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Tencent(0700):FY2021 2Q|中国政府が締め付けを強化する中で高成長を維持

今回は2021年8月18日に発表されたTencent(テンセント)のFY2021 第2四半期(4-6月)の決算を解説します。

1.FY2021 第2四半期(4-6月)業績ハイライト

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テンセントの売上高は前年同期比で約20%増のRMB138.3bn (約2.3兆円)、営業利益は68.7%増のRMB52.4bn(約7,215億円)と中国当局によるテック業界への規制が厳しくなる中でも増収増益が続いています。

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主力のゲーム/ SNS課金をはじめ、オンライン広告やFinTech /ビジネスサービスのすべてのセグメントで業績の拡大は続いているものの、今回の決算発表では、直近での中国当局による規制強化もあって「短期的には不透明感が広がり、今後、新たな規制が多数導入され、同社業績への影響は避けられない」との考えが示され今後の動向が注目されます。

2. 決算説明会のハイライト

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【ゲーム】
ゲーム事業の売上高は、ユーザー1人当たりの売上(ARPU)の向上や有料ユーザー比率の増加に伴い、前年同期比13%増となるRMB41.0bn(約6,730億円)、パンデミックによる追い風から一巡してもなお強い成長し続けており、

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とりわけ中国国内の主力タイトルである王者栄耀「Honor of Kings」や天涯明月刀「Moonlight Blade Mobile」、海外では「PUBG Mobile」と「Clash of Clans」などが成長を牽引しています。

【SNS課金】
またSNS課金事業では、デジタルコンテンツの月額課金やゲーム内アイテムの販売が緩やかに増加したことにより、売上高は前年同期比9%増のRMB29.0bn(約4,800億円)となりました。

デジタルコンテンツの総契約者数は、前年同期比13%増の2億2,900万人、その中でも映像配信サービス(Tencent Video)の加入者は、スポーツ、アニメ、ドラマ、映画などの多様なコンテンツ配信が奏功し、前年同期比9%増の1億2,500万人にまで増加しています。

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広告事業は前年同期比23%増となる売上高はRMB23.0bn(約3,760億円)、教育分野からの広告出稿は低迷したものの、インターネットサービス、消費財、自動車などの分野が増加し吸収。

アップル社のiOSのアップデートに伴うプライバシー保護強化による広告事業の低迷は、予想されていたよりも影響が少なかったようです。

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FinTech / ビジネスサービスの売上高は前年同期比40%増となるRMB42.0bn(約6,900億円)、前四半期比でも7%増となり、FinTech/ビジネスサービスが大きく伸長。

決済サービスを利用する一般消費者の数と、一般消費者1人当たりの決済取引件数がそれぞれ増加。

また中小企業にとっての使いやすさ重視に加えて、安価な手数料設定により、追加サービスの提供を通して中小企業の成長支援も行っています。

またそのかのビジネスアプリケーションも「Tencent Meeting」が短期間で、中国で利用される動画会議ツールとしてNo.1になるなど2021年6月のMAUは昨年末から2桁成長が続いており、医療や教育の現場での普及が続いているようです。

3.株価の反応

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このようにテンセントは好調な決算ではあったものの、2021年2月につけた最高値から約45%下落しており、好調な決算をもってしてもこの下落基調は止まりません。

昨年の11月のAnt Financialの上場延期をはじめ、最近上場したDiDiに対するアプリの新規ダウンロード停止命令など相次ぐ中国テック企業に対する締め付けによって、テンセントをはじめとする中国テック関連株は大きく売られており、足元まで続いています。

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また過去5年のPSR(一株売上高 / 株価 倍率)で見ても今がもっとも低い水準となっており、”割安”であることは間違いないですが、中国政府の出方次第ではさらに下落する可能性も考えられることから、値ごろ感からボトムフィッシング(安値を探して買う)のは危険といえるでしょう。

4.最後に

最後まで読んでいただいてありがとうございます。この記事を気に入ってくれたら”スキ”ボタンを押して頂ければと嬉しいです^ ^またこれからアメリカのテック企業を中心に新規に上場する企業を紹介していきたいと思っているのでぜひNoteやTwitterのフォローをお願いしますm(- _ -)m

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