腸活で人生前向き 2

腸の微生物が、我々の気分を支配している?ストレス、不安、好奇心

2009年に、九州大学が行った研究結果では、ストレスと腸内環境の関係に大きな発見がありました。通常のマウスと比べ、無菌状態で育ったマウスは、不安行動が多く、ストレスを受けた時に発生するストレスホルモンも多く分泌されるのです。ところが驚くべきことに、その無菌マウスにビフィズス菌を与えると、ストレス応答が収まり、通常のマウスと同程度となったそうです。

その後の研究で、腸内細菌そのものがセレトニンを出し、それが脳へ伝わっていくという現象が起きている事が分かりました。腸内細菌が、マウスのストレスをコントロールしていたのです。人の腸内細菌が神経伝達物質であるガンマアミノ酪酸(GABA)を産出する事を示しました。これは恐怖や不安といった気分までもが、腸内フローラからの影響を受けるのです。気分だけでなく、性格への腸内細菌の影響も研究されています。恥ずかしがり屋なマウスに、そうでないマウスの腸内細菌を移植すると、より活発で好奇心が強くなるという事が分かっています。

ヒトはお腹で幸せを感じている、腸の感覚器

舌には味覚、鼻には嗅覚を測る感覚器(レセプター)があります。では腸はどうでしょうか。

なんと、ヒトの腸には感覚器がある事が分かりました。食べ物を感知し、ホルモン物質のような『無線』で伝達ではなく、ニューロンという『有線』で検知された情報が脳に伝えられることが発見されたのです。これを『腸コネクトーム』と言います。さらにこの『腸コネクトーム』の発達にも、腸内細菌が作り出す物質が関わっています。

「食欲を促進する」口の味覚と違い、脳の感覚では「満たされた」満腹感を引き起こすことがわかっています。ホットする味わいは舌でなく、お腹で感じると表現しましたが、まさにそれが証明されたのかもしれません。

脳の精神疾患・メンタルヘルスとの関係

腸とうつ病

今年になって研究者達は、1000人以上の腸内細菌の調査を行い、うつ病との関係性について調べています。

この結果、「コプロコッカス属」と「ディアリスター属」と言われるある種の細菌グループが、うつ病の人たちで少ない事が分かりました。さらに、これらが存在する量が、対象者の生活や質、その腸内フローラでドーパミン生成物を合成する能力などと、相関関係がある事を示しました。因果関係があるかどうかについては更なる研究が必要ですが、研究が進めば、腸内環境がうつ病を予防・治療することに繋がるかもしれません。

脳と自閉症

自閉症児が便秘を起こしやすと言うことは、これまでの研究でも言われている事でしたが、そこに腸内フローラが関係している事を、研究結果で明らかにしました。研究では自閉症児は腸内フローラと、その代謝産物の組織が一般と異なる事を示しました。



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