【速報】待機児童2,680人という結果の裏に見えること
みなさん、いつもご愛読いただき、ありがとうございます。
カタグルマの大嶽です。
さて、9月1日にこども家庭庁から令和5年4月1日時点の保育所等関連状況取りまとめが公表されました。
私が本格的に保育業界に従事したのが2005年、そこから前職で16年経営コンサルタントとして従事してきたのですが、この政府発表のデータを定点観測し、当データから見えるものを市場動向として取りまとめ、その市場動向を捉えて、経営戦略や指針を構築してきた経緯もあり、毎回この公表は注視しています。
おそらく、このデータをこれほど長年熟読、塾考してきた人間は全国でもそれほど多くないと思います。(と言えるくらいの自信があります。)
それが故に、あまりにも馴染みの深い資料なので、他の方の捉え方とは異なり、数字と感覚の双方からこれまでとの違いに気づくことも多いと思っています。
まず、今回はこども家庭庁が親切に、以下のような概要資料を作成してくれているので、傾向は非常につかみやすくなっていますね。
この内容を見れば、概ね令和5年4月1日時点の様子は分かるわけですが、調査のポイントとして、待機児童がさらに減少した理由を以下のように記載しています。
確かにこの記載が、グランドサマリー、つまりすべてを物語っていると言っても良いでしょう。
今回のこども家庭庁のニュアンスや表現としては、待機児童が減少したことは一定の評価に値するものの、依然待機児童が存在していることに対する課題に関する言及が強く、まだまだ課題感を感じていることを察します。
これは、これまでの厚生労働省(※この資料については内閣府ではなく厚生労働省からの発表だった)にはない姿勢で、評価に値すると思っています。
そして、保留児童が6万人を超え、高止まりしている事実を見ると、特定地域による保育需要の偏重傾向は未だ解決には至らず、待機児童問題の宿命として、今後もしばらくこの傾向は続くのだと思います。
もちろん、送迎ステーションや保育コンシェルジュの更なる浸透・定着により、解決の方向に向かう要素もあるのですが、この問題はどちらかと言えば、不動産開発や自治体のまちづくり戦略に大きく影響するため、保育や子育ての担当部署だけでは操作できない側面が多々存在するからです。
さらに、保育士確保できないことによる定員減との記載がありますが、これも待機児童が存在し、保育施設が未だ増加している地域、さらには大都市近隣の中小・中堅都市においては切実な問題です。
そうでない地域から見れば、低年齢児の新入園児は減少しているし、それを理由とした定員減はあり得るが、園児は十分にいて、それに基づいた職員配置が出来ずに定員減するというケースは想像しにくいかもしれません。
ただ、確かにそのような地域では保育士確保が出来ないことによる定員減はあり得るのです。
私が住む千葉県流山市は6年連続全国の市の人口増加ランキング1位になり、今回の調査結果でも保育ニーズが増加している地域です。(待機児童はいないようです。)
私の近所にもこの数年たくさんの保育園が出来ましたが、一部の地域では定員を減らしています。
その理由は、まさに保育士確保が出来ないからだというのです。
そして、今後の見込みとして、以下のように記載しています。
ここからも、こども家庭庁として一定の課題感や危機感が残っていることを感じます。
この後の概要資料をザっと確認すると、確かに女性の就業率や共働き世帯比率は依然増加傾向にあるのですが、何よりこどもは大幅に減少しており、それによって、共働き世帯数も減少、利用児童数は2年連続減少していることからも、確実に保育市場は縮小傾向にあることは間違いありません。
しかし、
・被用者保険の適用拡大に伴う働き方の変容
・新型コロナウイルス感染症流行からの利用控えの解消
この2つの要因については、不確定要素も多く、変数も多いため、予測が難しい点があり、この状況によっては保育ニーズに影響を及ぼす可能性は残されています。
あと1点気になるのが、こちらの表。
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