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人間の天敵

今日のおすすめの一冊は、藤尾秀昭氏の『小さな人生論 3』(致知出版社)です。その中から、「人間の根はどうしたら養えるか」という題でブログを書きました。

本書の中に「人間の天敵」という心に響く文章がありました。

地球に住む生命体に宇宙は等しく天敵を与えた。天敵がいなければあらゆる生命は増長し、蔓延(まんえん)、跋扈(ばっこ)する。それは調和を愛する宇宙の心に反するということだろう。

ただ、限りない生命体の中で人間にだけ天敵がいない。なぜか。長い間の疑問だったが、ある時思い至った。人間の天敵は外ではなく、心の中にいるのだ、と。

人間を襲い、蝕(むしば)む天敵。それは心の中に巣くう不平不満である。事あるごとに湧き起こってくる不平、不満、愚痴こそ、人間を滅ぼす天敵である。

歌人の生方たつゑの母は、少女の頃、ともすれば不満顔をするたつゑに、「不満を持つ間は、人は幸せからはじき返されますのや」とよく言ったという。人生を知り尽くした人の英知の言葉であろう。

人間を損なう天敵の対極にあるもの、それが感謝である。心が感謝の思いに満ちあふれた時、あらゆる不平不満は一気に消え去る。感謝こそ人間という生命体を健やかに成長させる根幹である。

人から文句や不平不満を言われて、嬉しい人はひとりもいない。もし、神様がいるとしたら、これは神様も同じで、嬉しくはないはずだ。

たとえば、「今日は寒くて嫌になっちゃうね」とか「雨が降って憂(ゆう)うつ」というのも、立派な不平不満。自然現象である天気に対して文句を言っているからだ。自然現象は神の領域。

これは、煎(せん)じ詰めると、ありとあらゆる文句や不平不満も同じ、ということになる。どんな些細(ささい)な文句であれ、神様にケンカをふっかけているのと同じだからだ。

つまり、文句は、「天に向かって唾(つば)を吐く」という状態。文句を言えば、それがそっくり自分にかえってくる。文句や不平不満の反対は、「感謝」。感謝すれば、感謝するような状況がやってくる。

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