内製チームにおける、段取り替えと横槍との戦い
シン・アジャイル Advent Calendar 2022
この記事は、シン・アジャイル Advent Calendar 2022の20日目です。
IBIについて
私が所属している、IBIは、「ニッチで世界をかえる、イノベーションカンパニー」というミッションの元、複数のメディアを運営しています。
私は、運営している自社メディアのシステムの、内製開発チームに所属しています。
段取り替えと横槍との戦い
弊社は、当初、システム開発を外注していましたが、あるタイミングで、内製化を図りました。内製化の経緯は、この記事を参考にしてください。
内製化を進めていく過程で、ボトルネックになっていたのが、「段取り替え」と「横槍」でした。アジャイルジャーニーとして、この戦いのジャーニーを、今回記事にします。
段取り替えとの戦い
製造業の現場でよく使われる、「段取り替え」。私達も、この段取り替え時間をいかになくすかが、課題になっていました。
私は開発の1チケットプロセスを次のように考えています。1チケットを握った時、(1)そのチケットに集中して何をするかまとめる(段取り替え①)、(2)開発するための環境を整える(段取り替え②)、(3)コーディング、(4)確認というプロセスです。
このプロセスにおいて、開発で最大限に時間を設けたいのは、「コーディング」と「確認」です。弊社は、複数のメディアを運営しているので、1日の内に、Aメディアの修正して、Bメディアの修正をするという事が発生していました。そのため、段取り替え①、②が頻繁に発生して、ボトルネックになっていました。
段取り替えの戦いその1、環境準備を自動化
まずとりかかったのが、段取り替え②の環境準備で、「自動化」を図りました。各メディアの開発環境を、Docker化し、コードによる自動環境構築を行いました。
段取り替えの戦いその2、段取り替え少なくする
自動化しても、あまり効果が見られませんでした。時間として大きく割いていたいたのは、①の集中するまでの時間だったからです。そして、自動化したとしても、結局Dockerの立ち上げには数分の時間がかかってしまいます。
そこで、そもそもこの段取り替えの回数を減らそうと考え、テーマフォーカス制度を設けました。テーマフォーカス制度とは、メディアの施策に、テーマを決めてもらい、そのテーマ毎にP.O.と作業内容を詰める。そのテーマを担当するエンジニは、テーマを終了するまでの期間、そのテーマに集中し、それだけを行うようにしました。これによって、テーマの間は、段取り替えは1回ですみます。
この制度、P.Oが、今集中するべき施策は何か?そのために必要な物は何か?を考えるようになったと考えています。そのため、メディアとして、施策に対し、メリハリがでるようになりました。
横槍対策
一つの事に集中するといはいえ、「ちょっと急ぎで」という、横槍はどうしてもあります。そのチケットを、テーマ集中しているエンジニアに入れてしまうと、フォーカス制度の意味がありません。そこで、1名のエンジニア(リーダーの私)が、横槍チケットを受け取ることにしました。
フォーカスにタイムボックスを切る
一つのテーマに集中ができ、段取り替えがなくなったので、開発するリードタイムが短くなったかと言うと、あまりよくなりませんでした。このやり方は、いわゆるV時モデルの開発とあまり変わらなかったのです。そこで、フォーカスは2スプリントといタイムボックスを切ることにしました。なお、1スプリントは1weekです。そしてKPIを、1フォーカス内のチームのリリース数にし、目標を平均3.8としました
フォーカスを中心に改善が生まれる
KPIを計測していくことで、当初は3を切ることもあったのですが、8ヶ月後には4.xになりました。期間とKPIを決めたことにより、いかに短期にリリースするかをメンバーが常に考え、コミュニケーションをとり、改善をしていったからだと考えます。また、2weekとタイムボックスを切ることにより、P.Oもこのテーマで「絶対必要なのものは何か?」を、考えてもらうことでき、メディアとして、絶対必要な物だけを、リリースすることができるようになりました。
確認も自動化で改善
1チケットのプロセスであげた、「確認」ですが、こちらも改善しました。弊社のメディアは、1つのシステムで、複数のドメインを運用しているケースが多々あります。例えば、旅行の一括見積もりサイトですと、団体旅行ナビ、社員旅行ネット、合宿見積もり.comと、旅行会社、、、。一括見積もりを依頼するシステムですが、検索キーワードの角度で、ドメイン、コンテンツ、デザインを分けています。そのため、確認の場面で、同じ確認を、ドメイン分するという無駄がありました。そこで、テストのコード化を図り、このムダを省いています。
まとめ
内製化して、ボトルネックになっていたのが、「段取り替え」と「横槍」でした。この対策として、テーマフォーカス制度で、エンジニアを一つの事に集中してもらいました。テーマフォーカス制度で、さらにタイムボックスを切り、KPIを決めました。エンジニアが自らがチームの目標に向かって改善することで、リリースまでのリードタイムが改善されていきました。そして、テーマ集中と期間の固定により、メディア全体として、施策に対し、メリハリが出るようになりました。
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