第16週レビュー。勝負は最終週へ!(2020/12/28)
NFL第16週は、まだペイトリオッツVSビルズのマンデーナイトを残していますが、概ね結果が出たので振り返ってみます。
まず雪の降りしきる氷点下のランボー・フィールドで行われたパッカーズVSタイタンズの試合。
それぞれの地区で首位を走る強豪同士の対決なので「どんな熱戦が見られるか?」と期待しましたが、ふたを開けてみると、ほぼパッカーズのワンサイドゲームとなりました。
QBアーロン・ロジャースの安定したプレーコールでラン、パスともに着実にゲインしスコアを重ねるパッカーズに対し、タイタンズは傑出したパワーランナーである大黒柱RBデリック・ヘンリーにあまりにも頼り過ぎており、プレーのバリエーションに乏しい気がしました。
第3クオーターに一度だけ「ヘンリーへのパスフェイクにパッカーズ・ディフェンスの全員が見事に騙され、その隙にQBライアン・タネヒルが50ヤードを自ら走ってタッチダウンを決める」というプレーがありましたが、工夫が見られたのはそれぐらい。
それ以外は、ファーストダウンとセカンドダウンはヘンリーのラン、それでファーストダウンが取れない場合はサードダウンに苦し紛れのパスを投げ失敗するというパターンがほとんど。
きっとパッカーズとしても守りやすかったことでしょう。
ところでタイタンズのプレーに工夫が足りなかったように思えた背景には、フィールドが真っ白になるほどの雪が降っており、足元が不安定でしかも気温が低いという気象条件が影響したとも思えます。
つまりその気象条件でのプレーを熟知するホームのパッカーズと慣れていないタイタンズという差が出たように思えました。
タイタンズとしてはいつものように身体が動かず、プレーの質も下がり、戸惑う内にゲームが終わったという感じではないでしょうか。
見ていて、タックルに行くものの捕まえきれないというミスが目立っていたのもタイタンズの方でした。
ともあれこれでパッカーズはNFCのプレーオフ第1シードを堅持。
一方の敗れたタイタンズはAFC南部地区2位へ降格するピンチでしたが、勝ち星で並んでいたコルツもスティーラーズとの試合で痛恨の逆転負けを食らったため、順位は変わりませんでした。
さて、そのスティーラーズVSコルツ。
第3クオーター半ばまでは24-7とコルツの完勝ペースでした。
しかし第3クオーター残り3分20秒。
39ヤード地点からのロスリスバーガーのパスをディオンテ・ジョンソンがスーパーキャッチしてそのままエンドゾーンへダイビング。
このタッチダウンから流れが全く変わります。
その後、勢いに乗ったスティーラーズがビッグプレーを連発し3本のタッチダウンを立て続けに決めて逆転。
28-24で勝利し12勝目を挙げ、地区1位を確保。
またコルツは10勝に留まったため、何とワイルドカード争いで圏外へ後退してしまうという事態になりました。
次戦、最終週の結果次第では復活の目があるとはいえ、コルツにとっては何とも悔やまれる敗戦となってしまいました。
さて今週のゲームの内、ワイルドカード争い関連でいうと、レイダースVSドルフィンズもまたドラマチックな試合でした。
こちらもスティーラーズVSコルツ同様、試合終盤までは完全なレイダースのペースだったのに、最後の最後、残り5秒で悪夢の逆転フィールドゴールを食らい敗戦。
一方の勝ったドルフィンズはAFCワイルドカードのトップに浮上しました。
ちなみに試合終盤でドルフィンズの攻撃をけん引したのはルーキーのトゥア・タゴヴァイロアではなく、ベテランのライアン・フィッツパトリック。
若さに反比例する痛快なアグレッシブさが持ち味のフィッツパトリックの面目躍如となりました。
ラスベガス・レイダース 25-26 マイアミ・ドルフィンズ
この試合はしかし、レイダースが全般に攻めながらも詰めが甘く、QBのカーの勝負弱さというか、決めるべきタッチダウンを決めなかったことが敗因だと思えました。
