仙台89ers:2022-23シーズン 第15節(1/1,2 Home Game vs広島 at ゼビオアリーナ仙台)雑感
今節のプレビューはこちら。
◯試合前トピック
・新B1にむけての所信表明
2026-27シーズンより、現在のB1-B2-B3での成績に伴う昇降格がなくなり、一定の基準を設定してそれぞれの基準を満たしたクラブがそれぞれのカテゴリーに所属することになります。昇降格のないクローズドなリーグにすることでクラブの価値をより高め、リーグをより発展させようというBリーグの将来を見据えた施策と言えます。
これを受けて、2023年の幕開けとともに仙台89ersもB1参入へ向けた所信を地元新聞紙書面、ツイッター、クラブHPなどで表明しました。
クラブは所信表明の中で新B1への参入条件の目安として大まかに以下の3つをあげていますが、これはBリーグを普段ご覧になっている方にはある程度周知のことかもしれませんね。
平均入場者数:4,000人以上
売上規模:12億円以上
新設アリーナ基準の充足
こうして参入条件を書いたり口にしたりするのは簡単なのですが、仙台にとってはこれがなかなかクリアするのは大変な基準です。昨季の決算概要等を見ると、Homeでの平均入場者数はコロナ禍の影響で収容数が50%という時期もあったことから1,538人にとどまり、売上規模(営業収入)は5.5億円でした。今季は収容数制限が今のところないため平均3,000人強の入場者数をキープしていますが、メインで使用しているゼビオアリーナが最大収容数4,000人強と常に完売満員としないと条件1.のクリアが厳しい。入場者だけを考えるとカメイアリーナをメインにすればいいような気がしますが、築年もだいぶ経つ体育館ですので、条件3.がほぼ満たせななくなります。条件2.については、昨季より入場者数が倍増していることで昨季より収入は増えそうですが、まずは集客数アップということでご招待券や優待価格券なども多く出ていそうなので、入場料収入の大幅アップはそこまで望めなく、今後どれだけのスポンサーを獲得できるか、ということになりそう。
まずは新B1参入への意思表明ということで、今後参入実現のためのビジョン策定、具体的施策の実施などが順次行われていくのでしょうが、注視していきたいですね。
・田中、キャリア通算3,000得点達成
前節北海道戦で節目の記録が達成されました。
前所属の広島時代はクイックリリースの3Pを武器とするシューターとして、B2の3P王を獲得したこともある選手です。本当はもっと以前のように3Pを放ることもできるのでしょうが、仙台では藤田HCからも厚い信頼を受けるそのディフェンス力ですっかり「ディフェンスのスペシャリスト」として新たな境地を開拓し玄人好みな活躍をしているのはご存じの通り。今季序盤はけがで出遅れもありましたが、今後もエースキラーとしての活躍に期待したいですね。
※今節のレビューも年始は公私多忙につき執筆の時間があまりとれなかったので、前半、後半で少し短めに綴ります。
◯Game1(1/1 15:05 TO)仙台66広島92
Game1開催前にクラブより以下のリリース。
前節はコンディション不良ということでDNPだったわけですが、意外と重いけがをしていたのでした。特にこれまでスコアリングという面で素晴らしい活躍を見せていたトーマスの離脱は痛い・・・。
そんな中でのGame1のスターターはこちら。
トーマス不在であれば得点という面ではブースに期待するしかないのですが、ブースもシューターにはよくある、入りだしたら止まらない時もあるものの、ここ数Gameちょっとタッチが落ちているのはやや気がかりなところ。またスタメンがブース以外はベテラン勢というのも・・・うーん。
序盤は仙台のディフェンスがよく、得点力の高い強敵広島を相手に1Qは13得点にとどめさせるほどの出来。しかしオフェンス面では細かいところでミスもあり、もう少し得点できそうだったところ19得点と6点をリード。2QもOTOまではいいペースで進むのですが、今Gameも過去数Gameと似たような感じでOTOで修正してきた相手の前に停滞する場面が増えてきてしまい、前半終了時には逆転の3Pをメイヨ沈められ、32-35と3点ビハインドに。
前半はいつも割と調子のよいGame1同様にトーマス不在にもかかわらずいいディフェンスができていて、キーマンのエバンスをあまり思うようにプレイをさせていませんが、一方でメイヨがコートインしたときにしばしばフリーにさせてしまう場面があり、そこをうまく突かれる形で逆転を許してしまいました。後半はその辺を少し修正してインテンシティ高いディフェンスを継続したかったところでした。
後半になると仙台のインサイドをやや攻めあぐねていた感じの広島が少しオフェンスの形を変えてきます。エバンスの連続3Pを皮切りに、3Qだけで7本の3Pを固め打ち。トーマスがいない中、機動力が少し落ちる外国籍勢+小寺の弱点を突くように、素早いパス回しからアウトサイドにフリーな選手を作り出して次々に3Pを沈められてしまいました。3Pのアテンプトは仙台広島ともに9本だったのですが、決定力の違いをまざまざと見せつけられる形に。3Q終了時には51-64と13点にまでビハインドが拡がりますが、まだ追いつけない点差ではないので、なんとかディフェンスから活路を見出してほしかったのですが・・・。
3Qの3P攻勢に警戒を強めざるを得なくなった仙台ディフェンスが外に広げられる形になると、今度は個人技に長けるエバンスの独擅場となってしまいました。アウトサイドだけでなくインサイドも翻弄されては仙台ディフェンスももうお手上げ、得点差をさらに広げられる一方となり、最終的には66-92と26点もの差をつけられる大敗を喫してしまいました。メイヨには3Pが4/5の26点、エバンスには3Pが3/4の25点とこの2人の得点だけで広島の得点の半分以上を稼がれてしまいました。
