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ハンナ・アーレントの「人間の条件」から見る、FIREした人はなぜ再び働こうとするのか①

昨今、話題のFIRE(Financial Independence Retire Early)ですが、FIREしたのはいいものの、数か月もすると働かないことに虚しさ(?)を覚えて再び働く人も少なくないとか。

今回は、ハンナ・アーレント氏が書かれた「人間の条件」

をもとに、なぜFIRE生活が続かないのかを考えていきたいと思います。


①この本では、古代ギリシアの価値観に基づいて、現代では「労働」と考えられているものを
観照 → 活動 → 仕事 → 労働
の4つに分けています。
古代ギリシアでは、右に行く程、価値が低くなっていきます。
(労働が最上位に来ている現代とは、価値観が真逆になっていますねww)

まず、「観照」ですが、言葉の意味を辞書で調べてみると
対象の本質を客観的に冷静にみつめること。美を直接的に認識すること、
と出てきます。
本が難し過ぎて、この言葉の意味が本で、どのように捉えられているのかが分からなかったのですが、個人的には「哲学」や「瞑想」「神事行為」に基づいて、物事を見ていくことだと思っています。

次に、「活動」ですが、原書の表題が「Vita Activa」となっていることから、アーレント氏が重要視している考えただと思われます。
本の中で使われている意味合い的には、「人が集団の中に参画していくことによって、代わりのない自分という存在、自分がどういう存在か、を認識していく行為」という風に僕は捉えています。
(没個性的な人間性が、第2次世界大戦のホロコーストを生み出したと、アーレント氏は考えており、そのアンチテーゼの意味も込めて、この部分を強調しているのだと思われます。)

「仕事」は、建築や像などの造形物を作り出すことによって、造形物自体は永遠には存続はできませんが、それらによって「永遠とも言える世界観」を作り出すことを、この本では意味しています。現代では「仕事」も「労働」も一緒くたにして語られますが、この本では、「仕事」と「労働」を分けています。

「労働」は、人間が生きるために必要なもの、例えば、家事や農作業などが挙げられます。
この時代では、現代ではタブー視されている奴隷が存在していましたが、生産量を上げるためというよりも、生きるために必要なもの生み出すことが価値が低いと考えれられていたため、これらのことを「奴隷」にさせていたと言えます。
(ここらへんを詳しく語ろうとすると、神と人間の関係性や「霊魂」と「肉体」というような、科学主義全盛期の現代とは合いなれないような部分に踏み込むことになるので、ここでは割愛します。)

2000年以上も昔の古代ギリシアではこのように考えられていましたが、これから先1000年以上も続くキリスト教の「原罪」と「生命を大事にする」という考え方と「科学主義」によって、価値観が転倒し現代のような
労働至上主義にいきつくことになります。

文章が長くなってきたので、これ以降はまた次の回で語ろうと思います。

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