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教育版ではない桃鉄の、絶大な教育的効果

娘は、地理・・・というか、全国の地名などを覚えることを苦手。
低学年の頃、知っている県は、愛媛県だけでした。
なぜか愛媛県だけ知っていました。
縁もゆかりもないのに・・・

そんな娘のために、夏休みは毎日強制桃鉄。
1日3年で100年達成する予定。


桃鉄で学べなかった理由

そもそも電車が好きな息子は、桃鉄で地名、駅名、名物などを覚えていき、地理に苦労しませんでした。

しかし、娘はボンビーが嫌いすぎて、桃鉄には乗り気ではない。
ボンビーがついてイタズラされると、ストレスがすごいのでやりたがらなかった。

また、家族で桃鉄をやっても、時間的に3年くらいで終わってしまうので、深みが出ません。

年数をこなすほど、多くの目的地にも到達できます。
物件も多く買えます。
後半になると、甲子園、花園、日本シリーズ、出雲国引きレースなど、各地でイベント実施されます。

特定の町を独占すると、その町にゆかりのある歴史上の人物が仲間になってくれます。
たとえば、埼玉の深谷を独占すると、渋沢栄一が仲間になります。これは、出身地だからです。
一方、土佐藩出身の坂本龍馬が、高知ではなく長崎で仲間になります。
「何でだろう?」と話すと、自然に歴史の勉強になります。

短時間だと、そういう奥深さを味わえず、勝った負けたの印象しか残らずに終わるので、地理を学べずに終わってしまいます。

このあたりが、桃鉄が学びのツールにならない理由でした。

ボンビーに拒否反応を示す理由

誰かが目的地に着いたときに、その目的地から最も遠い人のところにやってくるのが貧乏神(通称ボンビー)。

このボンビーがやっかいで、毎月何かしらマイナスになるようないたずらをします。
自分が所有する物件を勝手に安値で売ってしまったり、逆に高値で買ってきたり、自分の持っているカードを叩き割ったり・・・

とにかくプレイヤーの邪魔をします。
ただ、ボンビーのうちはかわいいもの。

たまに変身してキングボンビーなど、より強力な敵キャラに変身します。
キングボンビーになると、物件はすべて売られ、カードはなくなり、赤字転落するほど絶望的ないたずらを仕掛けてきます。

つまり、コツコツためたカードやお金、物件などを台無しにされてしまうのです。

行動経済学に「プロスペクト理論」というのがあって、「人は1万円をもらうより、1万円損する方が精神的に大きく作用する」価値関数という考え方があります。

桃鉄はまさにこれです。
どんなに調子が良くても、貧乏神にイタズラをされて、どこかで大きな損失を出すことになります。
お金が増えることより、この損失が精神的にとても痛い。
だから、「もうやだ」ってなります。

このボンビーを取り除いたのが「教育版桃鉄」。
お金の変動が少ないので、純粋に学びに活用できる仕様になって、小学校などに導入されているようです。

桃鉄100年決戦スタート

もちろん教育版ではないけれど、「学習の一環だから」という理由で強行突破し、乗り気ではない娘も一緒にスタート。

その娘に取り憑いたボンビーが、4年目で初めてキングボンビーになり、翌月を待たずに即いたずら。しかも、それがボンビュラス星に連れて行かれるという理不尽の連続。

ボンビュラス星に連れて行かれると、カードはなくなり、お金はマイナス。物件はほぼゼロになるので、スタート時点の状態にに戻されてしまいます。

プロスペクト理論的にも、その瞬間は絶望的な気持ちになるし、「もうやめたい」とも思ったことでしょう。

でも、そこで諦めず、くじけずに、今やれることを考え抜き、実践することが大切なゲームです。
どれだけ絶望的なことがあっても復活できるのが、このゲームのいいところだから。

カードが全部なくなろうが、物件をすべて売られようが、落ち込んだりせず、現状を打破するために、やれることをやり続ける胆力を求められるゲーム。

そうこうしているうちに、少しずつ運がよくなってきます。
救いの神が現れたり、強いカードが手に入ったり、目的地が目の前だったり。

後退することの精神的負荷は重いけれど、前進するとまた楽しくなってくるのです。
桃鉄はこのくり返しです。

桃鉄で得られる、地理より大切な学び

ボンビーにやられるからこその痛みと、復活する喜びを感じます。

さらにプレイヤー同士の攻撃のし合いも加わります。
怒りや哀しみという、普段はあまり抱くことのない感情が湧き起こります。

ボンビーの理不尽やプレイヤーの攻撃、運のなさに耐え、自体が好転するまで堪える力は、教育版では鍛えられない部分です。

でも、「地理」の知識が増えること以上に、この忍耐力や自律心を鍛える方が人生には大切ではないでしょうか。
いわゆる、非認知能力です。

例えば、模試でミスをしてしまい、絶望的な偏差値が出てしまうことがあるでしょう。
偏差値は一度60取ったら、ずっと60なわけじゃないので、下がることはもちろんあります。そのときに、
「もうやめる!」
とならずに、
「何がいけなかったんだろう?」
「次はがんばろう」
と、復活するレジリエンスが必要です。

入試本番で、
「こんなの絶対解けないよ」
という問題に出くわしてしまったとき。
諦めるのではなく、それでもできることは何かを考え、できることをこつこつ積み上げる力が必要です。

教育版でない方が、見えない教育効果は高い気がします。

実際、父、息子、娘の3人でやると、それぞれがイライラする瞬間があり、微妙に空気が悪くなります。
でも、それは良くないと、翌日には態度を改めて気持ちを落ち着けてゲームに臨み、楽しく遊びます。

子どもたちは気持ちのコントールが日々身についていっていると感じます。

桃鉄の本当の教育効果は、これだな、と。
「桃鉄コース」開講するかな。

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