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新しいことを嫌う心理

今日のおすすめの一冊は、鈴木祐氏の『運の方程式』(アスコム)です。その中から「運をつかむための方程式」という題でブログを書きました。

本書の中に「新しいことを嫌う心理」という興味深い文章がありました。

要するに、多くの人は、「新しいことはすばらしい」と口では言いながらも、心の奥底では独創性と創造性にネガティブなイメージを持ち、斬新なアイデアを見下しがちなわけです。 

この現象について、ミューラーは次のように指摘します。 「ヒトが新しいことを嫌うのは、新しい発想や行動には不確実性がともない、その不確実性を回避しようとするからだ。また、大多数の人は、新しい発想や行動が社会的に拒絶される可能性にも敏感に反応する」 

未体験な行動の裏側には、必ず失敗のリスクが存在します。新しく試した料理は口に合わないかもしれませんし、未知の映画を見れば時間の無駄に終わる可能性は十分にあります。そんな不確実性を避けたい心理が、無意識のうちに私たちを新たな体験から遠ざけてしまうのです。 

似たようなデータは非常に多く、小・中学校を対象にしたある研究では、「教育では創造性が大事だ」と答える教師でも、実際の授業では、好奇心が旺盛な生徒を嫌がったと報告されています。 

また、複数の企業を調べた別の研究においても、「斬新なアイデアが大事だ」「つねに新しいチャレンジをせよ」と社員に指導する会社でも、実際には経営陣が部下の新しい提案に難色を示していたそうです。 

やはり大多数の人間は、未知の体験を嫌う心理を生まれながらに持っていると言えるでしょう。 反新奇バイアスを放置していたら、やがては大きなチャンスを逃すだろうことは簡単に想像できます。 

たとえば、コピー機の生みの親であるチェスター・カールソンは、自身が開発した電子写真の技術を何度も売り込むも、「普通紙に書類を複製したい人間などいない」 と言われ、5年間で200社近い企業からコピー機への出資を拒否されました。

そのなかにはIBM社も含まれており、同社の2代目社長だったトーマス・J・ワトソン・ジ ュニアは、後年に「逃した魚のなかでも一番大きかった」と発言しています。 

似た例としては、天才エンジニアのスティーブ・ウォズニアックが、ヒューレット・パッカードから自作PCの買い取りを5回却下されたケースも有名です。同社の上層部は、「小さなコンピュータなど誰も使わない」と考え、ウォズニアックのPCになんの関心も示しませんでした。 

この対応をきっかけに、ウォズニアックは「アップルコンピュータ」をジョブズとともに設立。その後の展開はご存じのとおりで、当時のヒューレット・パッカードは、いまも先見の明のなさを指摘され続けています。

新しいことを嫌う心理とは、変化を嫌う心理ということでもある。つまり、チャレンジをしない、現状維持の人のこと。チャレンジすれば成功もするが、失敗もする。そして、チャレンジの9割は失敗するのが通例だ。

だから、チャレンジすることには誰もが不安や恐怖を感じる。しかし、何事も一歩を踏み出さなければ何も生まれないのだ。

新しいことを嫌う心理を払拭(ふっしょく)したい。

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