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大学は生き残るために専門性を高める

今日のおすすめの一冊は、成毛眞氏の『2040年の未来予測』(日経BP)です。その中から「日本では学歴の意味がなくなる」です。

本書の中に「大学は生き残るために専門性を高める」という興味深い文章がありました。

ちなみに、国は教育についてどういうことを考えているか、触れておこう。2040年の高等教育(大学教育)の目標をまとめた文書がある。 

そこには、求められる人材として「思考力、判断力、俯瞰力、表現力の基盤の上に、 幅広い教養を身につけ、高い公共性・倫理性を保持しつつ、時代の変化に合わせて積極的に社会を支え、論理的思考力を持って社会を改善していく資質」とある。 

国の文書にありがちな抽象的でわかりにくい文だが、わかりやすくいうと、「分野を超えて先端の学問を学び、あらゆることに対応できる力を備えた人材」が必要となるということになる。

そして、そうした世界をけん引する人材のほかに、「高度な教養と専門性がある人材」「高い実務能力がある人材」の3類型を育てていこうと提案している。 国は大学側に、人材を育てる指針として、どの機能を強化するかを考えるべきだと投げかけている。つまり、専門化しろといっているのだ。 

大学の機能分化(専門化)の案は、これまで大学側の反発が強く、長年タブーとされてきた。しかし社会が複雑になる中、踏み込まざるをえないだろう。企業からも、 専門性の高い人材や文理融合の人材を望む声が多く、文科省も重い腰を上げるはずだ。 

国家による将来構想という割には、こぢんまりしていて未来を感じさせる斬新さもない内容に聞こえる。目標とすべき資質も曖昧ならば、手段も明示されていない。 論点としては、文系と理系の区別をなくしたり、学部といった縦割り組織をやめたり、あるいはほかの大学との連携や統合なども挙げられているが、それらはこれまでの延長線上にも見える。

だから、従来と同じでゆっくりとしか変わらない可能性もある。 ただ、これからは企業も大学も必死だ。企業は以前とは比べられないほど競争のス ピードが速くなっており、優秀な実務能力がある人材が欲しい。 

大学側も、一部の超有名大学以外は変わらなければ生きていけないところまで追い込まれている。すでに私大の4割が定員割れしているのだ。生き残るには、専門性や実務力が高い人材の育成にシフトするのが現実的な解だろう。特色がなければ学生はますます集まらなくなる。

英国の教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)は2021年9月、世界の大学のうち99カ国・地域の1662校を研究の影響力や国際性などの基準で順位付けした「世界大学ランキング」の2022年版を発表した。日本からは米国についで多い118校がランクインした。一方で上位200校に入ったのは東京大学と京都大学の2校にとどまり、中国や韓国を下回った。(高校生新聞オンライン)より

世界のトップ校は、1.オックスフォード大学(英国)、2.カリフォルニア工科大学(米国)、2.ハーバード大学(米国)、4.スタンフォード大学(米国)、5.ケンブリッジ大学(英国)、5.マサチューセッツ工科大学(米国)、7プリンストン大学(米国)

日本は、35.東京大学、61.京都大学、201東北大学、301.大阪大学、東京工業大学

18歳人口の減少により、日本では全国に約600校ある私立大学の半分が定員割れだと言われている。18歳人口は1992年の205万人をピークに、ここ数年は120万人となっている。しかし、2035年には98万人まで落ち込むと予想されている。大学進学率が今と同じとすると、60万人の大学入学者数は52万人まで減少する。

つまり、大学の存続はさらに厳しくなり、大学の統合や倒産時代が始まるということだ。特に、地方の大学の経営が悪化しており、43.3%にあたる145校が赤字だと言われている。

変化の激しい、予測のつかない現代は、大学だけでなく、企業の存続も難しい。今後、企業も大学も、自社の強みを生かして、専門性を高め、生き残っていくしかない。

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