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再生エネルギーシフトの中で、日本としてもっと国が絡めないか

■再生エネルギーへのシフト → 中国という壁
ロシア産の化石燃料への依存を解消する中においては、再生エネルギーへのシフトを進める必要がある。しかし太陽光パネルのシェアの大部分を握るのが中国という状況というのは、カーボンニュートラル関連の書籍を読んでいてもいつも出てくる内容であり、やはりこれが足かせになることが、7/23の日経新聞に出ていた。
将来、中国との関係が悪化すれば、供給が途絶するというリスクがあるというがもっともな事だ。過去には日本でも太陽光発電はシャープなどが頑張っていたが、皆撤退してしまっている。中国は長期的な視点を持ってこの産業を育成していたことが、ここに来て一気に優位性をもたせたか。やはり目先の儲かる・儲からないという視点のみではなく、本当に将来に世の中で求められるものは何かという長期視点がないと、国の存立そのものまでが脅かされると思ってしまう。ここは企業のみにまかせてもどうしても企業は株主をみなくてはいけない、そのために短期視点になってしまう、ここはもっと国が長期視点で考えねばならないところか。

日米欧など西側諸国がロシア産化石燃料への依存解消を急ぐなか、その足かせが明らかになってきた。ウクライナ侵攻でロシア寄りの立場をとる中国の太陽光パネル製造の世界シェアは8割に上り、エネルギー安全保障と気候変動対策を巡る脆弱な現実が浮かぶ。民主主義有志国での供給網(サプライチェーン)整備構想も浮上する。
太陽光発電は温暖化ガスの排出がなく、世界が排出ゼロに歩むなかで風力と並んで主力電源に位置付けられる。普及が進み、太陽光の発電コストが主要電源で最も安い地域は増えている。
天候に発電量は左右されるものの、パネルの設置を増やせば、その分輸入エネルギーへの依存を減らすことができる。
国際エネルギー機関(IEA)は7月上旬、太陽光パネルの主要製造段階での中国のシェアが8割超との分析を公表した。主要素材のポリシリコンやウエハーは2025年までに中国のシェアが95%になるという。

2022/7/23 日経新聞

■日本で研究された次世代の太陽光発電も・・・中国か
上記の記事のちょっと前には、「中国新興、日本開発の曲がる太陽電池を量産」という記事が日経新聞に掲載されていて、衝撃を受けた。もともと日本研究者が開発した技術であるが、「国内電機大手は新規投資に消極的なこともあり」ということで中国が量産で先行した形のようである。

中国のスタートアップが新型太陽電池の大型パネルで世界初の量産を始めた。薄くて曲がる「ペロブスカイト型」と呼ばれるタイプで、製造コストは既存の3倍だが、将来シリコン型の半分まで下げられる可能性がある。スマートフォンへの搭載を想定する。もともと日本人研究者らが開発した技術で、国内電機大手は新規投資に消極的なこともあり中国が量産で先行した形だ。
中国の大正微納科技が8000万元(約16億円)を投資して江蘇省で年間生産能力10メガ(メガは100万)ワットのラインで7月に量産を始めた。縦40センチメートル、横60センチの量産に適した大型パネルを生産し、細かく切り分けて中国のスマホやタブレットメーカーなどに納入する。2023年には2億元を投じ能力を100メガワットに拡大する。李鑫最高技術責任者(CTO)が取材に応じ明らかにした。
新技術は09年に桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授らが発明した。変換効率は現状で約10%とシリコン型の半分程度だが、壁や窓、車など様々な場所に設置できる。工程が簡単で製造コストを下げやすく、脱炭素の切り札としてノーベル賞候補と期待されている。センサー用など小型ではあったが、大型の量産は初めて。
太陽電池は京セラシャープなど日本勢が得意としてきたが価格競争で採算が悪化し事業を縮小し、中韓国勢に開発の主導が移っている。李CTOは宮坂氏のもとで学び、中国で研究を続けた。宮坂氏も支援した。

2022/7/19 日経新聞

これを読んでいると、価格競争に陥るものをやはり企業のみに任せるのも難しいのであれば、国策としても何か手を打つべきなような気もする。企業はきっと株主の顔色を伺うと、長期的な視点には立てないのであろう。。。

■あまり国に頼りすぎはよくないが、エネルギーは国が絡んでも?
今後、化石燃料からの脱却の中で、再生エネルギーへのシフトを進まざるを得ないと思うが、それを企業任せにしているのみでは、どうしても短期視点に立つ企業においては投資しにくいと思われる。成長率は高くても、採算が合わないという状況では競争に勝てない。
あまり国に頼るというのは良くないと思うが、エネルギー施策がポイントで節税という目先のことよりも、このような今後必要とされる分野において企業が投資しにくいところを側面支援するために税金を投入する方が、投資という意味では理にかなっているのではないか。
もっと低コストで生産できるための技術開発など、企業をもっと側面支援してもらいたい。企業はきっと、社長に株を持たせないといつまでたってもサラリーマンの延長にすぎず、短期視点になるのでないかと思うが。。。

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