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なぜ、真実が明らかにならないのか。組織と個人のはざまで――

いま、森友事件を再確認している。

文書改ざんに抵抗し、国民を裏切った罪悪感から自らの命を絶った赤木俊夫さん。

2017年2月、森友学園用地の極端な値引き(9億→1億)への疑惑から国会追及された安倍元総理。

もし妻や私がこの問題に関与していれば、議員を辞めるとまで発言したために、関係部署は色めきたった。

なぜならこの問題がクロと出れば、本当に辞めなければならないからだ。

改ざんを佐川元局長や財務省が指示したのか。していないのか。

赤木さんはウソをつかねばならなかったことに最後まで抵抗し、罪の意識にさいなまれ、精神を病み、1年後、命を絶った。

なぜ、夫は死ななければならなかったのか。

なぜ、一人の人間が死に追いやられているのに、誰も真実を明かさないのか。

奥さんの雅子さんの戦いは、夫の死から2年後、はじまった。

それには森友事件を追求しつつ、デスクから外された相澤冬樹さんの助けもあった。

じつはここにきて、森友事件が再度、取り沙汰されている。

1つは昨年12月の国が赤木雅子さんの訴状を認め、賠償金を払うことで早期に問題を終結させようとしたこと。

もう1つは事件を追った東京新聞の望月衣塑子さんが関わったNetflixドラマ「新聞記者」が、取材した赤木雅子さんの了承を得ないまま放映されたこと。

そしてもう1つは冒頭のイラストを描く魚戸おさむさんの連載漫画「がんばりょんかぁ(がんばっているかい?)マサコちゃん」がはじまったこと。

だ。

私はこの問題を4年前から追っていた。安倍昭恵さんや安倍元総理が改ざんに関わっていたのか。佐川局長が直接指示したのか。またそれによって赤木さんが死を選ばなければならなかったのか。

指示したのか。していないのか。真実はどっちなのか。

ほとんどの人は「指示した。だから嘘をつかなければならなくなった赤木さんは死を選んだ」と思うだろう。

しかしそう言い切れない面がある。

図を見てほしい。

X トップ  (安倍昭恵夫人)←籠池理事長「スリーショット写真」
  ↓
A 組織の意向(財務省・近畿財務局・佐川局長)
   ↓
B 中間管理職(幹部:赤木さんの上司)
  ↓
 C 末端社員(赤木さん)

赤木さんは佐川局長が指示をしたとパソコンに残した「赤木ファイル」で告発している。

じっさい、国会に呼ばれる際、文書の疑惑部分を真っ黒く改ざんしているから赤木さんの言うことは間違いではない。

しかし、虚偽の説明をするために、改ざんをするよう直接指示したのかと言うと、そうではない。

じつは、籠池理事長の教育方針にいたく感動した安倍昭恵さんが撮ったスナップ写真を使って、籠池理事長が土地保有者の大阪財務局に安く売るよう圧力をかけたことが発端だ。

じっさいこの土地にはゴミがあった。だから土地の評価としては(8億も値引きするかどうかは別として)下がる要因があった。

そこに安倍昭恵さんが関与しているのではないか、と大阪財務局が思えば当然何がしかの配慮がある。

そう。元々この問題は、籠池理事長の強い思惑に対して、不用意に近づいて行った安倍昭恵さんの自由奔放さに問題があったのだ。

森友学園の幼稚園児に対し、理事長が尊敬する人は誰ですか? と尋ねる。すると園児たちは「安倍首相です」と答え、昭恵さんは涙ぐむ。

幼い子どもたちがこんなにも夫のことを尊敬してくれていることに、いたく感激したのだ。

しかし。しかしだ。

悪気のないたったひとつの行動が、後に人が死を選ばなければならなくなるほど大きな問題へと発展すると誰が予想できただろうか。

漫画を読んでいると、赤木雅子さんが夫の俊夫さんとの日常を、平凡だけど幸せだったと回顧し、涙するシーンがある。

私はこのシーンを観て、心に響くものがあった。

じっさいにはこんなにダンディで芯のしっかりした男性ではなかっただろう。もっと気弱く、不器用な、生真面目な男性だったろう。

けれども雅子さんの目には、たしかに、このダンディな、理想の旦那さんだったのだろう。そう想うといたたまれなくなった。

指示したのか、していないのか。

最初、指示はしていなかった。佐川局長が国会で答弁する際に、疑惑をもたれないよう疑わしく思われる部分を修正したほうがいいという当局の判断であって、安倍元総理や昭恵さんが関与したわけではなかった。

しかし人が一人亡くなっているのに、謝罪しにきてはくれない。その悲しさを雅子さんは感じているのだ。

それが天国で笑っている俊夫さんへの、報いる気持ちだと思う。

もし一人でも傷つく人に寄り添う人がいたら、悲劇は起きなかった。

俊夫さん、天国で安らかに眠ってください。これから少しずつ真実が明らかになっていきます。



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