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これからの時代に求められるのは「仕事ができる人」ではなく「優しい人」〜岸田ひろ実のコーチングな日々〜

「ひろ実さんは優しいですね」

最近、続けてそう言っていただくことがありました。

私って優しい人なのかな?
私は自分のことを、優しい人だと思ったことはありません。

では、優しさってなんだろう?
優しい人ってどんな人のことをいうのだろう?

改めて優しさについて考えてみました。

優しさの定義

「優しい」を辞書で引くと、こう書いてあります。

① 姿、ようすが優美である
② 他人に対して思いやりがあり、情がこまやかである
③ 悪い影響を与えない

なるほど、改めて意味を知ると、優しいって素晴らしいことだなと思います。

しかし、私がこれに当てはまるのかというと、そうは思いません。    優美や思いやりって、一体どういうことなんだろう。

たどり着いた私の思う優しさとは、人を見る「視点の多さ」でした。

人を見る視点が多いと、何か起こった時、物事を色々な角度から想像して見ることができます。そうすると、人に対してイライラしたり、腹を立てたりすることが減ります。

例えば。

元気そうに見える若者が優先座席に堂々と座っていたとしましょう。なぜ平気で座れるのか、なぜそこを必要としている人に譲らないのかと、モヤモヤ、ムカムカ、腹立たしく思ってしまいませんか?

でももし、その若者が病気で辛かったとしたら。見えないだけで足にケガをしていたとしたら。

そんなふうに、違う視点でその人のことを想像できれば、その人への感情や向き合い方を変えることができます。

自分の思いこみの視点で理由を決め付けて見るのではなく。なぜ?と疑問に思う理由を、その人のことをじーっと見て、違う視点で想像すること。

違う視点を増やすことが、私にとっての優しさの定義でした。


私が違う視点を多く持てたのは、個性が強めの娘と息子のおかげです。

人と違うユニークな発想をいっぱい持つ娘と、人と違う価値観で思いっきり楽しむ息子から、私に持ち合わせていなかった、大切な視点をたくさんもらうことができました。

どうしてそんなことをするんだろう?                 なんでこんなことになるんだろう?

娘と息子をじーっと見ていると「どうして?」「なんで?」の理由がわかります。違う視点で考えて見ると、そこにはちゃんと理由があるのです。その理由を知ると、モヤモヤした気持ちはスーッとなくなり、娘や息子との楽しい時間が増えるのです。

優しさと障害者雇用

今、私は、企業や自治体などで障害のある方の雇用や協働を行っていくための研修をする機会や、障害者雇用の担当者の方からご相談を受ける機会が多くあります。そしてそこでも「優しさ」について考えることが増えました。

これまでに障害のある方と接したことがないという方が、障害者雇用の担当になると、知らない・わからないから不安になり、悩まれたりすることがよくあります。

どうすれば働きやすい環境が作れるのか、どうやって信頼関係を築くのか、わからないから一生懸命になり、上手くいかなければ落ち込んで悩まれるのです。

もうそれだけで優しい。

上手くいくようにと、障害のある方との向き合い方を知ったり、制度やマニュアルを整えることも大切です。

でも、それよりもっと大切なことは、「障害のある人」としてではなく「1人の人」として、これまでとは違う視点でその人を見て、向き合うことです。

上手くいかないことが増えてくると、「自分はダメなんだ」「優しくない自分のせいだ」と、自分を責めてしまう人がいます。

優しくないからではなく、優しいからこそ、自分を責めてしまうのです。

そんな時には、目の前にいるその人のことを、じーっと見てください。

どうしてそんなことをするんだろう?                 なんでこんなことになるんだろう?

そうなる理由を、決めつけないで、その人のことをじーっと見て、「なぜ?」の理由を、違う視点で想像しながら、障害のある方と向き合っていくと。それが障害者雇用においても重要なことだと思うのです。

優しい人が、人に優しい組織をつくる

優しい人とは、より多くの視点を持っている人のことです。より多くの視点は、障害のある方と一緒に働くことで増やすことができます。

そんな優しい人は、障害のある人だけでなく、多くの人を支えることができる人です。

これはなにも障害者雇用の現場にとどまるものではなく。コロナウィルスの影響で、働き方が変化してしまった今の企業全体の状況にも共通することだと思います。

これまでとは違った、先行きの見えない状況の中で、悩みごとも多様化してきました。不安が大きくなり、心が病んでしまう人が増えてきました。

こんな時だからこそ、必要とされるのは「優しい人」です。

その人のことをじーっと見て、その人の弱いところに寄り添い、新たな視点で強みを伸ばしていこうとする、そんな優しい人が人を支え、仲間を支え、組織を支えることができるのです。

これからの時代に求められる人は、「仕事ができる人」から「優しい人」へと変わる。私はそう思っています。

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