回想、思い込みから抜け出せた日
昨日、美容院に行ってきた。
本当はもっと早くに行きたかったのだけど、忙しさを言い訳に延ばし延ばしにしてしまった。
結果、たった2cm切っただけなのに、スッキリして、気分は爽快だ!
ちょっと言い方がアレだが、邪気を落とせたような⋯
もっと早く美容院に行けばよかったな。
髪を切ってもらっている時に、何年も前のことを思い出していた。そのことについて書いてみたい。
*
パリに住んでいた時は日本人の美容師さんのサロンに通っていた。
私が住んでいたアパルトマンから歩いて行ける場所にそのサロンはあって、便利だったのもあるけど、やはり日本人の美容師さんだと安心してお任せできた。
実際、細かいニュアンスも伝わったし、日本にいた時と同じ感覚で、私の希望通りにカットしてもらっていた。
地方都市に移住してからも、パリに行く機会を利用して、その美容師さんにお願いしていた。移住先には日本人の美容師さんはいなかったからだ。
ただ、定期的にパリに行くわけにもいかなくなって、元々はボブスタイルだったのが、伸ばし放題のロングになってしまうことが増えてしまった。
ある時、「そろそろ試す時がきたな」と覚悟を決めた。
何を?そう、フランス人美容師のサロンに行くことを。
「なんだそんな事」って思うかもしれないが、私にはかなりの冒険だった。
なぜなら「日本人がフランス人の美容師に髪を切ってもらうと、大変なことになる」と噂で聞いていたからだ。
アジア人の髪を切るのに慣れていないのもあるだろう。フランス人からしたら、日本人のハリとコシのある直毛を扱うのは難しいだろうなと想像できる。
前髪を切ってもらったら、市松人形のようになったとか、カットが雑で、ちびまる子ちゃんみたいになっただとか⋯色々噂は聞いていたので、なかなか試す気にはなれないでいた。
まだ試してもいないのに、「フランス人に髪を切ってもらったら、ひどい髪型になる」という思い込みから抜け出せずにいた。
でも、もう限界とばかりに腹をくくり、知り合いに聞き込みをして、自宅から徒歩で行ける、良さそうなサロンを見つけた。
植物由来のbioの製品を使っているらしく、信頼できそうな気がした。
思い切って中に入り、「私は日本人ですけど、この髪をカットできますか?」と聞いてみた。
Soniaという女性美容師は「もちろん、アジア人の髪には慣れています」と心強い返答をしてくれた。なんでもお客様にベトナム人や中国人がいるらしい。
そうとなったら善は急げとばかりに、翌日に予約を取った。
家に帰って、やりたいボブの髪型の写真をネットで探してコピーした。その方がニュアンスが伝わりそうな気がしたから。
翌日、ドキドキしながらサロンのドアを開けた。
Soniaに促されてシャンプー台に向かい、革の椅子に腰掛けた。
ちなみに、フランスのシャンプー台の椅子は上下に動かない。高さを調節できないから、若干首が痛いのが難点だ。
シャンプーは丁寧で、すすぎの後に頭皮マッサージまでしてくれた。お湯の温度も熱くないか聞いてくれたし、なかなか快適だった。
カット用の椅子に座って、持ってきた髪型の写真のコピーを見せて、希望を伝えた。
Soniaはすぐに私の希望を理解し、髪の毛が多いから少しすいた方がいいことや、顔立ちから、長さのアドバイスもしてくれた。
彼女はcoiffeur visagisteといって、顔立ちや肌の色に合わせてスタイリングする技術を習得していた。ラッキーだった。
1番ビックリしたのは、その速さだった。あっという間にカットは終わった。雑にカットしているわけでもなく、丁寧だけど、動きに無駄がない感じだった。
髪を乾かしながらブローして、最後にチェックをしながら整えてくれた。
市松人形でも、ちびまる子ちゃんでもない、なんとゆう安堵感!
満足の仕上がりだった。彼女も満足そうだった。
「フランス人に髪を切ってもらったら、ひどい髪型になる」という思い込みからやっと抜け出せた。
それにしても速かった。シャンプーからブローまで、30~40分くらい。
東京でカットしてもらっていた時は、1時間半くらいはかかっていたから、半分の時間だ。
何が違うんだろう?やはりカットの時間が違うんだと思う。
サービストーク無し、無駄なサービス無しが逆に心地よかった。
語学学校に通っていた頃に、先生がよく日本人は丁寧だという例として、「日本人の美容師に髪を切ってもらうと、すごく丁寧だが時間がかかる」と言っていた。
あながち間違っていない。
そんなドキドキな初体験を経て、それ以来ずっとSoniaのサロンに通っている。
髪を切ってもらっている時に、その時のことを思い出して懐かしくなった。
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