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生徒および我が子の国語力を上げる最高の武器

今年もこの季節がやってきたなー。
「中学入学試験問題集」という、省略をしないタイトルの過去問集を読み込む季節が・・・


中学入学試験問題集とは?

こういう過去問集がある。
通称「銀本」。
銀色だから。

国語だけでなく、他教科ももちろんある。
国語編が「男子・共学校」と「女子・共学校」の2冊。

その段階で察しがつくかもしれないが、この本、めちゃくちゃ分厚い。

中は、ひたらすら過去問が載っている。

購入を検討する場合、注意しなければいけないポイントが3つある。

1つは、すべての学校が2024年の過去問を乗せているわけではないこと。
画像の法政第二も2023年になっている。
場合によっては、2021年から更新されていない学校もある。

2つ目は、複数回入試を実施する学校でも1回分しか掲載されていない。

最後に、模範解答はついているが、解説がない。

もちろん、子どもが自習するのに適していない。
それどころか、親が買って使いこなすのだって大変だろう。

問題と模範解答だけなら、四谷大塚の過去問データベースで十分だろうし。

子どもの志望校であれば、学校別の過去問を買った方が、他教科+過去数年分+全受験回の問題が手に入る。もちろん、解説もかなりていねいに作られている。
そっちを買うべきだろう。

時間をかけて読み込むほど価値がある

では、いったい誰が買うのか。

おそらく指導する側の人たちがメインの購入者なんだと思う。男子と女子を分けているあたり、保護者も購買層として想定されている気はするのだが。

中学受験の国語指導をしている人なら、きっと読破しているはず。たぶん、おそらく・・・

国語を日常的に指導していれば、解説は必要ない。
多少欠けている学校があっても大勢に影響はない。
必要であれば、個別の学校を用意すればいいだけ。

おおよそ関東圏の全中学校の過去問を俯瞰したい場合にはもってこい。
全体のトレンドがわかる。

同じ著作から出題されていたからといって、同じ箇所が引用されているとは限らない。問題も同じとは限らない。
どんな作者のどんなジャンルが使われる傾向なのかが、肌で感じられる。
出題の仕方の傾向も掴めるから、指導する側の人間としてはものすごく有益な情報になる。

入試で使われる文章はどんどん新しいものになっている。
予習シリーズなどのテキストを数年に一度改訂する程度では、トレンドに追いつけないのが実情。

だから、予習シリーズを使っている早稲アカでは、志望校別対策のクラスでは、最近の過去問を参照して使っているケースがとても多い。

サピックスの模試でも、過去問で使われたのと同じ著作というだけでなく、引用箇所もまったく同じ問題を本当によく見る。
ちょっと手抜きだなと感じることさえあるくらいに。

塾の問題作成者がそれほど参考にする過去問。
それを全部見ることができるんだから、お得だと思う。

どうしたら「銀本」を最大限活かせるのか?

個別指導で使うときは、その生徒にあった文章や問題傾向を考えて、解く問題を決める。
すべての文章を読み込んで、問題数や難易度、ラーニングポイントを整理しているので、その子のそのときの状況に合った問題を厳選して解いてもらう。

つまり、仕事において大活躍している。

一方、家庭でも最大限活用している。
使い方は、生徒の場合と基本的には同様で、今の課題にあった内容を探してきて、読んで解いてもらう。
何問解くか、どう解くかは、調整したらいいと思う。

具体的な使い方とその効果が気になる方は過去記事を読んでほしい。

そこまでしなくても文章を読んで、内容をまとめさせるだけでも価値がある。

特に論説は、ふだんの読書で新書を読んだりはしないだろうから、過去問として読んでおくと他ジャンルに触れることができる。

予習シリーズだけだと、問題量は半期で20本くらい。
そのうち半分だとしたら10本程度。
演習問題集までやっても、合計20本程度しか論説・説明文に触れていないかもしれない。

もちろん、演習量を増やせばいいという話でもないのだが。

副次的な効果として、問題文でいろいろな小説を読むと、読書の幅が広がる。
「これ、続きが読みたい」
となって、購入した本が無数にある。

使いこなすのは大変で、読み込むのもとても時間がかかるが、私にとっては宝の山の2冊。

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