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やりたいことをやるために必要なもの/大人たちの涙

佐藤ひろおです。早稲田の大学院生(三国志の研究)と、週4勤務の正社員(メーカー系の経理職)を兼ねています。

八木仁平さんのyoutubeを見ています。
書籍で知っていた人ですが、youtubeでお悩み相談をしています。

八木さんのアドバイス

八木さんの言うことはシンプル。
・まず「やりたいことを」を見つけ、
・そこから逆算して「やれること」の習得と実験をせよ

さきにゴールを見定めなさいと。
手段を考えるのは後だと。
たとえば、旅行の行き先が決まっていないのに、交通手段を検索しても仕方がないですよね。目の前にきたバスにとりあえず「座り心地がよさそうかも?これもご縁だ」と飛び乗っても、どこに行けるか分からないし、行きたい場所に着くのかも分からないでしょうと。

異論はないでしょう。正し過ぎます。

この反対にあるのが、ぼくたちのやりがちな働き方。
まず目先のやれること・やれそうなことをやる。やみくもに安定しそうな資格を取り、待遇がよさそうな会社を探す。取り繕った志望動機を語って合格した企業に「これもご縁か」と入る。行きがかりで就職した職場で、とりあえず与えられた仕事を必死にこなす。徐々に仕事を任される範囲が増え、出世して身動きが取れなくなる。給料が上がるから安定性が手に入って、ますます手放せなくなる。
これ、本当にやりたかったこと??才能を活かせている??
くそつまらん人生になっていないか??
となるでしょうと。
成功し出世すれば、くそつまらん仕事の分量と難易度が上がるだけ。現在の環境でがんばることは、つまらなさの解決にならない。出世競争に疲れたオレの唯一の楽しみは、成果を積み上げた会社からも家庭からも離れて、カクレガ的なバーで、ひっそりと乾杯するときだけさ。
……なんて、悲しすぎるでしょう、
逆なんですよ!逆!!
「やれること」じゃなく「やりたいこと」が優先ですよ!!
というご指摘ですが、身に覚えがあり過ぎ。

八木さんの動画で思うこと

八木さんは数多くの相談者に、
「つまらない人生を続けてもいいですよ。しかし、つまらない人生がイヤだから、相談に来たんですよね。それならば、見せかけの安心安全の仕事・会社・環境から離れて、やりたいことを見つけないと。やりたいことで生計が立つように努力を始めないと。これは、他人が強制することじゃなくて、あなたの決断と覚悟だけなんです」と迫ります。

そこで相談者が絶句するか、涙ぐむか、あるいは逃走を図るか……というお決まりの展開がくり返されます。
お悩み相談の企画により、八木さんのyoutubeは視聴者を獲得したのだとか。げんに、ぼくも見ちゃってますからね。

八木さんは、やりたいことを見つける方法を提供する会社を経営しています。体系化された方法が強みなので、動画が毎回同じ展開になることは、全然いいんです。相談者に投げかける質問のパターンも、著作のなかで(ほぼすべて)明かされています。
むしろ、毎回相手に合わせて違うアドバイスをしていたら、不信感が出ちゃいます。金太郎飴であることが、サービスに信頼性を与えます。

しかしぼくは、動画で追い詰められる相談者を見ていると、苦しくなっちゃうんですよね。
「惰性のくそつまらん人生を離脱する決心をするのは、あなた自身。やりたいことを見つけましょう。二者択一です。くそつまらん人生の延長戦を生きて、老人になって死ぬんですか」
こう言われても、苦しいだけじゃないか、という気がする。

※才能・やりたいことを見つけるサービスの営業としては完璧
※営業活動をやることはもちろん納得。無料で相談に乗り、そのさまをyoutubeで流すことは、双方の同意があれば完全に納得ができる。

二者択一で追い込んで、厳しすぎるじゃないか。誘導尋問じゃないか、という批判をしたいのではない。実際に、人生を方向転換するならば、当人が決断し覚悟するしかないので。
しかし、「そんなことを言ったって、しょうがないだろ。苦しいだけじゃないか。ツラいだけじゃないか」という警報が、ぼくのなかで鳴り続ける。

人生を立て直すとき必要なこと

八木さんは、「ぼくだって最初から成功者、会社社長、ベストセラー作家だったわけじゃない。学生時代にブログで月100万円の収入を得て、就職しなくていいと考えた。以後、さまざまなビジネスを生んではつぶし、数百万円単位の自己投資をしてきた。失敗のほうが多い」と言います。

八木さんは、自分にとって当たり前で、他人に指図や激励をされなくても、おのずとやってしまうことが才能であるといいます。
裏側から捉えれば、「他人がそれができないと、イラッとすること」が、自分の才能であると言います。自分ならやって当然なのに、他人が躊躇し悪戦苦闘していることがあれば、イラッとするので。それは、他人が無能なのではなく、あなたにその才能があるということですよと。

八木さんの動画で、相談者が苦しんでいるのは、
八木さんがイラッとするレベルで、相談者は、
①金銭的なリスクが取れない(不確かさが恐い)
②社会の主流から外れるのが恐い
という性質があるからではないか。

くそつまらん人生は、いやです。
やりたいことは、見つけたいし、やりたいです。
才能を活かし、社会に役立ち、お金を得たいです。
覚悟できるものなら、今すぐしたい。
しかし、①金銭的なリスクが取れないし、②日本社会で主流の、マジメで長期間の我慢を是とする生き方から逸脱するのが恐いんです!
ぶわっ(大人が泣いている擬態語)

さあさあ!メンタルのブロックを外して!
それをやるなら、今ですよね!!
やりたいこと、やりたいんですよね!
才能、活かしたいですよね!
ひとから感謝されたら、嬉しいですよね!
お金もあったほうがいいですよね!

と言われても、そこを踏み越える「才能」がないんです。。
「才能」ある八木さんには、伝わらないかも知れない。躊躇を肯定しちゃったら、やりたいこと・才能を見つけるサービス・プログラムを受講する段階に進めないことは、重々に分かっているんですけど。。
ぶわっ。

ぼくは、八木さんに文句が言いたいのではなくて(むしろ、250%想定された反論だと思いますし、ぼくも八木さんの主張に賛成ではある)、相談者が泣いているときに頭をグルグルしているであろう、
①金銭的なリスクへの恐れ
②マジメ・我慢を強いる常識の強迫性
を緩和することができれば、もうちょい(この社会が)生きやすくなるんじゃないかな、と思うんです。

やりたいこと・才能を見つけたところで、①お金の不安が大きすぎてメンタルがつぶれる、②マジョリティからの逸脱に罪悪感が強いなら、中途半端に、やりたいこと・才能なんか見つけない方が幸せなんです。自分の内面なんて、見なかったことにしたいんですよ。

①金銭的な不安の解決策は、生活保護があるじゃないか、と言われるかも知れませんが、その中間に段階を刻めるのではないか。
②は、賃上げの風潮(労働者の立場が数十年間でいちばん強まっている)が追い風になるはずですし、声を揚げていくことはできるのではないか。

八木さんに(双方同意の上で撮影され、ビジネスとして理性的に会話しているとはいえ)追い詰められて、涙ぐむ相談者たちを見ていると、自分もそちら側の人間なので、何とかならないものかな、と思ったのでした。

①金銭的なリスクへの恐れ
②マジメ・我慢を強いる常識の強迫性
を自分に対して緩めたいし、もっと社会全体で緩めたい。
この2つを緩和することが、くそつまらん人生を立て直すのに必要なものではないかと。ぼくからは、この側面が強く見えます。※もちろん八木さんの提唱する自己理解も必要です。そこに異論はないです。

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