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第12週レビュー。いろいろな「まさか」(2020/12/1)

さてさてNFLも第12週を迎えましたが、ここに来て、あれこれ「まさか?」の事態が起こっていますね。

コロナの影響で試合が開催できず日程が再三延期になっているスティーラーズVSレイブンズもそうですけど、悲惨だったのはデンバー・ブロンコス。

陽性反応のため3人の登録QBの全てを失い、急遽練習生WRのケンダル・ヒルトンをQBにしてエースQBドリュー・ブリーズ負傷欠場の強豪セインツに挑んだものの、ブリーズの代役テイサム・ヒルにいいようにやられ3-31で玉砕するという、まさに「マイル・ハイの悲劇」。

また、先週王者チーフスを相手にもの凄いゲームを演じたレイダースが、ほぼコロナの影響はなかったにも関わらず、不調のファルコンズ相手に43-6で謎の惨敗を喫するというミステリーもありました…。(まったく何やってるんだか!!)

さらにNFC西部地区は、何と言うかここだけ別世界ともいえる「名門4チームよるドングリの背比べ」。

1位のジャイアンツと2位のワシントンが4勝。3位のイーグルスと4位カウボーイズが3勝という全てのチームが勝率五割に遠く及ばない体たらくですが、そのおかげで地区優勝をかけた争いは最後まで熾烈を極めそうですね。

また混沌とした展開の中で徐々に調子が上がって来ている印象なのが、クリーブランド・ブラウンズとマイアミ・ドルフィンズ。

ブラウンズはリーグを代表するスターWRのオデル・ベッカムを欠いていますが、一時不調気味だったエースQBベイカー・メイフィールドが本来の輝きを取り戻し、予想以上の健闘を見せています。
AFC北部地区ではスティーラーズが10勝0敗(NFL全チーム中唯一の無敗)という予想を遥かに越えた素晴らしい成績で突っ走っていますけど、対抗と思われたレイブンズが思ったほど勝利を重ねられない中、ブラウンズが2勝差でじわじわとスティーラーズに迫っています。
これから終盤戦に入っていく段階で、これはなかなかスリリングな展開ですね。

またドルフィンズは将来が嘱望される大物ルーキーQBトゥア・タゴヴァイロアとベテラン熱血QBライアン・フィッツパトリックが上手くお互いの不調を補いあって、ともすれば墜落しようとするチームを鼓舞し続けています。
長く低迷していたドルフィンズですが、今年はひと味違う戦いぶりで、地区1位のビルズとは1勝差。
こちらも今後の展開に要注目ですね!

そして、そんな中でも今週私が一番期待して観たのがバッカニアーズVSチーフスの一戦。

一時の勢いに陰りが出てきたとはいえこの時点で地区1位のセインツとはまだ1勝差でプレイオフ進出に大いに希望を残しているタンパベイ・バッカニアーズ。
そのバッカニアーズの今シーズン最大のトピックは、20年の栄光の時を過ごしたペイトリオッツから移籍して来た、21世紀最高(NFL史上最高という人も!)のQB「優勝請負人」トム・ブレイディの存在。

先週ラムズに惜敗し、連敗は避けたい状況のバッカニアーズ。
ところが今週ホームに迎えたのは昨年のスーパーボウル・チャンピオンで今シーズンも好調のカンザスシティ・チーフス。

プレイオフ進出に向け順調に勝利を重ねている王者のエースQBは言うまでもなく、現在NFL最高のスーパースターともいえるパトリック・マホームズ。

つまりこの試合の最大のポイントは、トム・ブレイディとパトリック・マホームズという「これまで」と「これから」の時代を代表する希代のスーパースターQBの直接対決!
フットボールファンなら嫌でも注目せざるを得ません!!

さて試合はというと…
先週、レイダース・ディフェンスにオフェンスラインが圧倒され全くロングパスを通せなかったマホームズでしたが、この試合は最初からエースWRタイリーク・ヒルが大爆発!
スピードとクイックネスでバッカニアーズ・ディフェンスを翻弄し、75ヤードの鮮やかなタッチダウンを始め、マホームズとのコンビで次々とスーパープレーを披露していきます。

あっという間の17-0。

一方のバッカニアーズは序盤からQBブレイディとレシーバー陣との呼吸が合わず、第2クオーター終盤まで全くいいところが無し。
「このままではチーフスの圧勝だな」と思われました。
ところがバッカニアーズ陣深くでマホームズがサックを食らってボールをファンブルしターンオーバー。
ここから微妙に試合の流れが変わっていきます。

元々、ブレイディは卓越したフィジカルで剛球パスを通すタイプではなく、相手の動きを読み切ったタイミング・パスと絶妙のプレイコールが身上。
その独特のリズムにバッカニアーズのレシーバー陣が徐々にフィットしてきます。

前半終了間際には鮮やかに1タッチダウンを返し17-7。
そして迎えた後半、第3クオーター。

チーフスはタイリーク・ヒルがこの試合3つ目のタッチダウン・パスをキャッチしてバッカニアーズを突き放しにかかりますが、歯車が噛み合い始めたブレイディ率いるバッカニアーズ・オフェンスはすかさず反撃に出ます。

ラン、パス両方でチーフス・ディフェンスをグイグイと押し込みます。
特に第4クオーターにブレイディが演出した見事なボールコントロール・オフェンスから最後はマイク・エバンスに通したタッチダウンパスは鮮やかで、この一連の攻撃は黄金期のペイトリオッツを彷彿とさせた美しさでした。

試合は残り4分で27-24。
わずか1フィールドゴール差。

序盤、チーフスが押しまくっていた時からガラッと流れが変わり、後半はむしろバッカニアーズのゲームとなりました。

しかし、3点差に迫られてからのマホームズとその優秀な仲間たちが見せたボールコントロールもまた見事!!
ヒルがヒレアーが、そしてマホームズが小憎らしいばかりに時間を使いつつファーストダウンを重ねていきます。

結局、残り時間をしっかり支配し、バッカニアーズの反撃ムードをシャットアウトしたチーフスがこの試合を27-24で制し10勝目。

チーフスにとっては、プレイオフ、そしてスーパーボウル連覇に向け一歩前進となったゲームでしたが、バッカニアーズにとってもひとつ歯車が合えばまだまだ上に行けそうな、そんな期待を持つことができた一戦でした。

さてさて、あとはこの第12週、1試合だけがまだ行われていません。
スティーラーズははたして11連勝(無敗)できるのか?
試合が開催されるかどうかも心配な状況ですが、まずは見守っていきましょう。

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