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コククジラの美学

コククジラっていうちょっと変わったクジラがいます。

全身がフジツボやクジラジラミという寄生生物に覆われていて、岩のようにゴツゴツした見た目のクジラです。

昔テレビで初めてこのクジラを見たときは、「なんだこのクジラ。。全身傷だらけに見えて痛々しいし、なんだか汚い……」というのが第一印象でした。

でも、なぜかやけに印象に残ったこのクジラのことをそれからも時々思い出すようになり、その度に少しずつ印象が変わっていきました。

そしていつの頃からか、ゴツゴツした岩の塊みたいなこのクジラが、妙にかっこよく感じるようにさえなりました。

こんなにいろいろ「汚い」ものがくっついてるのに、コククジラはそれを受け入れて、そのままにして潔く生きてるんだ。

そう思うようになったからです。

もちろん、コククジラからしたら、寄生生物を「汚い」なんて思ってないだろうし、別に受け入れるとか受け入れないとかじゃないだろうし、「潔く」もなにもないと思います。

全部見てる側の私が勝手にそう思って、勝手にそう感じてるだけです。

なんですけど、コククジラを思い出す度に、自分もああやって自分の中の嫌なものとか、傷とか、ネガティブな部分を消さずにそのまま、受け入れることができたら、、そんなふうに思うようになりました。

私は自分を癒したくて今までいろんなことをしてきましたが、それでもやっぱり傷が綺麗さっぱりなくなるってことはないし、新しい傷をつくってしまうこともしょっちゅうあります。

でも、すべての傷を消そうなんてしなくてもいいのかもしれない。傷つくときは傷つくし、痛いときは痛い。それってきっと、生きてたら自然なことなんですよね。

身動きとれなくなるほどの傷はひとまず癒えたのだから(たぶん)、もうある程度の痛みは抱えながら、ちょっとずつでも明るい方を向いていきたいな。

心がグラグラしちゃうこともまだまだありますが、そんな弱い部分も含めて、自分を受け入れていけたらいいなと思います。






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