今季Game1でこれほどの完敗を喫したと思えるのはAway島根戦と、点差はそれほどでもなかったですが内容的に低調すぎたHome大阪戦。島根戦ではGame2では勝利もうかがえそうな闘いぶりにカムバックしましたが、大阪戦ではさらに低調なGame展開としてしまいました。今節はどちらのパターンになるのでしょうか・・・。できれば後者は繰り返してほしくない・・・。
気になった選手:澤邊
最近調子を上げている感じはよくわかり、今Gameでは渡辺が不在な中、PGを務める場面もあったり、自らの持ち味でもある積極的な切り込みから得点を決めて見せたりもしました。しかし、相手に読まれやすいスキップパスですとか、自分で行けそうなところでパスを選択したりと、プレイセレクトの面ではもう一段のレベルアップがほしいところ。考えすぎずにシンプルにプレイしたほうがもっと持ち味が出るんじゃないかという気がしなくもありませんが・・・。
◯Game2(1/2 14:05 TO)仙台72広島84
Game2のスターターはこちら。
Game1と同じメンバー。若手よ出てこい・・・。
カムバックしたかったGame2でしたが、Game1の悪い流れが断ち切れず、とにかくシュートが決まりません。3Pがとにかく精度が悪く、1Qは0/7。これが響いて1Qはわずか6点に抑えられ、6-18で12点のビハインドと早くも Game1に続く大敗ムードが漂い始めます。しかし2Qに入ると少し持ち直し、3Pも決まりだして一転追い上げムードになったのですが、特に岡田がこのQで3Pを2/2、ペネトレイトからのand1からの3Pプレイもあって9点をたたき出すなど、ここまで伸び悩んできた感がありましたが、ようやく持ち味が戻ってきました。その岡田のスコアなどで一時は4点差までに詰め寄りますが、前半は31-37と6点ビハインドまで戻して終了。
今季、割と調子がいいGame1に対して、Game2では後半の入りが悪いところで一気に引き離されてそのまま詰め切れず敗北、という展開が非常に多いのですが今Gameではその悪癖というか同じパターンを繰り返さずに同点、逆転まで持っていけるのでしょうか。
願いむなしく3QはいつものGame2でよく見る展開となってしまいました。仙台がシュート精度がまた落ちてきて決めきれずにいるうちに、広島には着々と加点され、3Q終盤に連続得点を浴びては46-61の15点差で3Qが終了。3Q終了時の点差はむしろGame1より開いてしまい、4Qでさらに点差を広げられたGame1の惨状が頭をよぎってしまいます。しかしGame1とは異なり仙台はここから粘りを見せました。2Qで9得点と持ち味を取り戻しつつあった岡田がファイアー、4Qだけで3Pを4本沈める大活躍。とはいえ、岡田が3Pを決めたと思ったら次のポゼッションではあっさり3Pで返される展開となってしまい、点差が縮まっていきません。4Qの終盤にはバーレルのインサイドアタックで打開を図れたシーンが多く見られたのですが時すでに遅し、Game1のようにさらにリードを拡げられることはなかったものの、点差は3点詰めるにとどまり、72-84で敗れては4連敗となってしまいました。
気になった選手:渡部
今Game復活の兆しをみせた岡田にしたかったところですが、渡部をセレクト。Game1Game2とそれぞれ10分以上のプレイタイムを得ると、Game1では7点、Game2では9点をゲット。特別指定加入として期待するものはありましたが、すでに堂々たるプレイぶり。特にゴールに積極的に向かう姿勢はチームにとっても好ましいものと言えましょう。引き続き指揮官やチームメイトの信頼を勝ち取って、プレイタイムを増やしてほしいですし、新しい風を吹き込んでくれるといいですね。
◯最後に
西地区首位を走る強敵広島を相手に、Game1の前半までは「ひょっとして・・・」と思うような展開には持っていけましたが、後半は地力の差を見せつけられる敗北。また、困ったときに頼れる存在だったトーマスの不在はやはり大きかった。得点力もさることながら、ディフェンスにも優れた選手だっただけに、離脱は仙台にとってはやはり大きな痛手でしょう。全治2~3か月ということで、4月の超過密月までに戻ってこれるかどうかというところですが、渡辺同様IJリスト登録で外国籍選手を短期契約などの補強があるのかどうかも今後気になるところです。
Game1にコテンパンにやられてGame2も悪すぎた入りでどうなるものかと思った時間もありましたが、Game2は敗れながらも選手たちの意地・プライド、矜持は垣間見れたと思います。ここまであとちょっと、あとちょっとというGameが多いのですがやはりGame1の試合後に藤田HCが語っていたように「これがB1」ということなのでしょう。細かいミスを繰り返していたり、気持ちを緩めるようなところを見せるとあっという間にそこから突き崩されるのは今季何度も見てきた光景。もうすでにシーズン1/3以上を経過し残された時間も刻一刻と少なくなってきましたが、少しでも突き詰めて少しでも多くの勝利に結び付けてくれることを願うばかりです。
次節は2季前に昇格をめぐってしのぎを削った群馬との対戦。今季はPGにファンタジスタ並里を迎え入れ2季前の群馬よりさらに力を増しており、東地区でも現在3位につけるほどになっています。かつてのライバルクラブではありますが、強豪クラブの一つとしてあくまでチャレンジャーとして対峙していきたいですね。
それではまた。
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