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ユーモアはすべてを癒す
今日のおすすめの一冊は、斎藤茂太氏の『いくつになっても「輝いている人」の共通点』(祥伝社黄金文庫)です。その中から「朗(ほが)らかに生きる」という題でブログを書きました。
本書の中に「ユーモアはすべてを癒す」という心に響く文章がありました。
“ユーモア"はあらゆる外界のストレスから心身を守ってくれる頼もしい楯である。
こんな瞬間を経験したことはないだろうか。失恋や受験や仕事の失敗などで落ち込んだときに、思いがけない出来事で思いっきり笑い、笑ったあとで「あれ、さっきまでなんであんなに落ち込んでいたんだろう」と、一瞬、不幸を忘れてしまったことを。
笑ったあとの冷静な頭で考えれば、「あんなに悩むなんてバカバカしい」と思えることも多いものだ。「笑い」の効用は、落ち込んだ原因をくよくよ何度も考える反芻作用を止められることにある。
起こってしまったことは、もう決して消せないことであり、しかたがないことである。 ところが、几帳面で自分に厳しい人ほど、悲しいとか悔しいといったマイナスの感情に拘泥して、何度も反芻することが多い。 ときにはそれが、自己鍛練となり、人格に磨きをかけるきっかけとなるだろう。
けれども、あまり長い間落ち込んでいると、からだの免疫力が下がり、こっそり忍び寄ってきた病に襲いかかられたとき、太刀打ちできず、心身ともに状態が悪くなる可能性が高くなる。
もしも、自分の意志の力で、つらいことや試練にくるりと背を向けることができないのならば、なにか別の手段を見つけて、悲劇にとりついている自分の心を引っぱりはがしたほうがいい。
時が悲しみを癒してくれたあとに、からだが病気になって寝込んでしまうのでは、立ち直った甲斐がないというものである。 それには、面白い小説にでも没頭して、気分を切り替えて笑ってしまうのがいい。
実際、ユーモアと前向きな精神で難病中の難病を治してしまった例もある。『死のふちからの生還』という本を書いたアメリカの「サタデーレビュー』誌の元編集長ノーマン・カズンズ氏は、激務の中で、不治の病と言われていた強直性脊椎炎という膠原病を発症してしまう。
ところが、病院に入院して闘病するうちに、コメディ映画を見たり、面白い本を読んだ りしてよく笑ったあとは、回復不可能と思われていたからだの痛みが二時間ほどなくなっていることに気づいた。
そこでカズンズ氏は、自分を快適な環境におくために病院からホテルに移り、そこでユ ーモアと笑いを目いっぱい生活に取り入れる。そして膠原病を克服してしまった。 この話には事実の持つ重みがある。 まさに、“笑う門には福来る”なのだ。
ありがたいことに、人間は同時にいくつものことに注意を払えない。面白い小説を読んだりコメディ映画を見て笑いながら、自分の不幸を泣くことは難しい。「不幸を忘れることなんてできない」と思うのなら、できるかどうか挑戦する、という気持ちで試してみたいものである。
「笑い」というなら、日本には「落語」の世界がある。先日聞いた落語の小話に、長寿の話があった。
120歳で長寿世界一だった泉重千代(いずみしげちよ)さんは、鹿児島県徳之島出身で、生前毎日、黒糖焼酎の晩酌をしていたという。タバコを初めて吸ったのは70歳のとき。焼酎にはまったのも70歳だったという。
あるとき、インタビュアーが好きな女性のタイプを聞くと、「やっぱり年上かのう」と答えたのは有名な話。
また、100歳を超えた女性にインタビュアーが長寿の秘訣を聞くと「息を止めないこと」とすまして答えたという。
長生きする人にはユーモアがある、ということだ。「ユーモアはすべてを癒す」
ユーモア力を鍛え、人生を楽しく全うしたい。
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