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アマチュアサッカーのWebマガジン開設に至った経緯

3月11日、アマチュアサッカーのWebマガジン『地域蹴遊(ちいきしゅうゆう)』を開設した。今回はその開設に至った経緯を綴っていきたい。

地域に潜む魅力を掘り起こす

私は大学卒業後、フリーのスポーツライターとして活動を始め、2年前の2021年3月に東京都から長野県へ仕事の場を移した。東京にいた当時から、サッカーに限らずアマチュアスポーツを取材する機会があり、特にサッカーの育成年代には強い関心があった。

上記の記事は、私が大学時代に執筆した明治大・佐藤亮(現ザスパクサツ群馬)のコラムだ。育成年代の選手を追う最大の魅力は、「数年後にプロの舞台で見られるかもしれない」ということ。その選手のルーツを知っていると、より一層応援したくなるし、現に佐藤の動向はいまも自然と追っている。

長野県に来てからも1、2カ月後には早速、高校サッカーの試合を取材した。その後もありがたいことに、仕事として小学生〜社会人まで幅広い年代を追う機会があり、長野県のサッカー事情を知ることができた。

とりわけ追い続けていたのが高校サッカーだった。言葉を選ばずに言えば、長野県の高校サッカーのレベルは高くない。2018年度には上田西高校が全国高校選手権でベスト4に入ったが、それを除けば軒並み1、2回戦敗退と苦しんでいる。その理由は一概には言えないが、他県に比べて遅れをとっていることは間違いないだろう。

とはいえ、その中でも光る選手はいる。直近で言えば、松本国際の司令塔・矢越俊哉だ。彼は昨年Jクラブの練習に参加し、プロ入りこそ叶わなかったが、関西の強豪・びわこ成蹊スポーツ大学への進学が内定した。松本国際のOBには、同大学を経て徳島ヴォルティスに入団した森昂大もいる。矢越も同じ系譜を辿り、4年後にはJリーグの舞台にたどり着いているかもしれない。

また、チームや選手のレベルに関わらず、魅力的な活動をしている関係者の方は数多くいる。だが、スポーツ業界は結果を残さなければ注目を得難い世界であり、多くのニュースは埋もれてしまう。取材者がいくら魅力を感じていても、企画が通らなければお蔵入りだ。

そんな地域に潜む魅力を掘り起こすには、採算度外視で個人的に動くしかない。そう思い、アマチュアサッカーにフォーカスしたWebマガジンを開設したのだ。

第二の故郷への恩返し

長野県に来て早2年。取材を通してさまざまな地を訪れ、文字通り『第二の故郷』と感じられるようになった。ここ2年で知り合ったサッカー関係者の方も数多く、いつも学ばせていただいてばかりだ。

言い方が適切かは分からないが、長野県での取材活動を通して“悪い方”に出会ったことがない。本当に親切な方ばかりで、何か恩を返せないかと常々考えている。とはいえ、私にできるのは取材して記事を書くくらい。それで少しでも貢献できるのであれば、いくらでも足を運ばせていただきたいと思う。

取材後に「ありがとうございました」と良く仰っていただけるが、正直お礼を言われるほどのことができているのか分からない。例えば中堅校のサッカー部を取り上げて、それによって部員が増えるなど目に見えた結果が出れば良いが、メディアがもたらす効果というのは見えづらいものだ。

「魅力を伝える」というのは取材者側のエゴなのかもしれないが、魅力を感じてしまったのだから伝えないと気が済まない。ましてやアマチュアサッカーは(サッカーに限らないが)陽の当たりにくい世界。それでもプロの世界に地続きなのは間違いなく、多くのサッカーファンに届けたいと考えてしまう。

また、各媒体でアマチュアサッカーの情報を発信していると、SNSにお礼のメッセージが届くことがある。保護者、チーム関係者、時には取材した選手本人からもだ。

人に喜ばれることを目的としているわけではないが、喜ばれて嬉しくないわけもない。とりわけ選手たちには、発信を通して「しっかり見ているよ!」と伝え、それがモチベーションになってくれればこの上ない。そうして地域のサッカーの底上げにも繋がれば、このWebマガジンの目的が果たされることとなる。

いずれにせよ、発信しなければ何も始まらないのだ。

地方メディアに新たな風を

ここからは有料部分ということもあり、よりリアルな理由を話していきたい。

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