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付けペンへの思い入れと調べたこと

最近、思うところあり、付けペンを使うことが多くなっていて、色々疑問も出てきたので、私なりに調べてみました。

そもそも、ペンっていつから使われてるの?

葦ペン

そもそも、ペンが使われ始めたのはいつか?調べると紀元前4世紀の古代エジプトの遺跡からも出土している葦ペンがはじまりのようです。1本の葦の茎を切ってパピルスや粘土に字を書いたらしいです。

植物を使ったペンは、今現在も葦の他、竹やヨシなどその後、各風土に根付く植物で作られているようですが、日本では葦より竹で作られる方が多いのかもしれません。割りばしペンなどもその類でしょうか?

羽根ペン

英語のpenの語源が、羽根を意味するラテン語のpennaに由来することから、歴史の古いペンの一種とされます。鷲や雁など大型の鳥や、カラスの羽根などから作られ、5世紀から19世紀の主要な筆記具だったようですが、金属製のペン先の普及で廃れた模様。ネットで調べた浅い知識なので定かではありませんが、明治初期に日本に初めて入ってきたのもこの羽根ペンらしいです。   

日本におけるペンの歴史

日本の筆記具は古くから筆で、ペンが初めて日本にイギリスから輸入されたのは明治初期だと言われています。(羽根ペンが明治4年に輸入されたという記録もある)つまり、日本におけるペンの歴史は明治時代に始まったということでしょうか?

日本で一番最初に金属製のペン先を製造販売したのはゼブラ社で、明治30年だったそうですが、実は今文具好きな方々に静かなブームを巻き起こしているガラスペンもその5年後に誕生しています。

ガラスペンの生みの親は、日本の風鈴職人、佐々木定次郎氏だと言われていて、当時はペン先だけでしたが、筆の軸に取り付けられる形で作られていたそうです。(今のようなペン軸からペン先までガラス製のガラスペンは1989年に作られた)

私は、軸まで総ガラスのガラスペンには気後れして手を出したことはないんですけど、明治期に誕生したガラスのペン先は、昭和中期位まで一般的に使われていたもののようです。(ヤフオクなどではまだ手に入るみたい)その素朴な感じの写真をネットで見た時、華やかなガラスペンには興味のなかった私も、日用雑貨として息づいていたガラスのペン先には俄然興味が沸き、使ってみたくなりました。

40年来の相棒。漫画で使うつけペン

私のつけペンとの出会いは、漫画からでした。最初、お絵かき大好きから始まって、鉛筆で漫画らしきものを描くようになり、万年筆でペン入れの真似事をしてみたものの、何かもの足りず、本格的に道具を揃えてみようと思ったのが中学生の時でした。

そして、まずうちにあるものを探してみると、誰のものだったのか、かぶらペンと水色のペン軸を発見。タイトルにも使っているこの写真の中央にあるのがそれでした。

でも、インクがなかったので、地元商店街にある大型文具店で、製図用インク(当時はパイロットの製図用インクと開明墨汁が漫画用インクのスタンダードでした)と写真最上部のカラス口、その下の丸ペンを買ってもらったような記憶があります。

そして、さらにお小遣いを貯めてGペンを買い、描き比べをしたんだったかな?最初はインクの扱いが難しくて、手が真っ黒に汚れ、修正に次ぐ修正だった気もしますが、慣れるとキレイな線が描けるので、今でもイラストや漫画を描く場合は、よくつけペンを使って描きます。

例えば最近、Gペンと丸ペンを使って描いたのが
このあたりのペン画なのですが、

線の強弱がおわかり頂けるでしょうか。(主線Gペン、影や髪の毛は丸ペン) 

前掲のイラストレポートに描いていますが、ペン先の強弱は筆圧ひとつで変えられます。(実はこの中の日本字ペンはまだ手にしたことはないのですが…)

最近はGペンが一番扱いやすく便利なので、かぶらペンをほとんどペン画イラストに使わなくなりましたが、先日万年筆についての投稿でご紹介した朝活書写で字書きに使ってみたら、字を書くにはとても良いペン(適度に硬さもあり一定の線が書ける)だったのだなあと改めて再認識しました。

