コロナの影響でコンサル業界の花形はどのように変容するか

「コロナの影響でコンサル業界の花形はどのように変容するか？」について、国の政策や各社株価、自分の受注案件の肌感、などから今後の動向を考察したいと思います。

前提として、コンサル業界を、”業務別”で分類しています。
分類した業務毎に、今後どのように成長していくか？ですが、以下のようになると推定しています。
　戦略：↓　
　BPR：↗︎　
　再生：↑
　M&A：↗︎　
　IT：→
　会計：→
　法律：↑

個別の説明の前に、大きなトレンドとして、今後の国内経済は、以下の要因から、リセッションが長引くと考えています。

1. コロナの影響をダイレクトに受ける産業の市場規模縮小
2. 1の関連産業の市場規模縮小
3. コロナによるライフスタイル変動による影響を受ける産業の市場規模縮小

2、3の実態指数はこれから出てくるが、1に関しては以下指数が出ているように、今後こうした倒産が激増すると考えています。（小規模事業者は倒産手続をしないことも多く、数値として表面化しずらいので実態はこの数以上）

〜新型コロナウイルス関連倒産数（5月8日時点）〜
　・倒産は全国で125件
　・うち、法的整理79件、事業停止は46件
　・業種別では「旅館・ホテル」（33件）、「飲食店」（12件）、「アパレル・雑貨小売」（11件）が上位
　出所：TBD
〜〜〜

上記業種の他、ダイレクトにコロナの影響を受ける航空会社、美容・エステ・マッサージ、映画館、フィットネスなどは、自粛が解除されても、今後１〜2年は市場規模が1/2や1/3に減少すると考えています。

その理由は、ワクチンができても、実際に手元に届くまでに（開発後に量産化が整っている状態まで）最低でも1年はかかるため、ソーシャルディスタンス（人との距離を空ける）は変わらないためです。

「ソーシャルディスタンスによる影響が何か？」というと、、、
売上のKPIが、”来客”による稼働率である業種の場合、MAXキャパが下がることを意味します。

例えば、とある映画館の座席数が100席である場合、MAXキャパは100席ですが、ソーシャルディスタンスにより、1席開けて座るとMAXキャパは50席になります。一方で地代コストはこれまでと変わらないため、売上減&固定費率増加、の両面から利益が圧迫されるようになります。

こうした業界において、このような傾向が少なくとも1年は続くため、市場規模が1/2,1/3になってもおかしくないのです。（一部では産業自体がほぼなくなるケースもあり得る）

一方で、”オンライン化”など、コロナの影響から増大する需要も存在します。

こうしたトレンドの背景を踏まえ、個別の説明は以下の通りとなります。

戦略：↓　
・新規事業などの案件は減少するなどこれまでの延長線上の”投資”は大幅に減少。その他、既存の案件実態としては”不要不急”案件が多いため、戦略コンサルの予算は圧縮される。（自社の実態としても案件数が減少しています）
・個別銘柄で近しい会社は、ドリームインキュベータであるが、1月の高値から、3月に底をつけ、現時点では多少戻っているものの日経平均や他コンサルの株価の推移と比較しても、株価の戻しがとても鈍い。

BPR：↗︎
・今後数年は、中堅・大手企業の多くの企業が売上減少のため、コスト圧縮傾向が強まっていく。都心部では働き方の大きな変動もあり、テナント含めた、”コスト圧縮”の要請が生まれる。
・個別銘柄では、プロレド・パートナーズであり、上記同観点で見た場合、日経平均や他業界コンサルの株価に比して、戻り幅がとても大きく、全戻しに近い。

再生：↑
・倒産などの法的スキームを含む再生案件は今後大幅に増加。
・個別銘柄では、コンサルではないが山田債権回収管理総合事務所などのサービサーはすでに全戻しに近い。コンサル銘柄のフロンティア・マネジメントは過去1年で最高値。（私自身も相談急増）

M&A：→
・高齢化による事業承継・リセッションによる統廃合案件は増加。
・個別銘柄では、ストライク、MAセンター、MAキャピタルパートナーズ。
MAキャピタルパートナーズの直近Q業績を見ると、頭打ちの感じがあるが、高齢化による事業承継推進は国策でもあるため、今後も微増・横ばいと推定。
　
IT：↗︎
・DX関連は、コロナの影響による新規事業案件増や、国策でもある5GやIoT案件は堅調。DX銘柄の伊藤忠テクノや野村総研は全戻し。
・コンサルDX銘柄のベイカレントは半戻しであるが、変なことがなければ回復が早い業界ではある。

会計：→
・IPO案件は大幅に減少。再生、事業承継は増加。（監査は当議論には含めない）

以上の通りで、マーケットの観点では、今後の花形は再生、IT、BPRとなっていくと考えています。