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LUMIX S1は重くてデカいが写真用の道具としての完成度は悪くない

2023年の初夏。今更ながらLUMIX S1を導入して写真をメインに撮影している。
S1はブログやYouTubeなどで、重くて手放したなどという記事を読むことも多いが、個人的にはそのボディの道具としての質感や基本性能のバランスは悪くないと感じている。

いまだにフラッグシップたる所以は写真撮影の道具としての完成度

ファインダーが後発のS5M2に対して、動画が吊るしでVLOGが撮れないない。AFが像面位相差に対応していいないなど、後発機に劣る部分がいくつかある。
しかし、そこはS1でも4K60Pなど一般的には十分すぎるものを持っているので、映像クリエイターでもなければあまり困ることがないかも知れない。

逆に安定して写真を撮影するという意味では、派手なスペックではないもののの、意外と優れた部分があるのだ。

例えば、ファインダーの解像度がS5M2が約368万ドットに対して、S1シリーズは576万ドットある。
背面液晶やHDMI接続のモニターで確認する動画撮影時には気にならない部分ではあるが、フィールド上で写真撮影を行う際には、こちらの方がピントの山を見やすかったりする。


また、S5M2のように連写撮影時、RAWデータの色情報が14bitから12bitに削減されてしまう様なことはなく、安定して同じ画質で撮影ができる点。
これはJPEGでは特に問題がないが、カメラの記憶する階調情報を最大限に生かした作品づくりを行いたい場合などには、S1の方が有利な部分がある。

これまで使用してきたマイクロフォーサーズでは、多くのハイエンドカメラのが12bitRAWなため、一般ユーザーであればS5M2の方が連写できる分だけ使いやすく、気にならないことも考えられる。
しかし、信頼できる道具としてはあらゆるシチュエーションで安定した画質を確保できることは重要なポイントであると言える。

センサーにSSWFという、強力なゴミ除去機能を備えていること。
マイクロフォーサーズでは多くのカメラが搭載しており、レンズ交換時のセンサーダストの付着を防いでくれる地味な機能だ。ただ、風景写真で絞り込んだ際の効果は抜群だ。
ここ数年に発売されたLUMIXのカメラではなぜか採用されていない。

この有無により屋外でレンズ交換をする際の安心感が違う。特にメーカーのサービス窓口が近隣に存在しない田舎で活動する私にとっては、メンテナンスにかかる費用と時間の短縮がかなり大きなアドバンテージとなる。

S5M2では端折られた、AFポイントスコープや20倍MFアシストが装備されている。動画ではあまり関係のない部分だが、1枚1枚しっかりと写真を撮りたいユーザーにとって、意外と役に立つ機能だ。

このように、別に気にしなければ何とかなる部分ではあるものの、本気で写真を撮っているプロやハイアマチュアにとっては、安心して使用できる道具としての良さがあるカメラであると感じるのだ(故障した際のメーカーサポート姿勢としては若干気になる部分はあるが)。

LUMIX S1気になる部分は

個人的に気になるポイントとしては、コントラストAFのクセの部分だ。

一般的な風景やポートレートであれば、被写体認識などもあり、そう問題にならないレベルではある。

通常の広角風景撮影(landscape)やナイトショット(night)であれば、そう気になることはなく、機会があれば高解像度版のS1Rも買い増ししてみたいと感じる程度には気に入っている。

しかし、上記のような複数の花や紅葉から、特別な1葉にのみピントをと言ったシーンでは一度AFが大きく外れると、MFでなければ意外とストレスになることもある。
ジャンルで言うと、ネイチャーやマクロの分野だ。

個人的にはE-M1 markIIと同程度にポイントAFの精度が上がってくれれば、あまり不満に感じることはない。
後継機が出るのであれば、S5M2で採用された像面位相差AFがブラッシュアップされ、他社のAF並みになってくれれば、さらに活躍の場は広がると思われる。

近年のPanasonicは動画ユーザーをターゲットとしたカメラが中心で、スチル中心の機種となるMFTのG9、フルサイズのS1(R)は長く新機種が発売されていない。
そんなパナソニックではあるが、願くばそろそろ熟成されたプロ向けの道具として、S1(S1R)の後継機の発表と、カメラメーカーとしてのパナソニックのユーザーサポート面が改善してくれると良いのだが。


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