あと、改めてこれはつけペンだったのだなあと思ったのがカラス口です。

こうやってインクを含ませて定規を当て、線を引いていくのですが、私はこれ以上にキレイな漫画の枠線が引ける道具を知りません。最近は横着してついフェルトペンで枠を引いてしまうのですが、やっぱりこうして見ると、カラス口で引いた線は角がキレイですね。

前掲のイラストレポートに描いた二重線の引ける鉄道ペンや、手塚治虫先生が愛用されていたというファルコンペンもどんな書き味だったのか、機会があれば試してみたいですね。

今、つけペンのペン先を製造販売しているのは、ゼブラとタチカワの二社(日光も販売はしていますが、製造をタチカワに委託しているらしい)みたいですけど、自分の持っているペン先を確かめてみると、スクールペン以外全部ゼブラでした。

タチカワのスクールペンは持ってはいるのですが、それこそあまり使うことがなく、しまいこんでしまっています。でも、ペン軸はタチカワの軸が書きやすくて一番好きだし、使いあぐねているスクールペンは文字の書写や、このあとにまとめているカリグラフィーに使っても良いかなと思っているところです。

今年見直したカリグラフィー道具

今年、Twitterで見つけて、朝活書写とともに毎日カリグラフィーを書いて練習させてもらっているのが、「ゆったり名言書写」です。

まだなかなかペンコントロールが定まらず、うまく書けないのが現状ですが、実は20年位前、カリグラフィーを友人と共に先生について習う機会があり、1年位やっていたのです。

その時はああ、道具はこれなんだな…と思って書いていたのですが、今になって道具を出してみると、実はその時にその辺の文具店ではすぐに手に入らないであろう、アメリカのHUNTというメーカーのペン軸とペン先を与えてもらっていたんですね。

HUNTのペン軸は二種類あり、まっすぐなストレートタイプと、斜体のカッパープレート体が書きやすいオブリート軸がありました。オブリート軸に差しているアーチストペンは、日本のスクールペンに形が似ていますが、少しペン先が柔らかい印象。

そして、スピードボールという形態(ブランド名?)のペンはCタイプもBタイプも、ペン先が3つに分かれていてインクをためる部分があり、粘度の低いインクでも流れ出さず、しっかり書けます。私はやったことがないですが、サラサラの水彩絵具でも文字が書けるようです。

また、先生とは別ルートで手に入れた、カリグラフィーのスターターキットに入っていたのはウィリアムミッチェルというイギリスのメーカーの軸とペン先でした。これはスピードボールとはまた違う、昔からある(らしい)形態のラウンドハンドという形態のペン先でしたが、これもインクをためる部分がある二重構造で、粘度の低いインクで書いても流れにくく、スピードボールに比べてペン先が柔らかく書きやすいなと思いました。

あと、私は持っていないですが、ドイツのブラウゼというメーカーの道具も愛用されているカリグラファーさんは多いようです。これも使ってみたいなあとは思いますが、今は前述のウィリアムミッチェル社製カリグラフィースターターキットに入っていたインクで賄えているけど、今度はインクの沼にはまりそうでこわいので、このくらいで増やすのはやめておこうかと思います。

改めて奥が深いつけペン

どの分野もそうですが、今まで何気なく使ってきたつけペンも深掘ると面白い。新しいものかと思えば意外な歴史があったり、(ガラスペンが実は明治生まれだったとか)国によってペン先が違っていたりするのもこのたび初めて知りました。この歳になっても知らなかったことを知るのはホントに面白いです。

ただ、私感ではありますが、丸ペンが有名だった日光がもう製造から撤退しているとか、文具店に行っても昔に比べてつけペンの売り場が縮小されているとか、寂しいこともちらほらあるのが現状。もちろん、つけペンじゃなくてもミリペンとか、ボールペンとか、今は扱いやすい道具が山ほどあって、さらにはデジタルでつけペンの書き味が再現できる便利な世の中になって、ニーズは減る一方です。

でも国内、海外含めたつけペンのメーカーさんにはなんとか作り続けて欲しい。それが40年下手ながらも使い続けてきた、ユーザーとしての私の願いでもあります。

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