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個性を抑える

今日のおすすめの一冊は、渡部昇一氏の『人生の手引き書』(扶桑社新書)です。その中から「小さな幸せを見つけること」という題でブログを書きました。

本書の中に「個性を抑える」という心に響く文章がありました。

個性重視の風潮がやたらと振り回されている。まるで「個性」と言えば何でも許されるかのようだ。仕事をしているときでも、自分の個性をやたらと発揮したがる人は 多いのではないか。

しかし、仕事をするうえで、とくに入りたての下っ端ならなおさら、個性重視は邪魔になるだけである。 個性よりも大事なものは、従順さだ。

「それは、上司にこきつかわれるきっかけになるかもしれないから嫌だ」と思ったかもしれない。だが、悪い言い方をすれば、そもそも仕事というのは、上司にこきつかわれてなんぼ、それで飲み込んでいくものなのだ。 

もちろん、ベンチャー企業を自分で旗揚げするというのなら、話は別だ。大いに自分の個性を発揮すればいいと思う。しかし、ある組織、とくに大企業で働く場合、まず求められるのは、従順さなのである。 

本当に個性的な人というのは、若いころの個性は極力抑えて、命令や訓練に徹する。そして、周囲の状況をじっと見て、自分の権限や立場がはっきりしたとき、その独特な考え方や価値観をどーんと出すものだ。 そして、新人時代にきちんと従順にしていたからこそ、そうなったときに自分で判断したり部下に適切な指示を与えることができるのだ。 

それだけ、最初に従順であるということは大事なのである。 ぎゅうぎゅうと厳しくされたときは、その試練に耐えて命令に服したほうがいい。 一度始めた仕事なのだから、ここはまな板の上の鯉、と腹をくくって、とことん上司に尽くすくらいの気持ちを持ってちょうどいいくらいだ。

「従順であること」は、何も上司にへつらってへこへこしなければならないということではない。これは、言い換えるならば「素直さ」だ。仕事のノウハウをまったく知らないまっさらな状態なのだから、従順であれば、どんどん仕事を飲み込んでいくことだろう。だからこそ、しかるべき立場になったときに、「個性」を発揮できるのだ。

《個性的な人ほど、新人のときは個性を抑えている》

◆組織の中では、誰かに引き上げてもらえなければ上にいくことはできない。それは野球やサッカーなどのスポーツをみてもわかる。監督に気に入られなければ、レギュラーにはなれない。どんなに力があろうと、監督に反発ばかりしていたら、やがて遠ざけられてしまう。

それは「愛嬌」があるかないか、ということでもある。男女を問わず、愛嬌があれば、上司や目上の人には好かれる。新人のときは、特にこの「愛嬌」が必要だ。

これは、会社だけでなく、様々な組織でも同じだ。組織において、使う立場になればわかるが、愛嬌のない個性的な人ほど使いにくいものはない

《個性的な人ほど、新人のときは個性を抑えている》

そして、自分に実力と人気がつき、しかるべき立場になったら、自分の個性を出せばいい。そのときまで、我慢したり、自分をコントロールできないようでは組織をまとめることはできない。

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