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原油・物価高において園経営で取るべき3つの対策


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カタグルマの大嶽です。

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さて、本題です。

ロシア・ウクライナ戦争も長期化し、原油高、物価高が深刻化しています。

さらにはコロナ回復後のアメリカ景気回復も重なり、インフレを抑えるためのアメリカの金融規制によって、ドル高、円安も重なっています。

このトレンドは長期化する可能性も高く、実体経済としては、特に原油、燃料、食材料、水道光熱費の高騰は今後重くのしかかってくる可能性が高いと言えます。

保育園経営でも様々な経営者と話をしたり、実数値を確認すると、まだこれらコスト増の影響は全体の経営を考えると軽微ではありますが、徐々に膨らみ始めている傾向が見て取れるので、今後どう転ぶか不透明なことを考えると、十分に対策を練っておかねばならないと思います。

まず、今回のように、支出項目の一部で価格高騰が起きて、それが常態化、長期化する可能性が高い際には以下の3つを対策として考える必要があります。


1.生産性を上げる
2.
コストを下げる
3.
料金の値上げ

こちらを一つ一つ説明していきましょう。


1.
生産性を上げる

一般的に生産性とは、

付加価値額÷社員数

ですから、

社員を減らして付加価値額を維持する
社員を増やさずに付加価値額を上げる

の2つしか方法がありません。

①については、正職員はもちろんのこと、非常勤職員にしても、モチベーション、労務、契約、職員配置の観点から安易に減らすことはできません。

配置を効率化することは組織によって可能ですが、結局非常勤比率を変える、週4日勤務などの勤務形態を多様化する、クラス編成を変えるなど、そこそこ難易度が高いので慎重に進めてください。

一方で、人的リソースに代替するロボット等のテクノロジーが業界内ではまだ存在しないため、ICTレベルで業務を効率化し、残業時間を減らし、その分の残業コストを減らすくらいのインパクトは出すことが出来るでしょう。

ただ、まだICTの導入が進んでいない場合、短くてもその効果が出るのは導入してから半年程度はかかるものです。

また、既にICTを導入している場合はこれらコストは削減済みのため、インパクトとしては小さいでしょう。

②については、昨今様々な企業がチャレンジしている付加サービスによる売上、収入増は今後も引き続き検討すべきでしょう。

子育て支援サービス、習い事サービス、教育充実(フォト、コンテンツ導入など)等のサービス収入アップです。

その収入により支出増加分を補填するという考え方はあると思いますが、特に認可保育所では自治体により実施できないケースも多いのが現状です。


2.コストを下げる

一般的には、企業会計においては、

売上-原価-販管費(変動費+固定費)=営業利益

なので、固定費を下げにくいことからも、変動費を下げるしかありません。

固定費は地代、賃料、正職員給与、固定賞与、法定福利費などが代表的ですが、ここは下げにくいので、変動費の削減を考えるということです。

しかし、変動費と言っても、旅費交通費や保育材料費、士業などの委託費や手数料などは実質固定委託費なので、支出内訳で金額構成比が高く、今回の原油高、物価高による影響も踏まえると、現実的に変えられる項目はかなり限られます。

細かく言えば、保育材料費や備品費、消耗品費などの削減も出来るのですが、コストインパクトが弱かったり、場合によっては保育の質に支障が出ることもあり、それでは本末転倒です。

よって、一番インパクトが大きいのは非常勤給与なのですが、人材不足の中で、そのような決断が出来る法人がどこまでいますか?

前述しましたが、職員のモチベーションを下げることのリスクの方が大きいというケースもあるでしょう。

当然慎重に考えなければなりません。

また、今のようなタイミングは業者を切り替えるタイミングでもあるので、是非検討してみましょう。
税理士、社労士などの士業はまさにそうだと思います。積み上げれば大きいものです。

3.料金の値上げ

よって、現実的な対策としては、やはり料金を引き上げるということになります。

具体的には、食材費、車両費、燃料費、水道光熱費などの支出項目の高騰に伴う、施設費、送迎代、給食費の値上げです。

しかし、言うまでもなく、値上げは慎重に考えなければなりません。

場合によってはペーパー案内だけではなく、保護者への直接的な説明を行う必要もあります。

そして、値上げにはいくつかセオリーがありますので、簡単に紹介しておきます。

1.値上げ幅を30%未満にする
2.
他社と競争優位の比較で決める
3.
価格帯・予算帯理論を適応する
4.
実質のコスト増分が吸収できる金額にする
5.
収支全体の変化分を確認する

2、4、5は分かりやすいと思いますが、1は値上げの幅が30%を超えると消費者は心理的に高く感じるという「アイテムパワー」という商品構成のセオリーを応用した考え方があります。

よって、給食費7000円が30%アップの9100になると消費者は高いと感じるということです。

さらには上記3の価格帯・予算帯理論という、消費者がモノやサービスを購入する際の予算帯(1000円、3000円、5000円、10000円予算を基本とし、3000円予算ならば、2700円から4000円未満までの幅で購入する可能性があるため、3980円という価格が多いなど。)を適応すると、9100円の場合、5000円の予算帯である7000円から10000円の予算帯に上がってしまうため、出来れば5000円予算帯の上限値8000円未満にするべきという答えになります。(例:7900円など)

以上のように、

1.生産性を上げる
2.
コストを下げる
3.
料金の値上げ

を各園、各法人で是非見直してみてください。

円安傾向が円高に触れるまでにはかなりの時間がかかりそうですし、ウクライナ危機も泥沼化してきた印象です。

更なる原油、物価高も視野に入れ、早々の対策が求められそうですね。

ではまた。

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