廣澤やすまさ
#4 ブランディングが進むと、広告が要らなくなるよ。
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#4 ブランディングが進むと、広告が要らなくなるよ。

廣澤やすまさ

ブランディングって、ざっくり言うと「自分たちのブランドを、知ってもらい、ファンになってもらい、広げてもらう」ための活動だと僕は思ってますけど、その領域には、これからは特に「自分たちのブランド」の存在価値を維持していくことも含まれます。とりあえず、図解しますね。

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さて今回はこの前提で書いていきますが、これらの活動が最高にうまくいくと、何が起こると思いますか? 特に何もしなくても「ものやサービス」が売れてくれるようになるんです。例えば広告しなくても良くなってしまう。

ドラッカーによれば、「マーケティングの目的は、販売を不必要にすることだ。マーケティングの目的は、顧客について十分に理解し、顧客に合った製品やサービスが自然に売れるようにすることなのだ」と、『マネジメント』という本の中で書いていますが、ブランディングもマーケティングの一部なので、目的は一緒ですね。

広告が分かりやすいので題材にすると、例えばGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)って、どっかの要所でバッと広告して、あとは「し〜ん」という状況です。ダイソンのコマーシャルも、あまり見なくなりましたね。多くのラグジュアリーブランドを傘下に持つLVMHグループ(ルイ・ヴィトン、ディオール、ジバンシーやモエ・エ・シャンドン、ヘネシーなどなどの親会社)も、テレビでは見ない。日本のブランドでいうと、MUJIもコマーシャルはほとんど見ない。それなのに僕は、これらのブランドがどんな商品構成だとか、どんな動きをしているかとか、かなり把握してます。

なぜなら、僕がこれらのブランドに興味があるからで、そうなると読んでいるメディアの記事が知らせてくれたり、仲間が教えてくれたりで、アタマに入ってしまう。別にこんなに大ブランドの話じゃなくても、近所に気になる店が出来たりすれば、その情報は自分から探しに行きますよね。それと同じです。情報探しの度合いは好意を持つほどに熱心になりますし、周りの人に話して広げていく役割も果たします。つまり、可能な限り好意的に気にしてもらえるようにすることが、ブランディングのキモなんです。

そういえばMUJIは、2020年に、実に8年ぶりにテレビコマーシャルをつくりました。見た方もいると思いますが、いろんな人がただ掃除をしているだけのCMです。これね〜、ちょっと突き放しすぎなところはありますが、音楽で引っ張られて見入っちゃいますね。坂本龍一さんですからね。それはともかく、突き放された部分はwebサイトに行くと良く分かります。

https://www.muji.com/jp/message/2020/ja/

さらに、MUJIが「感じ良い暮らし」を追求していると知っていれば理解も深まることでしょう。それでね、「最近レトルト食品にもチカラを入れてて美味しいよ」なんてコマーシャルは作らない。その話は、今朝のワイドショーでやってましたけど。それよりも「文化や文明を超えて営まれる掃除というごく普通の営みの中に、ヒトの本質が潜んでいるのではないかと考えてのこと」とサイトにあるように、このメッセージを出すことに意義を感じているんですね。これが、うまくいっているブランドの例だと思います。

「広告が要らなくなる」というのは究極で、状況に応じていろんなメッセージを出したり、時には商品広告を出したりは、規模はともかくやることになるでしょう。特に、ブランドの思いを多くの人に知ってもらった方が良さそうな状況なら、それはそれで広告も大いに活用できるはずです。「知ってもらい、ファンになってもらい、広げてもらう」ためですからね。でも、ライバルと大差ない商品の特徴だけを並べ立て、とにかく「売りたい!」願望丸出しのCMは、ブランディングがあまりウマくいってないってことです。

商品特徴を伝えるための広告が「もの広告」とすると、メッセージを伝えるのは「思い広告」(と僕は呼んでます)。新発売とかで「もの広告」が必要だとしても、出来るだけ「思い広告」の要素を入れ込んでブランドメッセージのバランスを高めていかないと、いつまでも多額な媒体費、タレント費、制作費を注ぎ込んだ消耗戦を強いられることになりますよ。

どうせやるなら「もの」の自慢よりも「価値観」とか「ビジョン」とかを知らせてください。そういった広告はブランドの存在意義をかけたものになるので、自然と上質になるでしょうし、社会性も感じられるでしょう。そうなれば、ブランドのファンを増やす確率も上がり、量も要らないので予算も減らせると思います。消耗戦は、1商品ずつで勝ったり負けたりを繰り返したい人たちに任せておけば良いのです。

さて、広告予算を大きく減らせたら、その分で何をしましょうか。自分たちがオンリーワンになるために労力を注ぐと良いかもしれません。社員の仕事環境を改善してモチベーションを上げるのも良いですね。ともかく、そういうブランディングを目指せば、世の中に要らない商品を作り続けるような状態にはならないでしょう。

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廣澤やすまさ
ブランドストラテジスト /クリエイティブディレクター /コピーライター ◆ https://yasumasa-hirosawa.com/