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「謙虚さ」ということ

はじめに

大学院での3年間、リーダーや組織、志のクラスに触れる度に、ベースとして「謙虚さ」について考える機会が多くあり、言い換えると「謙虚さ」とその対照的な語彙である「傲慢さ」と向き合ってきた3年間であったとも思います。2015年までの私は「謙虚」があった人間とは呼べず、下手に出る姿勢や言動をもって、相手に美徳としての「謙虚さ」を表現するということはありましたが、内面は逆の「傲慢さ」が支配していました。

自身の未熟さもあって未だ「謙虚さ」について本質的な理解には至っておらず、自分の未熟さを感じることもあります。「謙虚さ」とは当然ながら指標として評価ができないため、自己評価が付けられないことがこの気持ち悪さを生じさせているわけですが、仮に具体化できない指標だったとしても因果関係で結果には現れると思います。例えばリーダーとして認められない、人から避けられる、自分が成長しないなどの状態であれば、それは「謙虚さ」が不足していると言えます。

前段が長くなりましたが、度々自分の「謙虚さ」「傲慢さ」と向き合う時間をとって振り返るとき、手に取る本や過去の経験なんかも定期的にこの場で書いていきたいなと思います。

「謙虚に問いかける」

エドガー・H・シャイン教授の著書「問いかける技術」は組織を率いるリーダーにとって「謙虚さ」とはどういうことかの示唆が多く紹介されています。

リーダーにとってVUCA時代はそのままリーダーシップのスタイルも不確実であるということだと理解していますが、90年代までの軍曹的なリーダーシップではそこらかしこでゲリラ戦が発生し、地雷が埋まっている現代に通用する業界は稀でしょう。特に「現場で何が起きているかを聴くこと」はアンディ・グローブさんの名著「Highoutput Management」でもManagerの重要なタスクの一つとしても定義されています。

現場で起きていることを知る必要性

私が青年期を過ごした2000年代までは比較的軍曹タイプのリーダーが多く、指示型によって業務を遂行し、一方でPDCAのレポーティングを求められました。当時は今よりもゆるやかに時が過ぎていた時代(業務連絡は電話が基本、営業も対面が基本)、レポーティングをする時間もありましたが、現代ではレポーティングはマネジメントにとっての投資であると考えます。変化のスピードが早い市場と相対している現場のメンバーへフォーマット形式を指定したレポーティングを求めることで、その時間分の短期的かつ直接的な付加価値を毀損する可能性があるわけです。またどの市場にとっても変化が激しく、先週のレポートによるPDCAの結果が明日のアクションに有効かすら微妙かもしれません。よって定形フォーマットによるレポーティングを求めるということは、期待効果をもって的確に現場へ依頼する、そこまでの明確な投資対効果が見えない場合はできる限り簡素化して、断続的に状況を知ることが重要となります。

謙虚+タイムリーに問いかける技術

「問いかける技術」の中ではなぜ必要かは十分な論述があります。邦題はHow to本のようですが、原題は「Humble Inquery」、意訳して「謙虚に問いかける」です。技術についての示唆もありますが、それ以上に考え方はとても参考になりました。私が自身の経験と組み合わせてまとめた謙虚に聴くこととして心がけている点はこちらです。

 - 相手を一人の人間として尊敬の念を持つ
 - 課題について客観的に捉えた上で)教えて頂くという姿勢で聴く
 - 枠組みはできる限り的確に
 - 端的に質問する
 - 自分に非があればその旨お伝えする(質問の文意が気分を損なうリスクがある場合など)
 - 敢えて自分を弱い立場に置くという意識を持つ
 - 自分が求めていた答えでなかった場合はお詫びした上で工夫して伺う
 - 常に感謝をする(教えて頂いて/自分に投資頂いて)

これらですべての場合にうまく行くとは限りませんが、常に意識することで、自分が成し遂げたいところまでの理解には至ることができました。本質的な「謙虚さ」を構成する一つはこの「問いかけ」です。「謙虚さ」にどんなメリットや効果があるかはまた別の機会に。

最後に

みなさまがリーダーとして現場にヒアリングする際にはどんな問いかけをしますか?ぜひコメントでお知らせください。学ばせて頂きたいです!

Photo by Ben White on Unsplash 

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