深い一句になっている思います。

蛍火やみづの呼吸はかくも柔   松男

炭治郎の水の呼吸の柔らかさを呼んだ一句。水と対極の火や火の呼吸をほのかに感じさせる「蛍火」という季語との取り合わせも巧いです。「かくも柔」の「かくも」があることで水の呼吸を間近に見ている臨場感が伝わります。

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謝辞

みなさま、素敵なアニメ俳句をありがとうございました。

今回の『鬼滅の刃 遊郭編』の俳句86句は一覧画像にしてアニメ俳句部のアカウントからツイートする予定です。でき次第、後日、ツイートします。

今後もアニメ俳句部はアニメと俳句をかけあわせたイベントを開いていきます。

リクエストご要望等ございましたら、いつでも気軽にリプライやDMをお送りください。

ではまた。

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