カー以外は本当に素晴らしいプレーをしていたんですけどね…。
カーは、先週のチャージャーズ戦で負ったダメージが回復していなかったのかもしれません。
「チャージャーズ戦でカーが負傷退場した後に好プレーを見せていたマリオタをこの試合も起用していれば結果は違ったかも」と思ってしまいました。
またその他、ワイルドカードがらみの試合で注目したのはバッカニアーズVSライオンズ。
NFC南部地区ではすでにセインツが地区優勝を決めていますが、今シーズンそのセインツと途中までし烈な優勝争いをしていたバッカニアーズ。
良い選手はいるものの、ここ10年ほどディビジョン内でも中位と下位を行ったり来たりという状況が続いていましたが、昨シーズンからHCに就任したブルース・アリアンズ、そして今シーズンから加わったNFLのレジェンドQBトム・ブレイディという2人の影響でついに覚醒した感があります。
このライオンズとの試合は無慈悲なほどの圧勝でした。
バッカニアーズが誇るWRのダブルエース、マイク・エバンスとクリス・グッドウィンが、そしてブレイディの長年の相棒であるTEロブ・グロンコウスキーがパスをキャッチしまくり、前半だけで34-0という展開。
後半に入りバッカニアーズはブレイディを温存し控えQBのブレイン・ギャバートを起用しましたが、それでも勢いは止まらず、最終的には47-7でライオンズを完膚なきまでに粉砕。
見事、2007年以来のプレーオフ進出を決めました。
バッカニアーズがプレーオフのメンバーに入ってきたことで、また新たなドラマが生まれる予感がして楽しみですね!
あと最後にチーフスVSファルコンズの試合。
これは両チームのディフェンスが頑張ったともいえますが、予想外のロースコア・ゲームとなりました。
結果的に17-14でチーフスが勝ちましたが、この試合ではチーフスの悪い癖である「スロースターター」ぶりが顕著に出ていました。
ファルコンズは攻撃に特徴のあるチームで、QBのマット・ライアンは実績十分のリーグトップクラスのパッサー。
しかしこの試合ではそのパス攻撃に加え、チーフス・ディフェンスのミスタックルなどもあり、ランが効果的に出ていました。
均衡を破る最初のタッチダウンも「ライアンのパスをキャッチしたWRカルビン・リドリーが40ヤードを走って掴んだチャンス」に「TEヘイデン・ハーストが5ヤードのラッシング・タッチダウン」を決めたもの。
先取点はファルコンズ。
しかしチーフスも第2クオーター終了間際に何とか反撃します。
マホームズからケルシーへの4ヤードのタッチダウン・パスが通り、前半終わってスコアは7-7。
まさに「困った時のトラビス・ケルシー」。
チーフスにはエースWRのタイリーク・ヒルを始め、たくさんの優秀なレシーバーがいますが、本当に厳しいシチュエーションでマホームズが選ぶ第1ターゲットはケルシー。
なおケルシーはすでにリーグを代表する最高のタイトエンドですが、この試合で「タイトエンドが1シーズンにキャッチしたパス・ヤードでのNFL新記録」という新しい勲章も手にしました。
さて7-7で迎えた後半。
チーフスがようやく攻めの圧力を増すものの、マホームズが肝心のタッチダウンパスをインターセプトされるなど、どうも調子に乗れません。
しかしファルコンズも躍動感を増すチーフス・ディフェンスに阻まれ、こちらも追加点を挙げられません。
ディフェンスゲームはまだまだ続き、7-7のままついに第4クオーターへ。
チーフスにとってこの展開は第5週でレイダースに敗れたあの展開を思わせる不吉な予感。
しかし第4クオーター、チーフスがようやくFGで追加点。
ところがその後、劣勢でより力を発揮するマット・ライアンが本領発揮のタッチダウンパスを決めて、ファルコンズが逆転。
チーフス 10-14 ファルコンズ
今日の調子のチーフスだとかなり危ない状況!
