見出し画像

結果オーライとしよう

数日前、私はイギリスのBrightonにいるはずだった。
でも実際は自宅で1人、自由な時間を過ごしていた。

先週の日曜日、私は夫と義理母と一緒に車でノルマンディのDieppe港に向かった。そこからカーフェリーに乗って、イギリスのNewhaven港に着く予定だった。

というのも先月、イギリスのBrightonに住む家族(夫側の)に赤ちゃんが生まれた。女の子で名前はAria。アリア、美しい名前である。

お祝いがてら休暇を取って行くことにしていた。お祝いのプレゼント、ワイン、チーズやもろもろ、とにかく荷物が多かったので、車の方が便利だった。


何が起きたのか

Brightonに行くはずが、私だけフランスに残っていた。
何故かというと、私がある事をしでかしてしまったからである。

何をしでかしてしまったか?
実は古いパスポートを持ってきてしまったのだ。そのことに気付いたのは、Dieppe港に着く少し手前のサービスエリアだった。

カーフェリー会社からメールでチェクインの為の情報を記入するようにと連絡が入った。パスポート情報を記入している時に、我が目を疑った。

写真が違う、有効期限が2015年って!!今年2024年ですけど(そういえば来年更新だ)。
もう心臓バクバクで、やってしまった!有効なパスポートが無ければフランスから出国できない。

どうして間違えたんだろう?
本来なら古いパスポートは別の場所に保管しているから、間違えるはずはない。
そういえば、去年の11月に滞在許可証の更新手続きがあって、古いパスポートを確認していた。しまう時に間違えて今のパスポートを入れる場所に入れてしまったのかもしれない。いつもなら必ず中を確認するのに、今回はそれをしなかった。

誰のせいでもない、私が間違えて持ってきてしまったのだ。
すぐに気持ちを切り替えて、この状況を受け入れた。

有効なパスポートがないのだから、家に戻るしかない。いったん家に戻って、明日の飛行機に乗ることも考えた。
だが、チケット代がバカ高かった。翌日便なんだから当たり前だ。家族には申し訳なかったが、今回は諦めることにした。仕事でどうしても行く必要がある、というわけではないのだから。

とりあえず電車でパリに向かう


サービスエリアからDieppeまでは車で30分、港を横目に急いで駅に向う。その間にSNCF(フランス国鉄)のサイトを確認した。
どうやらDieppe駅から一旦パリまで行って、そこからTGVに乗り換えることになりそうだ。

ほどなくしてDieppeの駅に着いた。夫と義理母には「一緒に行けなくてごめんなさい」と謝って、駅構内へと急いだ。

幸いチケット売り場は空いていた。
すぐに私の番になり、「なるべく早い電車で自宅の最寄り駅まで行くチケットが欲しい」と言った。

駅員さんは「10分後に出発する電車に乗れば、一度乗り換え、パリのサン・ラザール駅に18:47に着く。そこから地下鉄でモンパルナス駅まで行って、19:39発のTGVに乗れば、最寄りの駅に21:55には到着する」と教えてくれた。
10分後の電車なんだから時間がない。すぐにチケットを買って、電車に飛び乗った。

15:45に発車した電車は16:30頃ルーアン・リヴ・ドロワ駅に着いた。ここで乗り換えの為に下車した。
30分くらい待ち時間があったから、ペットボトルの水を買って、携帯の充電が出来る場所を探した。運良く充電出来る席を見つけた。

少し休んだ後、17:13発パリ行きの電車の番号が表示されたのを確認して、ホームに向かった。

パリに着くまでの1時間半、どうしてこんなことが起きてしまったのか考えていた。
完全に私のミスではあるが、普段から確認を怠らない性格の私が、どうして確認しなかったんだろう?

もしかしてイギリスに行かない方が、私にとっては都合が良かったのか?

夫がWhatsAppでメッセージを送ってくれたが、彼も同じことを考えていたようだ。

地下鉄に乗り換える

18:50パリのサン・ラザール駅に到着した。
久しぶりにサン・ラザール駅に来たが、近代的なショッピングモールに変わっていて、驚いた。何年ここに来なかったんだろう、10年ぶりかな?

地下鉄乗り場まで降りて、自動販発券機で切符を買った。そこから歩いて12番線のホームに向かう。
地下鉄の通路が以前に比べて汚くない。今年はパリオリンピックが開催されるから、少し改善されたのだろうか。

地下鉄に乗ったのが17:05くらいだった。モンパルナスまでは9駅。
TGVは19:39発車だから、ギリギリ間に合うだろう。
ところが4駅目のソルフェリーノ駅で「少しお待ちください」とアナウンスが流れて、しばらく停車した。まずい、間に合わなくなってしまう。

少し焦り始めたところで、発車した。その後は順調で、19:20過ぎにはモンパルナス駅に着いた。

TGVに間に合うか

ここからが時間との勝負だ!地下鉄の出口からTGVのホームまでは、かなりの距離を歩かなければならないからだ。

オートウォークを小走りで駆け抜けて、TGVのホームに着いたのが発車2分前。間一髪だった!

もはやイギリスに行くつもりが、TGVに間に合って、無事に家に帰れるかゲームに変わっていた(笑)。

TGVに乗って2時間15分後に最寄りの駅に到着した。そこからトラムウエイに乗り換えて、自宅に着いたのは22:30を過ぎていた。

朝の8時半ごろ車で出発して、TGVでその日の22時半ごろ自宅に帰ってくるなんて、予想だにしていなかった。

なぜ?を再び考えてみる

翌日はまだ少し疲れが残っていたが、翌々日には朝のヨガや筋トレができるくらいまで回復していた。

有効なパスポートはいつもの保管している場所にあった。
なぜ古いパスポートを疑いもせず持って行ったのだろうか?と再び考え始めた。

そこで気づいたことがある。行けなかったことに対しての罪悪感が無いのと、1人でのんびり自由な時間を過ごせることが嬉しかった。

結局のところ、古いパスポートを持って行ったのは、私のうっかりミスだった。人間なんだから、そんな時もある。深く考えるのはやめよう。

おそらく私は1人の自由な時間を熱望していたのかもしれない。
本を読んだり、フィトテラピーを学んだり、ときどき仕事したり、和食三昧したり、映画観たり、街を散策したり。。etc、実に充実した5日間だった。

普通のことばかりだけど、「気ままに1人で自由に」っていうのがやりたかったんだなと思う。

「もしかしてイギリスに行かない方が、私にとっては都合が良かったのか?」と電車の中で浮かんだ疑問の答えはYesであろう。

時には自分を甘やかすのもいい。やりたいことを自分にやらせてあげると満たされるから、人にも優しく出来る気がする。

夫と義理母は向こうで家族と楽しく過ごせたみたいだし、私も1人の時間を満喫できたし、結果オーライとしよう。













この記事が参加している募集

今月の振り返り

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?