見出し画像

夜の街のコロナを封じ込められるか?:推計 夜の闇に消える陽性者は4000人弱 ~新型コロナに付き合うために~


 夜の街の関連の陽性者数を大胆に推定してみた。

 東京都の“夜の街関連”の感染者数が、1日当り100~150名(参考 7/10時点の夜の街関連:110人)になるように捕捉率、陽性率、陽性者等を逆算して推定してみた。

 夜の街(歌舞伎町等)の飲食店等(ホストクラブ等)の数が250店舗とすると、働いている従業員(ホスト+スタッフ)の数は1店舗当たり15人とすれば3,750人。従業員が検査を受諾する率、陽性率を想定すると、従業員の陽性者は1週間で563人。

 飲食店等へ来るお客の数は、1店舗当たり15席で2回入れ替わるとすると1日30人、1週間(7日間)で52,500人。連絡が取れて検査を受諾する率を10%、陽性率を7%と想定すると、お客の陽性者は1週間で368人

 従業員、お客の濃厚接触者数は、発覚までに陽性者一人一週間当たり28人に接触したとすると1週間で10,290人、連絡でき、検査を受諾する率を20%、陽性率を3%と想定すると、夜の街の濃厚接触者の陽性者数は62人。

 従業員、お客、濃厚接触者の陽性者合計は、1週間で992人1日当り142人。7/26時点の都の累積陽性者数11,214人の10%弱に当たる。

 それぞれの全数に陽性率を掛けた潜在陽性者数の合計は、4,734人。陽性者数(把握済) 992人との差が連絡・検査できていない市中陽性者数と考えられる。つまり、3,742人が、検査の対象とならず、感染の自覚のないまま、夜の闇に消えたと推定される。


 これらの数が多いか少ないかは、色々な見方ができると思うが、主として追跡・隔離・検査の面から、検討してみる。

1.市中の陽性者数:夜の闇に消える陽性者は4000人弱
 検査の対象とならず、夜の闇に消えたと思われる潜在陽性者3,742人。いったん市中に紛れ込んだ人たちを探し出すのはほとんど無理だろう。また、これらの数は陽性者となる人達であり、それも含めて66,540人に検査を行う必要があるが、すべての追跡は困難である。文字通り、闇に消えることとなる。さらに、これらの人たちの一部は2次感染を起こす可能性がある。
 せいぜいできるのは、もう一度夜の街に来るリピータをターゲットとした検査の協力呼びかけや飲食店での検温の実施、追跡アプリの導入呼びかけくらいだろうか。

2.隔離:夜の街関連で病院にかなり負荷をかける
 7~10日後に感染者の40%が呼吸苦、14%が重症化、5%がICUに入室すると仮定すると、陽性者992人が、それぞれ397人、139人、50人となる。中等症の病床数が最大2700件確保できるとして呼吸苦と重症化の患者計563人を受け入れるとすると約20%を占める。また、都が確保している重症化向けの病床数100床の半数が夜の街関連で占められると想定される。夜の街関連でのクラスターが他の地域にも発生した場合や、他のクラスター発生、市中感染等も含めると、あっという間に隔離すべき対象が増えて、医療崩壊が起きかねない。
 宿泊施設での収容も心もとない。東京都では5月には最大1150人分を借り上げていたとされるが、既に収容済みや契約解除・新規契約等により収容可能者数は変動していると思われる。仮に、2000室の確保ができたとしても、夜の街関連の陽性者(把握済み)992人で半分が埋まる。

3.追跡:夜の街関連の追跡は無理。専門の追跡者を
 夜の街のお客さんの連絡先がすべて、把握できるわけではないが、仮に40%の20,000人の連絡先が把握できたとしよう。それらの人を追跡するためには、一人あたり1時間を掛ける(ダメな場合は諦める)とすると、合計で20000時間。追跡作業に一日一人当たり、5時間従事できるとして、4000人日かかる。保健所だけでは無理。何らかの手立てが必要。また、連絡先等が把握できないお客については、まったく把握できない。
 対策として専属の追跡者を確保し、お客の追跡を専門に行うとして、1000人の専属追跡者を置くとして4日間はかかる試算。費用として日給12000円で約5000万円を4日間、計2億円。電通等のコーディネータへの委託費を含めたとしても10億円もあれば、追跡体制は十分ではないにしても構築できる。

4.検査:捕捉さえできれば、(検査能力を増やせば)対応は可能
 東京都の最大検査数6000人/日(7/23の検査実績約4000件をもとに想定)としの半分程度の3000件の検査能力を夜の街関連に振り向けられたと仮定すると、検査対象(連絡が取れて、かつ検査を受けることを承諾した人の数)合計10,470人を4日間で検査が終了できる計算となる。検査能力自体はさらに拡大の方向であるため、何とか検査はできるが、それも検査をすべき対象を補足できることが前提である。
 
 推計の方法や捕捉率などのパラメータの設定は色々あるだろうが、夜の街の対策の一助となれば幸いである。

よろしければサポートお願いします。 今後の励みとして、発信し続ける原動力にしたいです。 研究費にも充てたいと思います。