エレナ婦人の教え第三話#8 出逢い
かつてないほどの不安が目の前に横たわっています。
先の観えない迷路が、進路を阻んでいます。
言いようのない喧騒と静けさが、交互に訪れます。
みなさんの人生はどうでしょうか?
コロナ下の2020年ははじまりと終わりで、真逆の様相を見せました。景気は上向き、やればやるほど成果が出る明るい未来を多くの人が予想していました。
ところがそんな予想はつかの間。3月からは世界中をコロナの霧が包みました。
これから大変な世の中になる。
ペストの再来だ。
しばらくは景気も経済も停滞するかもしれない。
仕事はこれからどうなるんだろうか・・・・・・
言いようのない不安が訪れたことと想います。
この物語は元々、職場に急きょやってきた上司が、毎日のように人を罵倒し、つぶされそうになった私が生きる道を探し求めて描いた心象風景です。
実際に起きたことを素材に想像を膨らませ、物語化。実小説(実話+小説)と名づけ、自分自身を救うために書いた物語です。
不思議なことに、物語を書いて行くと、その方向に現実が引っ張られて行きました。罵倒は止まり、私を助けてくれる人が現れて行ったのです。
そこから想いをさらに膨らませていったところ、空想とは想えないような出逢いを通じて私は、望む方向に人生の舵を切って行くことができました。
そのおかげでいまでは、人の相談に乗り、助かる道しるべを伝授するようになりました。全国から人が集まり、私の所へ相談にお越しになりました。
そこでそのきっかけとなったこの物語をみなさんに披露しようと思いました。そうすればコロナ下の先行きが観えないなか、何かしら光となるのではないかと想ったのです。
もし、この物語のように、エレナ婦人のような、自分を救ってくれる人が現れてくれたら・・・・・・そう想うことでしょう。その想いを胸に、想像を膨らませて行ってください。そうすればきっと、目の前を照らしてくれる何かがあなたを救ってくれるでしょう。
「エレナ婦人の教え」とは?
https://note.com/hiroreiko/n/nc1658cc508ac
はじめに(目次)
https://note.com/hiroreiko/n/ndd0344d7de60
<<これまで
第7章 ゆきえの存在
https://note.com/hiroreiko/n/nc717a6c482ef
第8章 出逢い
「ゆきえさん、ちょっといいですか。お聴きしたいことがあるんですけど……」
「えっ、どんなことかしら?」
「どうしてここに住もうと思ったんですか?」
「そうね、あん人の温もりを感じたからよ。岩手の冬はね、すごく厳しいの。そんなときには、人のぬくもりほど温かく感じるものはないわ。源三さん、口数は少ないけど優しいの。ウチをすぐ受け入れてくれたの」
「ゆきえさんは、一人身ですか?」
「ウチには、酒癖の悪い旦那がいてね。その人を置いて、アタシ一人飛び出してきたの。でも源三さん何も聞かないのよ。傷ついた女にはね、そこがいいの」
彼女のことばは新鮮だった。ちゃんと言わないと伝わらない――そう、いつも思っていたからだ。
「源三さん、人一倍、気持ちがわかる人なの。あん人の目を見れば、わかるの。わかってくれてるってね」
そう言われ、源三と初めて逢ったときの鋭い目つきを思い出した。
源三さんとゆきえさん、お互いが引き寄せたのかな……
ぼんやりとそんなことを考えた。
>>>つづきはこちら
第9章 愚直
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