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保育士養成校の最新データから読み解く新卒採用市場の未来(1)

みなさん、いつもご愛読いただき、ありがとうございます。

コドモンさん主催の「園長先生カンファレンス」が3日間に渡り開催され、申込者3500名を超えたそうです。


私も二日間で2コマのセッションのモデレーター兼講師を務めましたが、今後の保育の「評価」について、そして「主体性の高い人材育成」について、様々な情報をご提供させていただきましたので、是非ご参考いただければと思います。 

全講座のアーカイブ配信もあるようなので、是非以下のWebサイトをご確認ください。


また、今月は弊社で開催したこちらのセミナーのお申込みが235名と、多くの先生方にご参加いただきました。

弊社カタグルマはこれまで「カタグルマ人材育成」というICTのデータベース内に、正確にはカウントしないと分かりませんが、数万件という個人面談データを保有しております。

今後、本格的にこのデータ活用を始めていきますが、それでも既にこれだけのデータがある中で様々なノウハウが蓄積されてきていること、そして、ユーザー様の中でも活用頻度や1on1の質の高い「こでまり保育園」様のベストプラクティス事例は大変興味深い内容でした。


そして次回は、こちらのセミナーをお届けします。

こちらは、昨年も大変ご好評いただいたウェビナーです。

「カタグルマ人材育成」を本部主導で1年以上ご活用いただき、本部業務の効率化、各園の園長業務の効率化、本部と現場のコミュニケーションの活性化などの効果を生み出している株式会社TKC経営企画室室長の田上さんにゲスト登壇いただきます。

ご興味ある方は是非上記のバナーからお申し込みください。


さて、前置きが長くなりましたが、本題に入ります。

日本私立学校振興・共済事業団が出した

「令和5年度の私立大学・短期大学等 入学志願動向」

から、保育養成校、保育学生の動向を読み取り、新卒採用の未来を考えていきたいと思います。

まず、数値データのサマリーは以下の通りです。

▪️教育系大学(前年比較 増減数 増減率)
 定員数 +543人 +2.9%
 志願者数 ▲10,084人 ▲10.4%
 受験者数 ▲9,588人 ▲10.4%
 入学者数 +143人 +0.8%
 合格率 +4.4%   +8.7%
 定員充足率  ▲2.0%   ▲2.2%

▪️教育系短期大学(前年比較 人数 増減率)
 定員数 ▲1,015人 ▲5.1%
 志願者数 ▲2,514人 ▲14.5%
 受験者数 ▲2,429人 ▲14.7%
 入学者数 ▲1,810人 ▲12.3%
 合格率 +0.66%   +0.7%
 定員充足率 ▲5.6%   ▲7.6%

先に触れておきますと、保育養成校の専門学校のデータはここにはありませんが、過去の資料から推察するに、概ね短期大学の推移に近い数字になっていることが考えられます。

また、このデータで特に大学においては小中学校教諭志望の学生も入っておりますので、その点も加味しないといけません。

この数字をまず眺めて感じることとして、

・大学は定員維持、志願者、受験者は大幅に減っているが、入学者は増えている、つまり合格倍率が下がっており、入学しやすくなっている

・短期大学はあらゆる数字が下がっており、合格倍率も低下、このままだと確実に短大経営は苦しくなる

ということだけでもお分かりいただけるかと思います。

特に重要な指標は「入学者数」ですから、この数字における傾向としては、大学の入学障壁が下がっていることもあり、短大・専門学校から大学志向に変化しているようです。

ただし、本資料を見ていただくと、大学も志願倍率こそ4.6倍をキープしていますが、昨年対比で0.7%減少、合格率もいよいよ50%を超え、志願者、受験者が大幅に減っていることからも、状況は決して楽ではないので、どこかのタイミングで受給バランスが崩れることでしょう。

このままの水準で進めば、早ければ5-6年後には今の短大のように志願倍率は1を切り、合格率も短大のようにほぼ100%になることも想定されます。


さて、別の視点で見てみます。

私たち保育事業者として気になるのが、

「結局のところ、新卒学生は増えるの?減るの?どれくらい減りそうなの?」

という点です。

2018年度末時点での養成校卒業生は約39,900人でした。

データを見ると、卒業者/入学者は85%、つまり、15%が退学、離脱すること、この学生の多くが2017年度入学の2年制だと仮定すれば、

2017年時点の入学者数→約47,000人

だったことが分かります。(下記の表を見ても整合性は高いですね。)

今回の最新結果を見ると、大学と短期大学を合わせれば入学者は約30,000人(小中学校教諭志望含む)、専門学校生が約5,000人なので合わせて最大で35,000人。※小中学校教諭志望を除けば30,000人を切る可能性も。

つまり、6年前と比べると入学者数は12,000人の減少(▲25.6%)となります。

特にコロナに入ってからの減少幅が大きく、今回の結果でも入学者数は前年対比▲5.6%なので、仮に現状が変わらず推移するとなれば、

▪️入学者数(大学・短大・専門学校)

    入学者数    卒業者数
2023年 35,000人 →  29,800人
2024年 33,200人 →  28,000人
2025年 31,000人 →  26,400人
2026年 29,700人 →  25,200人
2027年 28,300人 →  24,000人
2028年 26,900人 →  22,900人

となることも予想されます。

概ね2年のタイムラグがありますから、2024年卒の卒業生が29,800人ということですね。

つまり、5年前と比べると卒業生が約10,000人減少するということです。

そして、このまま減少すれば、2030年には卒業生は20,000人を切り、2018年の半数近くになります。

対象人口はこの間に半数になっていませんから、明らかに保育養成校を志願する学生の割合が減少しているということです。

我々保育事業者は現在の事実を真摯に猛省し、上記のような未来にならないよう、子どもたちや学生に明るい未来と期待を示す役割、変革する役割があるということを忘れてはなりません。。


さて、ここで考えたいのが、保育ニーズの減少、それに伴う園児減少によって、保育現場での必要保育士数も減少するわけですが、それがどれくらいの規模になるのかということです。

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