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名取市の奥にある天然ダムを衛星データで観測してみた(その2・準備編)、の巻。

 さて、実際に観察するにしても準備が必要です。
 といっても、予算(お金)はありません・かけられません
 お金が無くても、工夫で何とかしますよ!、という地方議員あるある(?)で、無償で良いものを使ってやってみましょう。

◇まずは環境をつくりましょう。

 GISのソフトQGIS3です。定番です。間違いないです。
 (今回使ったバージョンは、3.10.7 LTR)

 QGISは、誰でも自由に使えるフリーソフトです。GISの世界では有名です。
 フリーといっても、機能はたっぷりあるので、できないことはないと思います。私は専門書として、本も持っています。(これはオススメ)

 また、参考にしているのは「はとば」さんのnoteです。文字通り、私も非専門家なので、この一覧を読み返しながら考えていますよ。

 この他に衛星画像データを見るために、SNAP Desktopを使いました。
 光学画像(Sentinel-2)では、特に必要ではないのですが、後々のSAR画像(Sentinel-1)で使うことになります。

https://step.esa.int/main/toolboxes/snap/

 SNAP Desktopは、ESA(欧州宇宙機構)のフリーソフトです。
 ESAが所有しているSentinel-1、Sentinel-2など、Sentinelシリーズに加えて、日本のALOSなどの衛星データの画像を解析できるとあります。
 SAR画像をQGISで読める様にするための一時現像・加工(エリア抽出など)に使いました。

 パソコンは、ThinkPad W541(メモリー32GB、SSDは500GB)と、ちょっと前のワークステーション級のスペックなものです。

 こんな感じで環境(と構築)は、いつも使っているPCです。QGISはすでに入っているので、新たにSTEPのインストールだけで終わりました。
 特に難しいことはなく進められました。

◇観察の準備と材料を集めよう。

 環境ができたら、観察の準備を進めます。

 天然ダムの何を見るために、衛星データを使うのか、というのがポイントになりそうです。観察のための課題を整理します。

 一口に衛星データ、といっても種類があります。詳しくは、宙畑にあります。

 これを参考にしてシンプルに考えて、下記の3つにしました。
  1.天然ダムの大きさに変化があるのか
  2.下流側の砂防ダムに変化はあるのか
  3.周辺の山(V字の谷)に変化はあるのか

 結局のところ「変化しているか・していないか」です。
 これだと非専門家であっても観察が容易ですし、説明するにもわかりやすくなると考えています。

 では「何(のデータ)を使って変化を見るのか」ですが、天然ダムなので大きさ(面積)は水の量に依存します。
 水の量を何らか方法でカタチにできれば変化を追うことができると考えました。
 先輩議員さんが地域の方から聞いた「はん濫のおそれはないのか」というのもヒントにしています。

 水の量が大きく変化したことといえば、直近では昨年10月の台風19号がありました。
 市内でも大雨が降り、増田川などの水位が上昇。一部で水路などのはん濫のために稲わらの流出などがありましたし、樽水ダムの貯水量も大きく増えています。
 なので、台風19号による大雨が降った2019年10月12~13日を比較の対象とします。

 ここまで整理できたので、次は観察のための具体的な材料を入手します。後で詳しく紹介しますが、地球観測衛星Sentinel-2の画像を使います。

 Sentinel-2を始めとしたSentinelシリーズがどんな衛星なのかは、こちらをご覧下さい。

https://sorabatake.jp/9987/

Sentinel-2の画像を、Copernicus Open Access Hubから取得しましょう。もちろん無料です。

https://scihub.copernicus.eu/dhus/#/home

 操作については、ググると結構出てくるので割愛です(^^;)。 

 先ほどの通り、台風19号の前後を比較するという条件にあうところ、また、はっきりとした画像=雲が少ないという条件で探します。
 Sentinel-2のような光学衛星の画像は、雲の量によって見える・見えないが大きく影響します。
 これらの条件に合致するところで、下記の4つが該当しました。

 a) 2019年10月10日
 (台風19号が来たのは10月12~13日)
 b) 2019年10月15日
 c) 2019年11月04日
 d) 2020年06月21日(直近)

 この4日分のデータをDLして、次は画像を見て観察してみましょう。

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