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台湾で「ソーシャルイノベーション」に取り組む若者たち

今日のおすすめの一冊は、オードリー・タン氏の『まだ誰も見たことのない「未来」の話をしよう』(SB新書)です。ブログも同名の《まだ誰も見たことのない「未来」の話》という題で書きました。

本書の中に《台湾で「ソーシャルイノベーション」に取り組む若者たち》という興味深い記事がありました。

台湾には、私の他にも「ソーシャルイノベーション」を実施している若者がたくさんいます。たとえば、私が副召集人を務めている〈行政院青年カウンセリング委員会〉は、選考によって選ばれた18歳以上35歳以下の若者たちが10人ほどいて、公共政策についてアドバイスを行うリバースメンターとして活動しています。
この制度は2016年から続いていて、今は第3期のメンバーたちが活動しています。 この青年委員会のメンバーたちに共通しているのは「今までの慣例で考えれば、だいたいこうであろう」という見解に縛られていない点です。そのため、彼らからの提案は往々にして省庁を跨ぐ構造的な問題を明るみにします。
本当にさまざまな問題が提案されています。 たとえば国際的なNGOが台湾に事務所を設立する際の手続きもそうです。これまで国際 的なNGOの事務所はほとんどが香港にありましたが、その多くが台湾に拠点を移そうとしています。ところが台湾は国際的な企業の設立については経験が豊富なものの、国際的なNGOについてはほとんど経験がありません。
外交部には専門の窓口や、ウェブサイト が必要です。今もあるにはあるのですが、英語で書かれたものがないので急いで作る必要がありますね。大部分の法律も英語版の用意がありません。彼らがインターン生を募集したり、クラウドファンディングを行うにはどうしたらいいかなど、できるだけ海外の皆さんに優しい環境を整えたいと思っています。
こういった時代のニーズに応えようと、外交部も目下努力中です。 東アジアでは一般的に、歳を重ねているほどベテランであり、年下の意見は参考に するものであって、方向性を示すほどのものではないとされています。
けれど台湾の オープンガバメントにおいてとても重要となったのは、35歳以下の若者が提案したものでした。実際の政治の現場においてそれを実行するのは専門性を持った公務員で、彼らは35歳以下ではありませんでしたが、それでも若者の意見を信じてくれたのは、 簡単なことではなかったと思います。
「ソーシャルイノベーション」で《総統杯ハッカソン》で受賞したプランには、【離島エリアの緊急医療を改善】があります。離島エリアの急病、重症患者のヘリコプター移送に関する、患者の情報の共有についてです。
また、【台湾のお茶文化と環境保護を融合させる】については、「奉茶」という台湾で昔から根づく客人に茶を振る舞う習慣のことで、その概念を環境保護と融合させた提案です。台湾では、公共の場所に無料で誰もが使える給水機が設置してあることが多いのですが、これまでどこに「給水機があるか」といった情報が不足していました。
それで、その場所やメンテナンス情報をオープンデータで公開したのです。台湾国内で8000を超える給水スポットが登録され、およそ19万人がアプリをダウンロードし、約24万本のペットボトル削減に貢献できた計算です。

このソーシャルイノベーションと、リバースメンターの制度は基本的な価値観として密接につながっています。リバースメンターとは、通常は上司や先輩が指導者や助言者となって、若手をサポートしますが、逆に若手が上司に助言したりサポートしたりする逆方向(リバース)の立場逆転の仕組みのこと(リバースメンタリング)です。

従来の、年功序列型、男性偏重、社員の年齢高め、体育会系的な上意下達(じょういかたつ)の文化のある組織では、これからますます必要となる仕組みが「リバースメンタリング」です。

つまり、ITやデジタルの分野だけでなく、ソーシャルイノベーションも、若い人たちが斬新な発想をし、そこからまだ見たこともない大きな変化が生まれてくるということです。

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