ですが勝負がかかったシビれる場面で一番輝きを見せるのがパトリック・マホームズという男。
試合時間残り2分。
デマーカス・ロビンソンへの26ヤードの再逆転タッチダウン・パスを決め、逃げに入っていたファルコンズに痛烈な一撃を加えます。
チーフス 17-14 ファルコンズ
逆転されたとはいえ、まだ3点差。
残り時間が2分を切る中、ふたたび気合いを入れ直したマット・ライアン。
渾身のパスを次々と決めてファルコンズはエンドゾーン21ヤードの地点まで攻め込みます。
距離的には完全にFG圏内。
ここで意地を見せたチーフス・ディフェンスに前進を止められたファルコンズは、残り時間14秒というシチュエーションでFGを選択。
まずは同点に追いつきオーバータイムで勝負を決めるというプランを描きます。
ファルコンズのキッカーは韓国人のヤンオエ・クー。
今シーズン27回連続でFGを決めるなど目覚ましい活躍を見せて初のプロボウルにも選ばれている注目のキッカー。
しかし何とここで、そのクーがFGを失敗!!
かろうじてチーフスが3点差で逃げ切りAFCプレーオフの第1シードを決定しました。
ところで、チーフスは第8週にジェッツに35-9で圧勝して以降、この第16週まで連勝はしていますが、すべて10点差以内の接戦が続いています。
チーフスの売りであるマホームズを中心とした爆発力のあるオフェンスも今回は鳴りを潜めた形となりましたし、スーパーボウル連覇を賭けてこれからプレーオフに臨むにあたり、調子の波という意味では少々心配ではありますね。
レギュラーシーズン最終戦となる次戦は、あの若さハツラツのQBジャスティン・ハーバード擁するチャージャーズとの試合。
ここでしっかり格の違いを見せてプレーオフに突入できるかどうか、注目しましょう。
あと今週のゲームで気になったトピックとしては、ブラウンズがジェッツにまさかの敗戦を喫していたこと。ここまで調子を上げてきてプレーオフ進出も見えていたブラウンズですが、いきなりの崖っぷち状態となりました。
あとレイブンズは順当勝ちして、ついにプレーオフ圏内に浮上。
やはりラマー・ジャクソンさえ健在なら、レイブンズは強いっていう感じがしますね。
そしてラムズはシーホークスに痛い黒星。
次戦がプレーオフ進出の直接のライバルとなるカージナルスとの対戦。
負けた方が脱落という注目の一戦となりました。
では最後に今の時点でのプレーオフ進出チームの状況ですが、順位でいうと以下の通り。
<AFC>
1 カンザスシティ・チーフス
2 ピッツバーグ・スティーラーズ
3 バッファロー・ビルズ
4 テネシー・タイタンズ
5 マイアミ・ドルフィンズ
6 ボルチモア・レイブンズ
7 クリーブランド・ブラウンズ
このうちプレーオフ進出が決定しているのは、チーフス、スティーラーズ、ビルズの3チームのみ。
残る4つの枠をタイタンズ、ドルフィンズ、レイブンズ、ブラウンズとコルツが争う形となります。
<NFC>
1 グリーンベイ・パッカーズ
2 ニューオーリンズ・セインツ
3 シアトル・シーホークス
4 ワシントン・フットボール・チーム
5 タンバベイ・バッカニアーズ
6 ロサンゼルス・ラムズ
7 シカゴ・ベアーズ
この中で進出が決定しているのは、パッカーズ、セインツ、シーホークス、バッカニアーズの4チーム。
4位のワシントンは地区優勝をカウボーイズ、ジャイアンツと争っているため、そこで優勝したチームが最終的にプレーオフ4位に滑り込むことになります。
またワイルドカード枠の5位~7位は、そのひとつがバッカニアーズで決定したので、残りは2枠。それを、ラムズ、ベアーズ、カージナルスで争う形です。
さあNFLのレギュラーシーズンもあと1試合。
プレーオフに向け、大詰めです!!
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