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追悼ルポ「志村けん〈最後のコメディアン〉」に関する余談

10日発売の『文藝春秋5月号』に追悼のルポ「志村けん〈最後のコメディアン〉」を書きました。

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訃報に接したのは3月30日の朝、慌てて家を飛び出して麻布十番と東村山という志村さんが愛した2つの町を歩きまわり、家族や元スタッフや幼なじみが聞かせてくれた証言から浮かび上がる志村さんの人となりは、「8時だョ!全員集合」で見ていた表情とは、別のものでした--詳しくは本誌を手にとっていただけたら、幸いです。

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写真に載せた黄色い花は、志村さんの生花近くの緑道の路傍に咲いていたレンギョウです。正直に告白すれば、花の名前は知らなかったけれど、帰宅した折、妻に教えてもらって、とても驚いたのです。

というのも数日前、今回の新型コロナの大流行を予言してるようだと話題になった2011年のソダーバーグ監督のサスペンス映画「コンテイジョン」を見たばかり。作中、ジュード・ロウ演じる落ちぶれジャーナリストが「特効薬だ」とブログサイトに嘘を書いて儲け話をこしらえるのが、漢方薬でもあるこのレンギョウだったのです。

映画では1年かかってワクチンが見つかります。2020年の私たちの世界でもやはりワクチンには1年がかかる、という見通しが報じられていますが、本当にそうなるのか、その先が見えません。

私はこの感染症が拡がり始めた当初、正確にはクルーズ船のルポを取材していた頃は、暖かくなる春ごろには終わるだろうと楽観していました。期待も働いていたと思います。ただ、そうした楽観は今のところ、次々と裏切られて行っています。そして訪れた、志村けんさんの急死ーー。

「この流行は、そんなに簡単にはいかねえってばよっ」とこちらに知らせてくれているような、不思議な感覚を覚えました。志村さん流の「大丈夫だぁ〜」的な裏声で、受け手が深刻になり過ぎないよう、計算されたやり方で。

新型コロナウィルス感染症の影響で休業要請対象のデパート内書店さんが閉まっていたり、営業時間が短縮したりしているわけで、ただでさえ厳しい本屋さんにとっても死活問題。

ぜひ開いている書店さんでお見かけの際は買って頂きたいですが、外出自粛が求められている時期ですから書店に行きづらい方には、文藝春秋digitalの方で記事が出ると思いますから、ぜひそちらをチェックしてお読みいただくなどしてもらえたら、ありがたく思います。           〔了〕


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