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人生という旅を楽しむ

今日のおすすめの一冊は、ひろさちや氏の『がんばらない がんばらない』(PHP文庫)です。その中から「法然上人のあたたかな言葉」という題でブログを書きました。

本書の中に「人生という旅を楽しむ」という心に響く文章がありました。

人生というものは旅ではないかと思います。でも、旅であっても、目的地はありません。もっとも、世の中には、人生の旅に目的地を設定する人がおいでになります。

目的を設定すれば、目的のために人生を生き急ぐことになります。金儲けを目的にしたり、高い地位や名誉を得ることを目的にすると、 いま現在の生活を犠牲にせねばなりません。わたしは、 そんな生き方をしたくありません。 

たとえてみれば、人生をマラソン・レースのように考えているのです。ゴールを目指して、歯を食い縛って駆けるのです。ゴールという未来のために、現在を犠牲にする生き方。そんな生き方をすれば、きっとお釈迦さまからお叱りを受けます。 

わたしたちは、現在を大事に生きねばなりません。 そのためには、ゆったりと人生の旅を楽しむのです。 そうですね、東京から大阪までは約五百キロです。わたしたちは東京を出発して大阪に足を向けますが、それは大阪がゴールではありません。ただ旅をする方角だけです。 

ですから、大阪に到達できなくてもいい。 大阪というゴールに執着すると、わたしたちは、大阪に着いてからおいしいものを食べよう、大阪の街を観光して楽しもうと思ってしまいます。それをわたしは「目的地主義」と呼んでいます。

旅というものが目的地に着いてからはじまると思っているからです。 それはおかしい。旅は出発したときからはじまっています。「おぎゃあ」と誕生した瞬間から、人生の旅がはじまっているのです。目的地に着いてからおいしいものを食べるのではなく、毎日毎日、おいしいものを食べればいいのです。

道中を楽しむのがほんとうの旅です。 毎日おいしいものを食べるだけのお金がない、と言われるかもしれません。それは、おいしいものイコール高価なものと考えているからです。だから、金持ちになってから、人生を楽しもうとします。 しかし、仏教はそんな考え方をしません。

おいしいものを食べるというより、おいしくものを食べるとよい。そう考えてください。おいしくいただくのがおいしいものを食べることです。おいしく食べるのであれば、お金がなくてもできます。

だから旅はいそいではいけないのです。では、どれぐらいのペースがいいでしょうか?それが「いいかげん」です。「いいかげん」というのは、人それぞれでちがってきます。一日七、八キロが自分にちょうどいいかげんな人もいますし、もっと多い人もいます。

ともかく、毎日を楽しく生きればいいのです。嵐がくれば、じっと宿屋でのんびり逗留(とうりゅう)していればいい。人生には、病気や災難もありますし、逆境におちいることもあります。そんなとき、焦ってはいけません。別段、前に進む必要はないのです。大阪に着いてから人生を楽しむのではなく、今人生を楽しむのです。

人生は旅です。そして、人生の旅の要領は「いいかげん」です。いいかげんのペースを身につけたとき、旅は楽しくなるでしょう。

◆おいしいものを食べるのではなく、「おいしく食べる」という生き方。これは、幸せの捉えかたと同じだ。幸せを探すのではなく、今、ここで「幸せを見つけて楽しむ」。

人生という旅を味わい、楽しめる人でありたい。

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