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トレードオフの極意

今日のおすすめの一冊は、出口治明氏の『「捨てる」思考法』(毎日新聞出版)です。その中から「分別を捨てた人が社会を変える」という題でブログを書きました。

本書の中に「トレードオフの極意」という心に響く文章がありました。

社会は、トレードオフによって新陳代謝を繰り返し、発展していきますが、バブル崩壊後、日本はそれに失敗したことで経済が低迷しました。
この凋落の要因は、一つには日本がIT企業やその予備軍とされるユニコーン企業を生む努力をしてこなかったことにあります。ユニコーン企業とは、企業10年以内かつ未上場で時価総額10億ドルを超えるベンチャー企業のことですが、日本経済はそれを育てることができませんでした。
1960年代の高度成長を支えた製造業の工場モデルを捨てることができなかったためです。ユニコーン企業を生み育てるためのキーワードは、「女性・ダイバーシティ・高学歴」と言われています。一方、日本の高度成長を支えたキーワードは「男性・画一性・年功序列」でした。
コロナ禍で、これまでの社内業務が良くも悪くも「見える化」しました。何事も部下に「丸投げ」して済ませていた上司は、テレワークに切り替わり、仕事がいわば属人化したことで新たな課題に直面しました。
テレワークが普及すれば、アフターコロナの時代には世界のどこにいても働くことができるようになるでしょう。「越境リモートワーク」などの言葉が誕生したように、日本人が海外でリモートワークによって働ける時代はそう遠くないようです。
14世紀の中世ヨーロッパで起こったペストの大流行は、後にルネサンス(文芸復興)や宗教改革につながる契機となりました。今回のコロナ禍もまた、悲劇をもたらしていることは間違いありませんが、長い目でみれば社会が前進する大きなチャンスになります。未来のために、捨てるべきものを潔く捨てる。その価値を認めれば、ことは簡単です。
イノベーションに不可欠なのは、セレンディピティ(予想しなかった偶然の幸運)です。大切なのは幸運に出会う道筋ですが、さらに大切なのは、偶然に適応する脳力です。だからこそ、常に学び、出会い、知力を磨く営みを捨てるわけにはいきません。

トレードオフとは、一方を選択すれば、別な片方を失う(犠牲にする)という交換のことをいう。2つの相反する事柄は両立できないという、二律背反の関係の選択だ。

イノベーションを起こすには、何かを捨てなければならない。それは「固定観念」であり「思い込み」や「執着」だ。ダイバーシティという多様性の時代には、自分の過去の様々な思い込みや、古い価値観を捨てることが必要だ。

執着を捨てることによって「セレンディピティ」が起こる確率は高まる。そのために必要なのが、出口氏のいう「旅・人・本」。新しい場所に出かけ、新しい人に出会い、新しい本を読む。

自分の人生をもっと面白くするため、トレードオフの極意を身につけたい。

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