手を洗う暇も余裕もない介護現場

いまの勤務先では、職員に対して週に2回も(コロナの)抗原検査をやらせて、体温を4検などと、一見だけすると感染予防にやっきになっているように見える。
 しかし実情は、介護の現場では職員はろくに手を洗っていないし、腰にぶら下げたアルコール消毒液もほとんど使われていないように見える。現場レベルでは感染予防がまったくおろそかになってる印象がある。

わたしが病棟で看護師をしていたときも、忙しい環境だったが、それでも手洗いは励行されていたし、多くの看護師はやっていたと思う。だから、看護に比べて介護職の意識の低さはもちろんあるだろう。看護師なら使い捨ての手袋を使うような場面でも、介護職はなぜか使おうとしないのである。
 そもそも介護の教育では、感染予防や標準予防策(スタンダードプリコーション)をほとんど習った記憶がない。そういった教育の面から問題を感じる。

いちばん問題なのは、ゆっくり手を洗う余裕もないほど忙しい、ということだろう。
 とくにユニット型特養の忙しさ、職員の負担の大きさは、日々痛感していることである。一人の職員に、複数の業務をこなさせること自体、負担が大きく、利用者にとっては事故の危険が大きい。このことはこれまでの記事でもふれてきたし、これからも記していきたい問題点である。
 職員は排泄のケアをした後で、同じ手で食器を洗ったり配膳したり下膳をしている。そして、利用者に食後の薬を飲ませて、ナースコールで呼ばれてまた別の利用者の排泄ケアに入る……。その間、ろくに手を洗わないし、その余裕はもちろんない。こういう現実がある。

だから、まともな介護施設の経営者/運営者/管理者であれば、もう今後はいっそうユニットケアは機能しないと考えて、従来型の多床室に転換すべきと思います。
 なぜなら、すでに述べたように職員の負担が過大で、しかも利用者の命を危険にさらしているからです。
 人材が不足し、今後ますます確保できなくなることが予想されるが、その中でどうすれば介護現場を安全に、効率的に回していけるのか。運営側が無能なのは仕方がないけど、それならそれで現場で働く人間と対話するようにしたらどうだろうか? それも上から目線からではなく、対等な目線で
そう思いますね。

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