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国内企業の脱炭素への取り組みの遅れ、これは何を示すのか・・・

東京都中小企業振興公社が、「中小企業のためのSDGs経営セミナー脱炭素編」というセミナーをネットでやってくれたのだが、業務で出れず・・・
後で資料をもらって内容を読んでみると、まずは「はじめに」で、SDGsについての話が出てくる。そしてこれまで脱炭素系の書籍に書いてある「日本の方針」が目に入る。

・2020年10月26日、第203回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説において、「2050年カーボンニュートラル」 、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言
・10月30日、地球温暖化対策推進本部において、菅総理より「2050年カーボンニュートラルへの挑戦は日本の新たな成長戦略である」とし、地球温暖化対策計画、エネルギー基本計画、長期戦略の見直しの加速を指示
・12月25日、経済産業省は「経済と環境の好循環」につなげるための産業政策として「2050 年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定し、成長戦略会議において報告(2021 年 6 月には改訂版を発表)

セミナー資料より

2050年に日本の方針としては上記の通りであり、菅さんはよく宣言してくれたなと思ったのだが、3/20(日)の日経新聞には「50年排出ゼロ、半数未表明国内400社分析、欧州に遅れ 排出量の数値化難しく」という記事が大々的に出ていた。内容としては以下の通り。

資産運用大手のインベスコ・アセット・マネジメントが2月、日米欧の各地域で時価総額上位400社を対象に、実質ゼロに向けた取り組みについて「実現した」「具体策を実行中」「排出削減目標や具体策を策定」「宣言をした」「宣言をしていない」の5段階に分けて分析した。
最も進んでいない分類にあたる「宣言していない」企業は日米欧合計で571社と約半分を占めた。このうち日本企業は200社で、評価対象企業の半数が宣言していない。米国の214社よりは少ないが、欧州の157社に比べると出遅れている。日本政府は20年秋に50年排出実質ゼロを宣言したが、大企業だけを見ても取り組みは進んでいない。

2022/3/20 日経新聞記事

この記事の中にもあるが、脱炭素に後ろ向きな企業への圧力は一段と強まる見通しであり、世界で450以上の投資家や銀行、保険会社などが50年までに投融資先の排出実質ゼロを目指すと表明しており、総金融資産は130兆ドル(約1京5000兆円)にのぼるとある。
ウクライナ情勢の悪化で資源や穀物の供給が細るとの懸念から、原油先物価格は一時、13年8カ月ぶりの高値となる1バレル130ドル台に上昇しているなど、企業業績に対する懸念も出てきている。
もっと先んじて日本は動かないとまずいのではないのではないか。やはり日本が先んじて動けないのは、株をもつオーナー経営者ではないからなのか。脱炭素の目標時期が2050年と今から約30年後であることを踏まえると、そこまで経営者であることはほぼないということが、ここに現れているのだろうか。長期的な視点がかけていることが、ここに来て現れている気がする。目先のことだけでは、この先どんどんとジリ貧になって行ってしまうのではないか。

今、Amazon創業者のジェフ・べゾフの「Invent & Wander」という本を読んでいると常に長期思考の話が出てくる。長期的にみれば企業と株主のメリットは一致するということを繰り返し述べている。
日本企業にも、その視点をもってもらいたい。そのためには、経営者に株式をもたせるような取り組みが、合わせて必要なのか。
脱炭素については、まさに長期思考が重要になるから、これまでとはやはり進め方が違うのであろう。これについていけるように、考えていかないといけないか。


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