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夢はかなわないからいい

今日のおすすめの一冊は、海老原嗣生氏の『クランボルツに学ぶ 夢のあきらめ方』(星海社新書)です。その中から「予期しない偶然のできごとを大事に」という題でブログを書きました。

本書の中に、「夢はかなわないからいい」という心に響く一節がありました。

《努力は必ず実る。だから頑張れ。》 

こんな熱血青春ドラマで使われるような言葉を、けっこうよく目や耳にします。でも、 どこかうさん臭くも感じてしまいますね。 いわゆる鋭い突っ込みで定評のあるお笑い界の偉人たちは、こうした根拠のないきれいごとを見事に切り捨てています。 

「オレは〝夢はかなう"という言葉が嫌い。夢はかなわないよ。夢のかなわない自分をどう生きるか。今の社会はやればできるとか、何か他人に勝(まさ)るものがあるというけれど、オレはそういうのがなくてもいいと思うの。 ただ生きることが一番大切であって、負け続けることも大切だと思う。思ったことがすべてかなっちゃったら、人生はつまらない」(ビートたけし

ずしりと心に突き刺さる一言ですね。 タモリさんはまったく同じことを端的に話しています。 「かなうものは叶う。叶わないものはかなわない。そう決まっているのだ」

 明石家さんまさんは、努力についてこう語ります。 「努力は報われると思う人はダメですね」 

ダウンタウンの松本さんは少し違う言い方で、やはり夢や努力に関して、くさしています。 「僕らって努力じゃないんですよねえ。(中略) 「山の頂上に登る」っていう んじゃなくて『山の頂上にいることを知ってもらいたい』みたいな感覚が僕はあるような気がするんですけどね」

つまり、努力をどうこう言う以前に、面白い人は昔から面白くて、それに周囲が気づくだけなのだ、と。

ふだん私たちは、政治や芸能に対するたけしさんや松本さんの鋭い発言に、「いやあ気づかなかったけどその通り」「胸のつかえがとれた」と膝を打つこと多々です。その証拠に、彼らの一言がネットニュースをにぎわせない日はありません。それだけ説得力を持つ彼らがこぞって「夢はかなわない」「努力は報われない」と言う。もう、夢なんか持っても意味がないと、思わずそう考えたくもなります。

子どもの頃から思い描いた夢通りの人生を送った人などいない。これは、我々一般人だけでなく、多くの芸能人や経済界のレジェンド、政治家たちも同じだ。人生は、予期せぬ偶然につぐ偶然でできているからだ。

目の前に起きた偶然を大事にしていくと、また違った偶然に出会う。自分の意思とは関係ないところで起きたそれらのことに対して文句や愚痴を言わず、一所懸命に生きていくと、神様からプレゼントがくる。それがチャンスだ。

だからこそ、「夢はかなわない」と思った方がいい。叶わなくても、一所懸命生きていれば、別の予期せぬ偶然がやってくるからだ。自分が思ってもない偶然に身をまかせることこそが、流れに乗ること。それこそが、クランボルツ教授のいう成功につながることだ。

「夢はかなわないからいい」

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