![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/146019595/rectangle_large_type_2_0b04f437814a3550a1306757d29c62eb.jpeg?width=1200)
AIによって消える仕事
今日のおすすめの一冊は、今井翔太氏の『生成AIで世界はこう変わる』(SB新書)です。ブログも同書と同名の「生成AIで世界はこう変わる」として書きました。
本書の中に「AIによって消える仕事」という興味深い文章がありました。
「特別なスキルを必要としない賃金が低い仕事であるほど、コンピュータ/AIによる自動化の影響を受ける可能性が高い」
これは、コンピュータ/AIが労働に与える影響を分析する研究で、長らく共有されてきた主張です。この分野の研究はいくつか例がありますが、ほぼすべてでこの結論に達していたと言っていいでしょう。
ディープラーニング登場直後の2013年に発表された、オックスフォード大学のカール・フレイとマイケル・オズボーンによる世界的に有名な論文「雇用の未来」でもこの主張がされています。
では、生成AIが登場した2023年現在に広く共有されている主張はどうなっているのでしょうか。先に結論を述べておきましょう。
「高学歴で高いスキルを身につけている者が就くような賃金が高い仕事であるほど、 コンピュータ/AIによる自動化の影響を受ける可能性が高い」
これはOpenAI社などが発表した論文 「GPT's are GPTs」の 主張です。1つの研究分野の主張が、ここまで完全にひっくり返ることは歴史的にも稀でしょう。
2023年のOpenAI社とペンシルベニア大学が共同で発表した論文ではGPTのような言語生成AIやその拡張システムによって、各職業の労働がどれくらい影響を受けるのかが分析されています。
特に言語生成AI周辺の技術に焦点を当てており、その点ではコンピュータやロボ ットなど、機械化全般に焦点を当てていた2013年の論文とは異なります。ただ、 それぞれの時点におけるコンピュータ科学技術の最高到達点に目を向けているという点では、比較に値する内容です。
影響を受けにくいとされる職業は、ほとんどが手足を動かす肉体労働を行うもの、いわゆるブルーカラーと呼ばれる職種です。一方で、影響を受けやすいとされる職業は、エンジニアや研究者、デザイナーなど、高度な判断力や創造的な思考が必要とされるもの、いわゆるホワイトカラーと呼ばれる職種です。
なお、ここで示したのはあくまでもGPT-4が登場した初期の時点での見解ですので、それ以降も急速にAIが発展していることを考えると、実際の影響はこれどころではないでしょう。
◆将棋や囲碁といった盤上ゲームでは、今や世界中でAIに勝てる人間はいない。
しかし、服を畳む、食べ物を箸でつまむ、散らかった部屋で移動する、ものを探して持ってくる、スキップする、といった作業はほとんどの人間が簡単にできる。だが、AIにとってはこれが大変難しいことなのだという。
「AIの影響を受けにくい職業」とは、まさにこのあたりの能力を必要とする作業、つまり肉体労働を中心にした職種だ。皮肉なことに、人間にとっては一般的に賃金が低い傾向にあるこれらの職業は、AIで代替するのが最も難しい職業だったのだ。
今日のブログはこちらから→人の心に灯をともす
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?