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市民参画による公共空間づくり

今日のおすすめの一冊は、土肥潤也氏の『わたしのコミュニティスペースのつくり方』(ユウブックス)です。その中から「コミュニティスペースのつくり方」という題でブログを書きました。

本書の中に「市民参画による公共空間づくり」という興味深い文章がありました。

《市民参画による公共空間づくりにチャレンジ…コンセプトを考える》 

民営図書館づくりに取り組み始めたのは、ドイツを訪れたことが大きく影響しています。 日本とドイツでそれぞれ子ども・若者の社会参加や政治参加についての活動者同士が交流する文部科学省の事業があり、若者施設を運営していたこともあって派遣団の一人として選んでいただきました。

一ヵ月ほどの滞在でさまざまな子ども・若者の活動を視察する経験もとても刺激的なものでしたが、それ以上に私が驚いたのは市民が当たり前のようにまちづくりに参加している姿でした。 

たとえば公園の管理運営は近所の市民に委託されていて、子どもたちが安全に遊べるように整備をしていたり、まちのあちこちには電話ボックス型の本棚が置かれ、市民が自由に本の交換ができるようなスペースもありました。

市民がまちに参画できる余白があちこちにあり、市民が主役の社会になっていることを肌で感じることができました。

一方で、日本はどちらかというと市民がお客さま化しているように感じます。公園をはじめとした公共施設や公共空間でトラブルが起こったら、行政にクレームを入れるだけで、自分たちで解決する空気はあまりありません。

行政や政治家のせいだと批判をするだけで、自分たちで行動する人はほんの一部です。これまでにそんな場面を幾度となく目の当たりにしてきました。 

人口が減少すれば税収も減っていきます。近い将来にこれまで当たり前だった公共サービスを維持することはできなくなり、既に公共施設などは新しく建てる議論よりも、どれを潰すか、どのように統廃合を進めていくかのフェーズに入っています。 

こんな時代だからこそ、「自分たちの住みたいまちは、自分たちでつくる」の発想で、自らのまちにオーナーシップ(当事者意識)をもって、まちづくりに取り組むことが求められています。

そんな思いから、市民参画による公共空間づくりに取り組むことを考え、「みんなの図書館さんかく」の開館に至っています。私はこれを「私設公共」と名づけ、その社会実験の取り組みとして、「さんかく」を位置づけています。 

なぜ図書館だったのかはとてもシンプルで、自宅の本棚が本で溢れていて、まずはこれら の本をいろんな人に貸し出してみようと考えて計画を立て始めたからです。

昨今、パブリックなものに対する市民のクレームは多い。たとえば、公立の学校に対する父兄のクレーム、あるいは、公立病院に対するモンスタークレーマー等々。もちろん、クレームは私企業に対してもあるが、とりわけ相手が公共のものだとそれがエスカレートする傾向にある。

クレームが続けば、公共のサービスは減らした方が無難だ、という流れになってくる。それは、人口減によっても加速される。これからの時代に大事なのは、多くの人たちが、公共に対してお任せではなく、自らが積極的に関わっていくという意識を持つことだ。

今後、公共に対する考え方は大きく変わっていくはずだ。そして、市民参画による公共空間づくりが益々必要となってくる。

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